《記者クラブ開催・９党党首討論詳報　2010･6･22》

「民主党代表の菅直人です。日本記者クラブ主催の党首のこの会を開いていただいたことをまずもってお礼申し上げる。６月２日に鳩山（由紀夫）前総理が辞意を表明され、６月の８日に総理大臣を拝命した。鳩山政権でも私、副総理として大きな責任を負っておりましたので、鳩山総理を支えきれなかった、その責任は痛感をしている。と、同時に鳩山前総理は政治とカネの問題、あるいは（米軍）普天間（飛行場移設）の問題などについて、自らその責任を認めて辞任をされると。改めて政権交代の原点に戻って、民主党中心の政権をしっかりやってほしい。そういう思いを強く持たれており、私もその思いを大事にしてがんばり抜きたいと、こう思っている」

「私がこの選挙に向かって国民のみなさんに申し上げているのは、この２０年にわたる日本の閉塞（へいそく）状態を打ち破る。そして元気な日本を復活させる。この実現を訴えている。そのために強い経済、強い財政、そして強い社会保障。これを一体として、強い政治のリーダーシップで実現していきたい。このように考えている。もちろん、経済、財政、社会保障、それぞれ大きな課題であるが、それらを強いものにすることによって、どのような日本を作っていくのか、社会を作っていくのか、きょうも広島のほうで痛ましい事件の報道があったが、私は今の日本の社会、いろいろな意味で、何かこう人間がバラバラに、人々がバラバラになっていく。つまりは、人々が助け合うという姿勢よりも、何かが孤立化を深めている。そういう意味で、そうした強い経済、強い財政、強い社会保障を作り上げる中で、人々が助け合いながら、孤立化しないで生きていける。そういう社会を目指してまいりたい。このように思っている。その中で、経済について新成長戦略というものを提示をし、また、本日、財政のフレームについても閣議決定した。そういったことについては、今後の議論の中でしっかりと申し上げていきたいと。私の冒頭の発言はこの程度とさせていていただく」

「自由民主党の谷垣禎一です。きょうはこういう会を設けていただきまして、ファイトを持って議論を一緒にしたいと、このように思っている。今、自由民主党、この参議院選挙に向かって何を一番訴えたいか。鳩山さんが政権を行き詰まって投げ出されて、非常に混迷感が深まっている。そういう中でもう１回、誇りと自信に満ちた国づくりを、自民党が先頭に立ってやっていく。こういうことを申し上げたいと思う。そして、そのための基本的な立ち位置としましては、守るべきものは守り、そして改革すべきものは改革する。進取の精神に満ちた保守主義。こういうことでがんばっていきたいと思っている。そして、そのための今度の選挙の標語は、イチバンということにした。かつて日本はみんなが、これは日本が一番だな、世界一だなと思っていたことがたくさんあった。たとえば治安だ。それからものづくりにしてもそうだと思う。あるいは、教育だって、詰め込みといったって、日本の教育はいいなとみんな思っていた。もう１回、われわれの周辺にこれは一番だと。世界一だというものを、もうひと頑張りして、作っていこうじゃないかということを標語にしている。そして、今回の私どもの公約は、マニフェストってものがある意味で信用をまったく失ってしまったという中で、できることを申し上げ、そしてやらなければならないことは嫌なことでもきちっと主張していこうということで、参議院選挙の公約を作った」

「参議院選挙の公約については、柱、これは簡単に要約しますと３つある。まず第１に、この３年間、あらゆる手段を動員して、経済成長していこうと。そういう中で雇用を作っていこうということだ。そういう中で地域格差とか、あるいは貧困の問題といわれているが、地域を活性化する。あるいは底上げによって貧困も取り組んでいく。こういうことが必要ではないか。また、国際競争力も強化をしていくことが必要であります。要するにがんばれる人ががんばれる。そういうまっとうな政治をやっていきたい。そのために先ほど申し上げた世界で一番というものを作る、こういうのを具体的にやっていきたいと考えている。それから２番目には外交関係でありますが、普天間の処理の問題などで日本外交に対する信頼が失われた。最大の同盟国であるアメリカからも日本の外交方針はどうだ、大変不安な目で見られていると思う。もう一度、日本が信頼される外交方針を立て直さなければならない。そのための基本は、日本だけがよければよいのではない。こういうことだろうと思う。世界のために日本もやるべきことをやる。それから３番目、バラマキを廃止して、きちっと財源を確保したことをやろうと。次の世代にもわれわれは責任を持たなければならない。そのためにも消費税など、きちっと主張していこう。こういうことだ」

「そして民主党政権、あらゆる意味で壁にぶつかって、鳩山さんが投げ出し、お隣の菅さんが引き継がれましたけれども、表紙だけ変えて、結局、菅さんが鳩山さんの何を引き継ぎ、何を新たにするか。国会で明らかにすることもなく、選挙にとにかく飛び込んでいこう。こういうことである。いろいろ発表された、たとえば消費税等についても、全然党内議論もない。また、所信表明にもなかった。こういうことだ。もう１つ申し上げたいことは、まことに国会無視の乱暴な運営を今までやってこられた。こういうことをどう菅さんは精算していかれるのか。こういうこともこの議論の中で明らかにしたいと思っている」

「今日の機会に感謝を申し上げたい。まず今回の参院選挙は、一つは政権交代して、９カ月間の民主党政権の審判にあります。菅政権に代わっても『政治とカネ』隠し、『国民だまし』の本質は変わらず、さらに突然、付け焼き刃で消費税引き上げを言い出した。こうした点を徹底して正してまいりたい。もう一点は全国３０００人を超す議員のネットワークがある公明党こそ、国民の真のニーズを受け止め、日本の将来に責任を持つことができる党であることを訴えてまいる。まずマニフェストの政策破綻（はたん）の上、突如の消費税引き上げ発言。とんでもない話だ」

「菅総理自身、消費税増税は４年間必要ないと言っていた。民主党の公約でもある。増税を言う前に総理がやるべきことは、マニフェストは間違っていたと国民に説明をし、謝罪をすることだ。公明党は財政再建のための消費税増税には反対だ。しかし、社会保障を強化する財源として消費税を含めた税制の抜本改革が必要だと考えている。従って、まず消費税１０％ありきではなく、社会保障のあるべき姿について先に議論を行うべきだ。今はまず景気回復に全力を挙げ、徹底して税金の無駄をなくすべきだ」

「さて、今回の参院選に公明党が掲げる政治目標は３つだ。まず第一は声の届く政治。公明党は昨年１１月、全議員が介護現場に飛び込み、全国で介護総点検運動を実施した。１０万件に上る声をお寄せいただき、この現場の声を基に今年２月に介護施設の倍増などを盛り込んだ、新介護公明ビジョンを発表いたしました。関係者からも、介護現場の実態をよく反映した提案と高く評価されている」

「各地域に根を張った３０００人を超える議員のネットワークと女性議員が３割を占める公明党だからこそできたと自負している。第二に新しい福祉だ。不安定な雇用、増える心の病、孤独死。私たちは今、さまざまなリスクに直面している。そこで公明党は、命を守り、心をいやす、２１世紀型の新しい福祉を訴え、その実現に取り組んでまいる。第三は公明党が貫いてきたクリーンな政治だ。民主党政権のツートップが起こした政治とカネの問題は、国民の政治不信を招き、何ら解決していない。公明党は疑惑の解明とともに、再発防止策として、秘書がやった、自分は知らない、との言い逃れを許さないために、政治家の監督責任の強化を盛り込んだ政治資金規正法改正案を提案していく。疑惑の政治家を政界から追放できるようにする。また、企業・団体献金の全面禁止を目指します。今、申し上げました３つの点。すなわち声の届く政治、新しい福祉、クリーンな政治を公明党は訴えてまる」

「消費税大増税問題が今度の選挙の大争点になっている。民主党と自民党がそろって消費税１０％を公約にしたことに、とても暮らしが立ちゆかない、商売が続けられないとの大きな不安と怒りが広がっている。税率１０％になりますと、４人家族でしたら、年間平均１６万円の負担増だ。そもそも消費税は所得の少ない人に重くのしかかり、大企業は１円も払わない、最悪の不公平税制です。加えて、とりわけ重大な問題は、今度の消費税増税が大企業の法人税の引き下げとセットで打ち出されていることだ。これはもともと財界が言い出したことだ」

「日本経団連は今年４月に一刻も早く消費税を引き上げろ、法人税を引き下げろという方針書を出した。今度の選挙で民主党と自民党がそろって消費税１０％と法人税の減税をセットで打ち出しているのは財界の方針書に応えた動きだと言わなければならない。財界は法人税の実効税率を４０％から２５％に下げろといっている。これは消費税率にすると４％分になる。消費税増税の目的は財政再建でも、社会保障財源でもない。大企業減税の財源づくりにこそ、本当の目的があります。こういうやり方は庶民の家計を壊し、消費を冷やし、景気をますます悪化させるだけだ」

「暮らしを支える、社会保障を支える財源は、年間５兆円もの軍事費にメスをいれ、行きすぎた大企業・大資産家の減税を見直せばつくれる。大企業減税のための消費税増税は絶対反対。この声をどうか日本共産党にお寄せください。沖縄普天間基地の問題も重大な争点だ。民主党政権がアメリカいいなりに名護市辺野古の美しい海を壊して基地をつくる日米合意を交わしたことは県民の総意を踏みにじるものであり、絶対に許せない」

「私は日米合意を白紙撤回し、普天間基地の無条件撤去を求めてアメリカと本腰を入れた交渉をすることを政府に強く求める。私は５月上旬にアメリカを訪問し、アメリカ政府と会談をし、沖縄県民の総意がどこにあるのかを伝え、普天間問題の解決の道は無条件撤去しかない、ということをきっぱり先方に伝えた。相手がアメリカでも財界でも、国民の立場で堂々とものが言える党。日本共産党をどうか大きく躍進させてください」

「社民党は言葉に責任を持つ政治を訴えていきます。社民党が平和の問題について筋を通す、言葉に責任を持つ、行動するということを国民の皆さんは分かっていただけたと思う。生活再建についてもまっしぐら、筋を通し、言葉に責任を持って実現してまいる。今の日本の最大の問題点は格差であり、貧困だ。その原因であり、雇用と福祉の破壊、不公平税制を正さなければならない。まず第一に雇用だ。自民党政権下で、労働法制を規制緩和したことで雇用と生活を壊した。社民党は一貫して、派遣法の改正に取り組んできた。派遣法を改正し、契約社員、パートの人たちのための法律改正、正社員を含めた長期間労働の規制、最低賃金１０００（円）以上をやってまいる」

「第二に、子育て支援については、社民党は子ども手当は１万３０００円にし、保育所や学童クラブの現物支給の充実を図る。第三に障害者政策については、障害者自立支援法を廃止して、障害者総合福祉法をつくり、障害者差別禁止法をつくってまいる。第四に医療雇用介護の立て直しです。後期高齢者医療（制度）は廃止する。切実な声にきちっと応えていく」

「次に普天間基地問題だ。社民党は辺野古の海をつぶして海上基地をつくることに反対だ。民意を無視して強行することにも反対です。これは民主主義の問題です。参議院選挙に勝利し、この計画の変更を求めていく。社会の中で大きな犠牲や負担を強いられている人、困難を抱えている人たちを切り捨てる政治は間違っている。消費税率の引き上げには反対だ。国民の生活が見えていません。年収２００万円以下の人が働く人の４人に１人。一人親家庭の貧困率は５４・３％だ。消費税を上げれば生活が成り立たない。戻し税などの優遇を受ける輸出大企業にとってはよくても、価格に転嫁できない中小零細企業を倒産に追い込みかねない。社民党は法人税と所得税率の最高税率を約１０年前に戻すことで４・２兆円、お金を捻出（ねんしゅつ）できることを計算している。不公正税制こそ正すべきだ」

「社民党は沖縄を切り捨てない。社民党は高齢者、障害のある人、子育て中の人、介護をしている人、パートや派遣で働く人、長時間労働で苦しんでいる人、そういう人たちを切り捨てない。社民党は地方を、農業を切り捨てない。誰もが何らかの困難を抱えて生きている。その皆さんに応えるのが政治だ。政権は代わった。でも政治は変わらない。辺野古の海をつぶすことも消費税値上げもやるんでしょうか。だから社民党が必要だ。社民党は誰もがともに生きられる社会を全力でつくってまいります。どうか社民党を大きくしてください」

「国民新党はみんなで助け合いながら、みんなで幸せになっていく。日本のよき文化伝統を守り育てていく、そういう政治をやってまいる。そのためには国民生活が安定し、これが成長していかなければならない。今から当面取り組むべきことはやはり地域間の格差を是正しながら、また個人の所得間の格差を是正をしながら、いかに経済を力強く、成長をさしていくかということにつきるわけだ。今、いろいろと消費税をまあ、１０％上げるとか、そういうことがいろいろと言われておりますけれども、今、国民の方々がもう、生活にだんだんと困っていっておられる状況の中で、増税、特に逆進性の強い消費税を政党や政治家が言うことすら、私は国民の方々の現在の心が、また苦しみが分かっていないと思う」

「また、井戸がもう枯れようかとしているときに、つるべを増やして、そうして水をくみ上げる、そんな机上のそうした議論を政治家がまた政党が今、やるべきときではない。現在、どうやってこのデフレスパイラルから脱却をし、経済をきちっとしていくかということであろうと思う。また、郵政改革、今後とも全力を挙げて取り組んでまいる」

「また、在日の外国人の方々に対する参政権の付与の問題。また夫婦別姓。国民新党は断固として今後とも反対を貫いてまいる。それからやはり安全保障の問題、普天間の問題に端を発して、なんか、日本を守ること、そのための抑止力が海兵隊だとか、在日米軍だというような妙な錯覚が広がっておりますけれども、抑止力は日本は日本人が守るというその決意にある。そうして専守防衛の中でそういう具体的な努力をしていくことであるとこのように考えている。以上です」

　「消費税を上げる前に、やるべきことがあるだろう。これがみんなの党のアジェンダだ。みんなの党は名目４％以上の成長を続けることによって、１０年でお給料を１・５倍、年金もＧＤＰも１・５倍、増税なし財政再建が可能になる。そういう道を模索をすべきだと申し上げている」

「ところが、自民党も民主党も、消費税１０％にするってんですね。大体、これは、誰がこういうシナリオを書いているか。民主党も自民党も同じ人が書いているわけだ。つまり役所だ。脱官僚を目指した民主党政権が、まるで脱官僚になっていない。菅直人さんの『草の根』の冠がとれて、『官』内閣になってしまっている（笑）。本当に情けない。残念だ。あれだけ期待をしていたのに、何というざまなんだろうかという思いだ」

「まず、政治家自らが身を切るべきだ。この国会の前に、みんなの党は国会議員の歳費３割カット、ボーナス５割カットの法案を野党各党には提案をしてある。ぜひ、臨時国会では、与党にも賛成をいただいて、こういう国会議員の歳費カットをやろうではないか。定数削減も、与党も言っているから、ぜひやろう」

「その上で、やっぱり、日本を駄目にしてきたのは官僚統制、中央集権なんだ。結局、官僚任せの政治をやり続けてきた。これが日本の衰退の根本原因にあるわけだ。だったら、官が民を統制する。霞が関が地方を支配する。官僚が政治をコントロールする。この体系の頂点にある天下り。これを是正しなきゃいけないじゃないか。根絶しなきゃいけないじゃないか」

「ところが、どうか。今日の新聞、毎日新聞、一面トップだ。これね。現役の天下りを容認する。こういうことを、今朝ですよ。今朝の閣議で決めちゃっているわけだ。天下り根絶って言ってたのは誰なんだ。２万５０００人の天下りが、４５００団体に天下って、１２兆円のお金を使っていると言ったのは誰なんだ。民主党じゃないか。その民主党の脱官僚の本家本元、菅直人さんが総理になっちゃったら、現役のまま天下りを容認すると。何なんだこれは。独立行政法人とか特殊法人とか、公益法人。公益法人なんか民間ですよ。この民間をますます植民地にしていこうというのが、残念ながら、この菅内閣の正体だということがばれた。みんなの党は、みんなが主役の国造りをやってまいる」

「日本の戦後の歴史を振り返ってみたときに、政治とカネ、この問題でずっとスキャンダルが起こってきた。そして、国民の信頼を失った。私は、企業団体献金を禁止するということをキッパリと申し上げたいと思う。そして、やはり、『まず隗より始めよ』ということで、公務員制度改革も必要だが、国会議員の定数を思いきって半分にする。そういうことでなければ、国民の皆さんの信頼を受けないと思う」

「それから、経済について言うと、私が非常に危機感を持っているのは、過去２０年間、日本が停滞してきた。かつて日本の国際競争力は２位だったのに、今、２９位に落ちた。そして、『日本のガラパコス化』といわれる状況が進んでいる。つまり、ガラパコスというのは、進化に取り残された生き物がいるところだ。企業にしても個人にしてもルールにしても、本当に取り残されてしまった。だから、やっぱり、世界のなかの日本だという感覚を持つ必要があって、熾烈（しれつ）な国際競争のなかで、企業がどうしたら生き残れるか。この視点がない限り、失業者も生まれるし、給料も増えない。だから、私は実験場として、大阪経済特区、こういうところで、規制緩和であるとか、法人税減税であるとか、さまざまな発明、発見、こういうものを伸ばす道を模索したいという風に思っている」

「そして、消費税の問題だが、冒頭申し上げたように、まず、政治家自らが、身を切るということをやらないで、唐突に１０％。これ何なんだ。だいたい、私が閣僚だったときに、社会保障国民会議できちんとシミュレーションはやって、年金、これだけはやる、医療、これだけはやる。だから消費税何％と。だから、菅総理はそういうシミュレーションをお示しくださるのだろうか」

「もう一つは、地方財源をこれによって確保するということだ。菅総理は財務大臣だった。財務省の役人の言うことは聞いたかもしれないが、総務省と議論をしたのか。税というのは、国税もあれば地方税もある。こういうことの議論をきちんとやっていかないで、急に１０％といわれても、それは議論に乗れるような状況ではない」

「それから、私は選挙制度も、これは見直す時期に来ている。小選挙区制、２つの政党は政権交代を政策を中心に起こす。果たしてそうだろうか。そうじゃなかった。つまり、期待されたような小選挙区制の効果が出なかったということを示したのが、鳩山内閣ではなかったか。そういう意味で、外交防衛を含めて、私たちは責任ある政党として、夢と希望にあふれる、そういう日本に作り替えていきたいと思っている。ありがとうございました」

　「わが、たちあがれ日本は連日のように、街頭演説をしておる。そのなかで強く聞こえている声は『日本は危ない』という声を聴いている。私は３０年間、代議士をやっているが、ずいぶん、街頭演説をしたが、最近は１時間にわたって、街行く人が足を止めてくれて、われわれの演説を熱心に聞いてくれる。そして、異口同音に『日本が危ない』。こう主張している」

　「民主党政権の鳩山内閣は、当初は７３％の内閣支持率があったが、１９％をきるような状況になった。そして、鳩山さんは小沢一郎という政治家を抱いて退陣をしたら、一時期だと思うが、内閣支持率が６４％になった。最近、そのデータは急激に下がりつつある。私は日本が危ないと思っている国民の皆様方が、当然、そういう反応を示すと。このように思っているわけだ」

　「私ども、たちあがれ日本は、３つの大きな主張で結党をした。一つは、菅総理はここでお見えだが、残念ながら、来るべき参議院選挙では、民主党に絶対に単独過半数を与えてはならない。このために結党をした。それは国民の皆様方が一番よく知っていることだ。われわれ少数政党だが、私どもが存在する意義はそこにあると思っている」

　「２つ目は日本の復活だ。戦後６５年経って、日本人は大切なことを放擲をしてまいった。たとえば、自主憲法の制定というのも、自由民主党の立党の政綱にあったが、手つかずの状況だ。サンフランシスコ講和条約によって、日本は独立国にあいなった。しかし、この国の安全と平和は、自らの力で担保できてない。あくまでも日米安全保障条約に頼り切ってしまっている。だから、軍国主義になれということではなくて、やっぱり、国民総意の自主憲法をもって、この国の安全と平和を自らの力で担保していく」

　――まず、菅さんにうかがう。経済成長と財政再建を両立すると。消費税の問題を持ち出すと。ずいぶん、この９カ月の間で様変わりしたが、語ったことについて、十分な説明があったか。前のマニフェストはどういう具合で悪いからこうなったのかが、よく分からない。昔は昔、今は今という話なのか。基本的な考えは一体どうなのか。きちんとしないと、同じ民主党政権だと言いながら、理解されないところがあるが

　菅直人首相　「昨年の９月に鳩山政権が誕生して、まずやったのが雇用問題と新成長戦略の策定だった。１２月３０日に基本方針を出した。決して成長戦略、先週決めたのは、それを肉付けしたものだった。鳩山内閣スタートから取り組んできた。そして、財政再建を含む税制のあり方については、税調のなかで、昨年１２月末に決めた税調の大綱のなかでは、消費税を含めた議論を行うと。これも明記をさせていただいた」

　「そう言った意味で、突然、何か出てきたといわれるのは、私はそういう事実から違っていると思う。ただ、あえて言えば、私も財務大臣をやらせていただいて、Ｇ７（先進７カ国）などで、一つは税収が自民党政治、（言い直して）自公政権のときに比べて、９兆円あまり下がったことと、もう一つは、ギリシャに代表されるように、国債残高、ソブリン・リスクといわれるものが大変厳しいと。それに対するマーケットの見方が。そういった意味で、今の日本の状況は、実質上は社会保障にあてるべき消費税が足らないために、その分を赤字国債で事実上埋めていく」

　「だから、私は赤字国債のままでずっとこの社会保障が維持できるのなら、何も消費税の問題を取り上げる必要はなかったと思っている。しかし、逆に言えば、このままでは、社会保障制度そのものが破綻してしまう、そういう財政になっている。そういうことについては、やはり、国民の皆さんにしっかりとお伝えして、判断をいただくことが必要だと。そういうことで、申し上げたわけだ。

　――菅さんは権力の行使をどう考えているのか。先程も言ったが、政権交代の原点を今、思い起こさなければいけない。しかし、強行採決につぐ強行採決が政権交代の原点だったのか。所信表明をやりながら予算委員会も党首討論もやらないということは政権交代の原点だったのか。非常に疑問だ。菅さんの先生である、永井陽之助さんは、権力を持つと何でもできるという全能の幻想とユートピア思想は非常に危険だと。（普天間基地移設の）海外、県外もユートピア思想だと思うが、根本的な反省はあるか

　「国会運営については、色んな事情があったと思う。ある時期からですね、非常に、野党の皆さんの抵抗が強くて、なかには、筆頭理事に連絡を取ろうと思っても、なかなか取れないとかですね、野党の理事。そういったこともあった。そういった意味で、必ずしもすべてがよかったとは申し上げないが、そういうなかで、通常国会、もともと、参議院選挙がある年の通常国会は、あまり会期延長が難しいというのは、例年の常識でもある。そういったなかで、こういう機会も含めて、大いに議論していきたい。こう思っている」

　谷垣禎一自民党総裁「歴史的使命を終えたとは思っていないが、確かに８月３０日で相当おしかりを受けて嫌われたんだなあと、私あの後全国を歩いてそう思う。しかし自信を持っているのは、全国を歩きますと、やはり草の根の声を吸収する力は自民党はまだまだある。例えば口蹄疫問題だって、政権はあれだけグズグズされて危機管理も失敗されている。あれは多分草の根の声が全然入ってきていないのだ」

　「われわれのところにはガンガン入ってきているので、このまま危機管理で放っておいてもいけないというので、われわれの方で特別措置法を提案し、嫌がる政権を無理やり法案を作らせたということがあった。だから、こういうことをしっかりやっていけば必ず回復すると思う。今は去年の８月の残滓が残っており、顔を代えた効果、そのまま選挙になだれ込もうという効果が残っているのだと思う。だけど実態をこの選挙戦を通じて明らかにして、われわれも支持率を回復していきたいと思う」

　山口那津男公明党代表「今連立を組む考えはありません。民主党政権、マニフェストを政権交代しながら主要なところを実現できず、説明もなく変更する。菅政権に代わってから消費税も党内論議もなく、連立合意もなく、突然にマニフェスト違反のことを言い出す」

　「こういう政権の構造に対しては、大変危惧を持っている。われわれは連立を組む考え、閣外協力も含めて、そのような考えを持っていない。われわれはチーム３０００、いわば政党のチーム力を生かして、自ら国民のニーズをつかみ政策提言をしていきたいと思っている。これが基本だ」

　志位和夫共産党委員長「私たちは今のアメリカについて、例えば核兵器の問題について言えば、オバマ米大統領が昨年４月、チェコ・プラハで「核兵器のない世界を目指す」と（言われた）。これは前向きな方向だ。これが出てきたときには、私たちは大局的には協力できると考えている」

　「しかし私がこの前５月に訪米し、主にワシントンで国務省で話し合った件は、沖縄の基地の問題、米軍の基地の問題だった。そこでは真っ向から意見が対立する。私たちは『沖縄県民は絶対認められない。解決の方法は無条件撤去しかほかにない』とはっきり先方に伝えた。先方は『そうはいっても海兵隊、抑止力』と話してくる。そんなことはない。『海兵隊が行っているのはイラクやアフガンでないか』という厳しい意見対立があった。言うべきことはきちんという。ただ最後に米側から『立場は違っても意見交換は有益です。今後も続けましょう』という話があり、これはやっていきましょうということになった。私たちはそういうアメリカに対し、頭ごなしに全部悪いとは言わないけれど、きちんと沖縄の問題、基地の問題、国民の声を代弁して、堂々と言ってきている政党だと言いたいと思う」

　福島瑞穂社民党党首「ご質問ありがとうございます。社民党は日米共同声明に『辺野古に基地を作ることを進める』と書いてあったので、また閣議決定も『辺野古に基地を作ることを進める』とあったので、社民党は辺野古に基地を作らせませんと沖縄の皆さん、国民の皆さんに約束をしておりましたので、署名せず、私自身が罷免となり政権を離脱した」

　「社民党にとっても重い決断だ。でもそれは、国民の皆さんに対する約束だと思っている。ですから今後何をするかということで言えば、民主党のうちにも社民党と合わせて１８２人、『国外、県外』と言っている人がいる。大臣でなくなったので、今まで外務大臣の頭越しになかなかやれなかったが、今後はもっとダイナミックに米にも行き、交渉しようと思っている。結論から言えば、日米共同声明に『辺野古に基地を作る』とある限り、連立を組むということはない。極めて難しいと思う。共通に派遣法改正法案を作ってきたこともあり、その共有でやってきた政策については、社民党の政策実現のために頑張っていきたい」

　亀井静香国民新党代表「私はね、税制というは常に議論申していくというのは当たり前のことだと思う。しかし、今国民生活の実態をどうするんだというときに、税金を取って財源を取ってどうにかしようという前に、やるべきことをきちんとやっていくということ。これが私は大事だと思う」

　「菅さんも私は基本的に考え方は違わないと思う。私も長い間議論してきた仲ですから。去年ご承知のように、私どもとしては４年間、消費税は上げないと国民に約束している。今われわれは消費税の中身を議論どうだと言う前に、やるべきことをきっちりやる。景気対策、あるいは格差の是正などを含め、それをやることだ大事だと言っているわけだ」

　渡辺善美みんなの党代表「民主も自民も大きな政府ですね。成長よりも分配重視。われわれは成長重視・活力重視の小さな政府。これがみんなの党のアジェンダだ。従って、みんなの党が仮に参院でキャスチングボートを握らせていただければ、民主党が繰り出してくるバラマキ法案、リストラをやらない法案、こういうものを全部け飛ばす。ゲートキーパーをやらせてもらう」

　「そうすると民主党のなかにも心ある人がいるかもしれませんね。そういう人たちは求心力から遠心力に入っていく。かつての自民党が崩壊過程に入ったのと同じように、民主党も崩壊過程に入り、政界再編が進んでいく。私たちは官尊民卑という政治文化を逆転する。そういう新たな政治勢力を結集したい」

　舛添要一新党改革代表「一つは発足が非常に遅れた。最後まで自民党の中で改革しようと思っていたので。いよいよ最終日に作りました。そういう意味で、いろいろ準備も進んでいない。事実上選挙戦が始まった。街頭に出る。色んな所で国民に訴え申し上げ、確かな手応えをいただいている。これからたくさん政党があるものだから、国民の皆様方も誰がどの政党かって非常に分かりにくいと思う。それを差別化していって、きちんと政策を訴えれば必ず一定の支持を得られると思っている。スタートは遅れたが、全力をあげて追い込んでいきたい。まだ投票日まで３週間あるので、きちんと政策を訴えていきたいと思っている」

　平沼赳夫たちあがれ日本代表「一つはマスコミの皆さんを前に恐縮だが、われわれの党ができたときには、決していい宣伝をしてくださらなかった。それが一つ大きな原因に、私はあると思う。しかし着実に、この日本にとって必要なことを愚直なまでに言い続けていけば、必ず支持はあがってくる。そこで、３番目の政界再編の起爆剤になろう。そういう意気込みで今後着実に頑張っていきたい」

　――参院選の最大の争点として消費税の問題が浮上している。民主党の中でも税制についての議論が分かれ、腰が定まらない印象を受ける。２つうかがうが、税制の超党派の協議会を呼びかけているが、民主党としてどう考えるかの案を出すのか。協議会を国会に設けるのか、どういう組織にするのかも含めてうかがいたい。２つ目は、社会保障に充てる税金が足りず、赤字国債で埋めている分を税制で考えなければならないと菅首相は言っていたが、民主党の今までの公約は埋蔵金があったとか、首相自身が鼻血が出なくなるまで歳出のカットをやらなければならないと言っていた。もうこれ以上、社会保障の面倒を見るために歳出のカットを続けるには限界があると考えているのか

　菅首相「ちょっと順番を変えてお答えして恐縮だが、鼻血が出なくなるまでという言い方をしたし、私は消費税の議論をするからといって、その申し上げたことを断念したからでは全くない。今回、わが党でも最強ともいえる蓮舫氏に行政刷新担当相になっていただき、これから第３弾、第４弾、さらなる、これまではお金の面でやっていたが、組織とか制度とかに踏み込んだ徹底的なムダの削減をやっていく。決してそれをあきらめたから、何か税の議論をするということではないということを申し上げておきたい」

　「それから、わが党の中での議論がなかったのではないかという指摘もあるが、このマニフェストをよく見ていただきたいと思う。強い財政というところに、きょう閣議決定したこととも重なるが、まず短期、中期、長期の考え方をきちっと明記している。その中で、消費税については早期に結論を得ることを目指して消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始します、と。これはまだ鳩山政権のときから規約会議とか、党と内閣の関係者が出て、かなり議論を積み重ねて最終的に合意した中身だ。私は、こうした合意を得たことを踏まえながら、その中でどのようなかたちで進めていくのかということで、超党派の議論をぜひ呼びかけたいと。その場合に、自民党が提案されている１０％というものを一つの参考にさせていただきたいと申し上げた」

　「同時に、あのときの記者会見でも申し上げたように、じゃあ呼びかけて、それが始まるまで何も準備をしないのか。もちろん、そうではない。すでに先ほど申し上げた昨年の税調の大綱でも、税制の、消費税を含めた議論をすることにしていたし、すでに専門家会議、神野（直彦・関西学院大教授）座長のもとで、消費税を含む議論をかなりやっていただいている。これは所得税も法人税もだが。そういうかたちの中で年度内、つまりは平成２３年の３月末までには、平行して超党派の議論をスタートできれば。どうしても駄目な場合は、わが党として考え方をまとめていきたい」

　「そのとき大きな柱になるのはやはり逆進性、逆進性という言葉がなかなか分かりにくいので、簡単に言えば、所得の低い方に大きな負担はかからないで済むような軽減税率とか、場合によっては消費税負担分をお返しする還付制もあわせてきちっと案として考えをまとめていきたい。だから、それは片方だけやるということではなくて、平行して進めていきたいと考える」

　――超党派の協議について、谷垣氏はまず民主党のマニフェストを撤回すべきだと言っている。今回のマニフェストは子ども手当の満額支給を断念したが、半額でも毎年２兆７０００億円のお金を出し続けなければいけない。高速道路の無料化や農家の戸別所得補償も世論調査では必ずしも評価が高いわけではない。そういうものに対しても、これからもマニフェストに書かれているからと言ってお金をかけ続ける一方で、財政健全化で消費税の増税が必要だという議論は、なかなか説得力を持ちにくいと思うが、消費税の議論をしていく中でマニフェストに掲げた主要項目の歳出を見直すということはあり得るのか。それともマニフェストに書かれていることは必ずやることを前提にしつつ、消費税論議をしていくのか

　菅首相「昨年の衆院選の段階でのマニフェストについては、かなりできたものがある。初年度の子ども手当１万３０００円もできたし、農家の戸別所得補償も５０００億円強でできたし、高校の無償化も進んだ。一部だが、高速道路の無料化も進んだ。しかし、できないものも確かにあった。暫定税率をなくすことの税率の引き下げはできなかった。だから、そういう昨年のマニフェストで申し上げたことの中で、さらに進めることができるものは進めるということで今回のマニフェストにもその旨を書いたし、また昨年は個々までやりたいと言ったが、必ずしもそれができなかった、あるいは子育て支援のように、子ども手当のように１万３０００円を超える部分については直接に、例えば保育所を作るとか、そういうかたちの方が有効ではないかという議論も党内外にある。そういうことについての見直しは当然それも含めてやっていきたいと思っている」

　「一つだけ、どなたかが先ほど言われたが、財政再建のために消費税を使うのは反対だという趣旨の話もあった。よく国民の皆さんにもご理解いただきたいのだが、財政再建という言葉には借金を減らすというイメージがある。しかし、今日本は借金を減らすのではなくて、毎年毎年の予算の中で借金が増えている。とくに予算総則の中では、消費税は高齢者の社会保障にあてるといって、当初は消費税５％の約７兆円、国分はほぼ高齢者の社会保障とイコールだった。しかし、それから十数年経って、今高齢者の社会保障にかかる費用は１７兆円かかっていて、こちらは変わっていないから７兆円だ。１０兆円は実は財源がないために事実上赤字国債を吸い込んでいる。だから、この赤字国債をやめて、例えばそれを消費税で賄うとしても、財政の再建といっても借金が増える勢いが減るだけで、借金そのものが減るのではない」

　「私が申し上げているのは、これ以上借金をドンドン増やしていって本当に国債がいわゆるマーケットから信任が継続できるのかと。間違えば、ギリシャのようになれば、社会保障の根幹が崩されるし、国民の生活が大きく破壊される。だから社会保障を守り、国民の生活を守るためには、そろそろこれ以上の借金の積み増しは、そろそろ抑えていく必要があるのではないかと。そのことを他の与党、野党の皆さんとも話をしたいという気持ちで呼びかけをしている」

　谷垣氏「協議を各超党派でやろうということは、もともと私たちが言い出したことだから、われわれも基本的にそういう考えは受けて立とうという気持ちを持っている。しかし、マニフェストの基本構造というのはある意味では簡単で、子ども手当であろうと、農家の戸別所得補償であろうと、高速道路料金の無料化であろうと、たくさんムダがあるから、２００何兆円ある特別会計をサーッと見れば２０兆円ぐらいのお金は出てくると。昨年の民主党マニフェストを持ってくるのを忘れたが、あの中にも何年間で１６何兆円やると書いてあった」

　「菅さんが先ほど９兆円、不景気で税が少なくなったとおっしゃったが、要するに今までからムダを何を削るかというのが実はできていない。だから４年間消費税を上げないと言っていたが、それを撤回せざるを得なくなった。経済と財政構造に対する根本的な見方が狂ったわけだから、そこをどうされるのかというのをまずやらないと、われわれはなかなか『はい、そうですか』とは言えない」

　「それからもう一つ、菅さんがおっしゃっているのは、本当に民主党の公約なのか。公の約束なのか、口約束の公約なのかと。それをしないと、最低でも県外と言ったのも、あれは去年、マニフェストには書いていなかった。鳩山（由紀夫前首相）さんの口約束だということになっちゃう。それと同じことじゃあ、一緒になかなか乗れない」

　山口氏「赤字国債が増え続ける、借金が増え続けるということに対しては、これはこれ以上増えないようにするということと、減らしていくということ、両局面で長期的に考えていく必要がある。これを全部増税でやるということをしていたら、それこそ国家は破綻する。財政再建は基本的には経済成長による税収増、それと徹底した歳出削減。この２点にもっと力を入れる必要があると思う」

　「消費税はやはり逆進的、つまり所得の低い人により重い負担という特性があるから、ここは社会保障をまずどこにどうあてるべきかということを議論する必要があると思う。民主党は、この最低年金制度とか、そこに消費税を５％あてるとか言っていたはずだ。しかし、その具体案はまだ出ていない。それが明確にならないうちに消費税を上げる、財政再建だと言われても国民はとまどうばかり。反発すら買うのではないか。社会保障の協議会を作るべきだと思う」

　亀井氏「まず私は菅首相に申し上げたいのだが、税制を検討するのは当たり前の話だ。しかし、その前に、いま仕事がない、所得が下がっていっている。もう商店街も大変だという、こういう状況に対して、どういう手を打っていくのか。まず財源を作らないとできないんだということなのかと。財源を作ると言っても時間のかかる話だ。税制改正したって。だって特別会計だって、役人が握ったままにしているのを、かつて民主党が言っていたように、これをきちっとはがす。１０兆円や１兆円はすぐ出てくる。はがせば。役人が抱えちゃっているんだから。そういうことをやって当面、国民生活をどうするかということを真剣に考えることをやった上で、税制全体をみんなで考えようというなら私は賛成だが、その前提をはずして、まず税金の取り方を考えましょうなんていうのは、私は逆立ちしていると思う」

　渡辺氏「われわれは消費税増税が必要だとはいっていない。名目４％以上の成長を続けることによって、たぶん５年から１０年の間にプライマリーバランスが回復してくるので、増税はまったく必要ない。消費税は、そもそも地方の基幹財源にしましょう、というのがみんなの党の提案である。消費税ほど安定した財源はない。こういうものこそ地方の財源にふさわしい。国が一方的に消費税率を決めるのは、こういう発想からはありえない。借金が増えたのはなぜかといえば、成長が止まったからで、官僚統制が色濃く残っているから。だから、脱官僚、地域主権で成長を回復しましょうと申し上げている」

　舛添氏「まだまだ無駄の排除が十分じゃない。私は国会議員の定数削減を申し上げた。そういうことをきちんとやることが前提であることと、やはり成長だ。経済成長が２０年間停滞して、デフレが２０年続いている。なんでこういう状況になったか、きちんと検証し、規制緩和を含め、法人税減税を含めて、国際競争の中で生き残れる企業をつくることをまずやらないといけない。その上で、社会保障の目的税化をやることと共に、地方財源として活用する。そういう前提をきちんとしないで、ただ唐突に（消費税率）１０％と。そういうことの協議に乗るわけにはいかない」

　平沼氏「これまでの議論で２点だけ異議をいわせてもらう。例えば、強い経済だとか、強い財政を菅首相が言っているが、４月２６日に、わが党が印刷物でマスコミにも配布したが、わが党が真っ先に言い出したことである。いま俗な言葉でいうと、パクられたとしか思ってない。それから、１０％の消費税だが、菅さんの話を聞いていると、『自民党が１０％と言っているから、それを打ち立てた』という趣旨の発言があった。政権政党としておかしな考え方だ。どういう内容で、どういう方法でやるかをまず打ち立てないとならない。与党として、野党が言ったから、それをベースにすることは不見識だ。消費税に関しては、まず景気回復を第一にやるべきだ。そして２０１２年から福祉に限って３％やる。１％は約２．５兆円だから、３％を上げて、そのうちの１％を法人税や所得税の減税に向ける。２％は商品に限ってあてていく。そして状況をみて将来的には４％から７％の間で、国民の合意を得て上げていきたい。だから、そういう協議をやることになったら、そういうことを話すため、その協議に出ることは賛成である」

　志位氏「私たちはそういう考えである。将来は消費税の廃止を目指すのが私たちの考えである。先ほどの与野党協議だが、民主党のマニフェストをみると『消費税を含む税制抜本改革に関する協議を超党派で開始します』と書いてある。消費税増税を目的にした協議であることは明瞭である。『赤信号みんなで渡れば怖くない』とばかりに消費税大増税の大連合をつくっていこうと。それでいったん、超党派協議で結論が出たら、国会でまともな審議なしに、右から左に通してしまおうと。こういうことには参加しないし、こういうやりかたそのものをダメだと審判を下すことが大事だ」

　「それからもう１つ。私は今回、政府がやろうとしているやり方では、財政再建にもならないし、社会保障の財源もつくれない。民主党のマニフェストをみても、強い財政の目玉になっているのは消費税の増税で、強い経済の目玉になっているのは法人税である。法人税を２５％に下げたら、９兆円の穴が開く。消費税を５％上げても、１１兆円の税収が新たに生まれる。ほとんど法人税の減税の財源になってしまう。これでは福祉の財源はつくれないし、財政再建にもならない。そういうことを私は厳しく批判している」

　福島氏「社民党は消費税の引き上げには反対である。なぜ不公平税制、とりわけ法人税、その中でも所得税の最高税率をなぜ１０数年前に戻すことを他の党が提案をしないのか。所得税の最高税率はどんどんフラット化している。１８００万円の年収がある方も、１００万円年収がある方も同じ税率である。日本の今の問題は格差であり、貧困であり、社会保障や雇用が壊れたことだ。所得税の最高税率、法人税、まあ中小企業は別だが、それを戻す。今の時点で消費税を上げれば、自民党も１０％といっているが、輸出に強い、輸出する大企業は消費税がかからない。輸出戻し税がもらえる。ところが中小企業、零細企業は、今だって５％で、価格に転嫁できない。全部自分でかぶっている。消費税を払うのは事業主なので１０％に上がったら、私は自殺担当相だったが、中小零細企業の倒産、それに伴い死に追いやられる人は歴然と増えると思う。福祉目的税というが、予算総則に書くだけで、お金に色はないので、本当に福祉になるのか。福祉に使うといいながら、みんなを痛めつけてどうするのか。英国は食料品に消費税はかからない。西欧で長い時間をかけて医療費タダ、教育費タダ、そうやってきたことを時間をかけてやるならともかく、今消費税を１０％に上げれば生活は壊れる」

　菅首相「１つだけ。共産党の皆さんが、法人税を抑えた、その税が少なくなるのを穴埋めするため消費税を考えているのではないか、という。これはまったく間違いだ。たぶん、志位さんが、これは経済界かもしれないが、『法人税を下げたら１５兆円』と言ったが、これは平成１９年の２４兆円くらい法人税があったときの計算で、今は半分に少なくなっている。確かに国際競争、特にアジアとの競争の中で、税率を下げる方向での議論が進んでいるが、課税ベースを広げながら下げていこうということで、決して大企業のために減税をするとか、そのために消費税を入れるとかでは全くない。つまり、アジアや世界の競争にしっかり勝ち残るためには、課税ベースを広げても税率そのものは下げていく必要がある。１５兆とかいう数字は、平成１９年の数字であるということをはっきりしてほしい」

　「それから福島さんが言われたことは、長い間の付き合いなので申し上げにくいが、だいたい欧米の社会福祉国家といわれる国は、基本的には社会保障の財源の多くを付加価値税、日本でいう消費税をあてている。だから、税を上げない方がいいというのは、それは上げなくて済むなら上げない方がいいわけで、今は事実上、社会保障にかかる費用で、税で足らない部分を赤字国債で埋めている現状をこのまま継続していったら、継続は不可能だという現実を踏まえて、それを含めた対案を出してほしい」

　志位氏「いま話した９兆円というのは平成１９年度の数字である。いま一時的に過剰生産恐慌になっているわけで、その数字を使っているわけではない。しかしこの問題は先々の税制の問題を議論しているので、９兆円という数字は当然だ。それに、菅さんは『間違いだ』というが、経済産業省が出した『産業構造ビジョン２０１０』の中には２５％という数字がある。この問題が一体になって提起されている。このことは事実だ。皆さんのマニフェストに書いてある。こういうやり方では決して福祉の財源は作れない」

　菅首相「私が副総理の段階で、いくつか関連する議論の場をつくった。例えば、番号の問題、それから年金の問題。年金問題の基本的な検討の方向性は、そう遠くない時期に出す予定だ。やはり、一番大きな問題は一元化の問題だ。先ほど山口さんが年金のことを言ったが、自民党、公明党は確か２００４年に『１００年安心の年金』といった。残念ながら、６年経って、まだ１００年経っていないが、とても安心な状況にはない。一元化を含めて、仕事を変わっても安心して継続できる年金という、これは制度設計根本からなので相当時間はかかる。他の党からもあったが、かつてスウェーデンが年金制度改正のときには与野党で長時間かけて検討した。特に年金についてはやるべきだと思っている」

　「それに加えて、介護の面で特に申し上げているのは、医療もそうだが、負担という言葉で社会保障が語られるが、必ずしもそういう分野にお金を振り向けることが、負担だけではなく、成長分野にある意味で資金を投じて、それを超えた経済的なメリットもあわせて生まれてくる。例えば、介護分野は需要はたくさんあるが、あまりにも介護従事者の人件費が安く抑えられているために、せっかく需要がありながらサービスを供給できていない。そういう分野に財政資金を振り向けることがちゃんとできれば、そこに雇用が生まれる。つまり失業が減る。そして、供給された介護サービスを受ける人には、サービスが上昇する。こういった考え方で、社会保障イコール負担と考えるのではなく、雇用を生み出し、サービスを生み出す成長分野もあるということで、成長と社会保障は対立するものではない。財政再建もあわせて一緒に前進できるのだ」

　菅首相「まさにこの法人税、さらには実は所得税、それに消費税、もちろん環境税とかいろいろプラスしたものもあるが、そういう議論を本格的にすでに税調専門家会議の中で議論いただいている。成長戦略の中で、そういった国際競争という観点からは、そういう税率そのものを下げる方向で検討しようと」

　「それに加えて、最近、実際にも行われたが、海外で稼いだお金と海外で残しておく企業が大変、増えているわけだが、それを国内に持って帰って投資に充ててもらう。そういう意味では国内に持って帰ったときに二重課税にならないような、そういう仕組みも今、動き出している。そういうことで、稼ぐのはいろんなところで稼いでもらって私はいいと思う。しかし、それをちゃんと国内の給与とか、あるいは国内で投資に使ってもらえれば、そこでまた雇用が生まれるので、そういうものに振り向けるということは当然、考えなければいけない。そう思っている」

　谷垣氏「その前に、さっきからかなり議論が混乱していると思う。これはやっぱり菅さんに責任があると思う。それは消費税をいったい高齢者の医療、介護、年金に充てるのか、それとも前から主張しておられたような最低保障年金を年金方式でやるのか。それとも、成長分野に充てるのか。そういうことをはっきりさせないで、『いやぁ、なんか自民党が言っているから』みたいなことおっしゃるから、議論が混乱してしまう」

　「そして、菅さんがおっしゃらなきゃいけないのは、何かゆっくりするようなことをおっしゃっているけれども、菅さんは団塊の世代の走りですよね。もう数年たって、菅さんの世代はみんなウワーッと年金生活者になっていく。それをどうするか。それから国際市場のことを考えたら、そんなのんびりしたことをおっしゃっちゃいけない。やっぱり菅さんは明確な税に関しても方針をお示しになって、言わないから『逃げるな菅』といわれちゃうわけですよ」

　「それからもう１つ申しあげたい。成長政策ですね。私どもも法人税は国際競争ができるようにしていかないと、何よりも雇用が奪われてしまうと思う。このまま続けていれば。みんな海外に逃げちゃう。だから下げる必要はない。それから、いろんな、成長していく分野に焦点を当てて国が支援を集中していく。こういうこともやらなければいけない。そういう意味では、何か、先ほど『パクり』という言葉があったが、われわれの時代につくったのと性格がそっくりなものを、なにか懐かしい気がする。それを実行するのはどうするかということをガンガン持ってきてもらって」

　菅首相「まず、谷垣さんが成長のことを言われたが、一言申しあげると、典型的に言えば日本にハブ空港が十分なものが１つもないように、これまで政治のリーダーシップは関係の団体とか自分の地元というものの利益は代表したが、日本の将来を見通しての選択と集中がされなかったということが２０年間にわたる低成長の根本的な原因の１つだ。もう１つは今日、聞かれれば言うが、竹中・小泉路線の間違いだ。私が申しあげているのは、他の党が言われているのと、成長の部分についてそう違うとは思っていない。やはり成長させていかない限り、パイを大きくしていかない限りに、日本は元気にならない」

　「消費税について話は、先程来、なにか方針を変えたようなことを言われるが、確か３党合意の時にも、去年のですね、去年の衆議院でいただいた政権の任期の間というか、次の衆議院の選挙までの間は上げないというお約束したわけであり、本格的に議論が煮詰まっていって案を出せる段階では、やはり国民のみなさんにしっかり判断を頂くことが必要だと思っている。少なくとも、政治家がよく『命をかける』と言って逆によくからかわれるが、私は国民のみなさんに判断してもらうと言っていることが一番、政治家が政治生命をかけて申しあげていることだと。そういうふうに理解していただきたい」

　亀井氏「私は菅さんは財源をどうすべきかということについて、消費税を含めて、ある意味なく聖域なく考えていこうということだと思うが、しかし４年間は上げないということを去年、約束されたばかりなので、菅さんが選挙を経ないでそれをおやりになることは、私は菅さん、絶対ないと。このように思っている」

　「なぜ、こうしたかたちになったのかと。それはいろいろな見方があると。やはり鳩山総理という方は、１つの理想を持って、それに思い切ってぶつかっていくと。例えば地球温暖化の２５％（温室効果ガス削減）も、私もそばにいて、ここまで国連で言われる、タイミングとしても非常に早かったので、すごい勇気だなと思って見守っていた。私はこれは賛成ではあったが、そういうふうに思っていた」

　「鳩山前総理としては、それなりの理想を掲げて打開ができるという思いがあったんだと思う。まあ、ただ、その結果を見ると、やはりこれは相当に、重いだけではなくて、かなり複雑な経緯があるわけで、そういった点では、その複雑な経緯を十分に検証する中で、この方向性を組み立てていくことにおいて、まあ、やや不十分さがあったのかなと。このように思っている」

　「やはり、日米合意を守るという、それを踏まえてやるということは、これは前政権のお約束であり、私の政権の約束であることは、変えるつもりはない。ただ、だからといって、沖縄のみなさんの理解がない中でも、何かそういう特措法のようなものをつくって、強引に推し進めるというのは、それは新しい普天間の移転の問題だけではなく、幅広い沖縄の他の基地の問題や、日米関係を含めて必ずしもそれがいいこととは思わないので、そこはしっかり、沖縄のみなさんと、この問題だけではなく、つまりは移転の移転先の問題だけでなく、それ以外にもいろいろと、例えば同じ海兵隊もある数以上はグアム移転という方向性はできているわけなので、そういう軽減策もしっかり並行的に進めていく。そういう姿勢で臨みたい。こう考えている」

　菅首相「まあ、私どもは日米同盟には２つの側面があると思っている。１つは言うまでもなく軍事同盟だ。しかもこの軍事同盟は、日本の防衛ということだけでなく、結果として安保改定から５０年目、戦後六十数年、アジア地域のやはり安定の１つの国際的なインフラ、ベースになったということは、これは他のアジアの国々も認めている。いろんな側面の見方はあるが、１つの安定要因だったと思う。そういう意味ではアジア、さらに世界において、この日米の軍事的な同盟の側面は、自分たちの国の安全ということだけでなく、アジアの平和にもつながるというかたちで、いかにすれば、きちんと維持し、発展させることができるか。この視点が必要だと思っている」

　「もう１つは軍事的な面だけでない、幅広い同盟ということがあると思う。今、やや、日本とアメリカ、これはアメリカだけに限らないが、若者がアメリカの大学院に行くと、そういう文化的な交流、人間的な交流が非常に薄くなっている。やはり日本とアメリカというのは、民主主義とか、もちろんそれは文化いろいろあるが、いろんな面で共通性がある。もちろん、中国やアジアの国々とも文化的な共通性がある」

　「さらに言えば、先日、カルザイ・アフガン大統領にもお会いしたが、例えば農業支援とか、あるいは治安のための警察官のトレーニングとか、鳩山総理の時代に５０億ドルの支援を決めているが、こういった活動はある意味では世界の平和にとっても有意義だし、ある部分、アメリカのできない部分を、日本が積極的にやっていくと。そういった意味で両面から考えていきたい。何かこう、狭い範囲ではなくて、広い範囲の日米のあり方を、近くオバマ大統領に初めて直接にはお会いするが、それを皮切りにしっかりと時間をかけて議論していきたいと。こう思っている」

　志位氏「菅首相も首相になられる前は米海兵隊について抑止力ではないと。海兵隊は守る部隊ではなくて、地球の裏側までいって攻める部隊だと。米国内に戻ってもらうといっていた。私はどうして立場を変えたのかと国会で聞いたが、定かな答えはなかった。海兵隊は抑止力だとこの呪縛にとらわれたところに民主党の変質があったと思う。海兵隊は決して抑止力ではない」

　「実際に海兵隊が展開している場所はイラクやアフガニスタンではないか。普天間の海兵隊も１年のうち半分は中東にいっているわけだ。日本の平和を守る抑止力ではない。沖縄を根城に世界に攻め込む侵略力というのが私たちの認識だが、その点で菅首相はかつては真実をいっていた。ところが、いまは抑止力だと、極めて重要な抑止力だとかわった。これは大きな米国いいなりの、追随の姿勢が表れていると言いざるを得ない」

　平沼氏「私は決して右だと思っていないが、日米安全保障条約というのは日本にとって大切な条約だ。これをしっかりと守っていく。しかし、守っていくと同時に、日本というのはやるべきことはしっかり努力してやっていく。この国の安全と平和を、軍国主義になるという意味ではなくて、しっかりと担保する、それで条約というものは円滑に作用する。この意見を右だと思われると私は非常に迷惑する」

　菅首相「一からという意味は細かくこの部隊がどうだということではなく、大きい意味でもう一度安保５０年の時にあたってしっかりと議論していく必要がある。例えば、当初は日本がサンフランシスコ条約を結ぶまでは米国が現実に占領していたわけだ。それから１０年間がいわゆる旧安保の時代で、いわゆる米ソ対立の中で、その後もどちらかといえばソ連の軍事力に対して米国が日本を守る。そして、核抑止という問題が中心的だったわけだ」

　「そういうことの問題と、私は国会でもいったがベルリンの壁が崩壊し、米ソの対立がなくなり、ある時期、平和の配当といわれたように軍事力による抑止が必ずしも高いレベルじゃなくても大丈夫になるのかなと思っていたが、残念ながら９・１１の問題、北朝鮮の核実験、さらには哨戒艦沈没事件など残念ながら東アジア、北東アジアの緊張関係というのはかなり高いレベルにまだ存在するわけだ」

　「なにかこの部隊が、どの部隊がというのを越えて、今政権の責任者になった中でトータルの問題として米軍の存在が大きな意味での抑止力という機能を果たしている。しかし、同時に沖縄の皆さんの負担をいかに軽減できるか。それは抑止力が必要だから、軽減は必要ないということではない。これには全力をあげる」

　舛添氏「軍事的な脅威うんぬんは意志と能力の問題がある。意志は分からない。他国から見て。どれだけの能力をもっているか。海軍含めてものすごい軍拡を中国はやっている。尖閣に補給なしに行ける地域は沖縄諸島しかない。軍事技術を大きく地政学を変えるぐらいな改革をやっていけば変わるが、現在の軍事知識を前提にすれば沖縄の位置は極めて重要である」

　「日米同盟は片務性が強いから、双務性を高める方向で国際協力なんかをやってきた。そういう中でしか沖縄の基地の問題は解決できないと思うし、中国の軍事的脅威というのは意志は別にして能力はあるから、それに対応するために日米の協力とロール・アンド・ミッション、役割と使命、このことをきちんと議論していかなければならないので、ただ海兵隊の抑止力うんぬんという問題に限定すべきではないので、広い観点からアジアの安全保障を考えるべきだ」

　谷垣氏「中国の海軍力増強というのは非常のものがある。意図が明確ではないが、逆にどういうことでやっていくのかという透明性もあまりあるわけではない。したがって日本にとって脅威にしないように、隣の国だから脅威にしないようにやっていくためにはどうやっていけばいいか、そこに日米安保の意味はあると思っている。舛添さんの考えと共通だ」

　「ただ、菅首相に言いたいのは少し前は日米安保は不要であるような言い方をされ、今日にいたっては日米安保は必要だということになると、財政の話もそうだが、一体民主党政権の背骨はどこにあるのか。こういうことで同盟国との信頼関係を維持できるのか、そういうことが非常に心配だ」

　菅首相「谷垣さんが日米安保は不要だといわれたが、そういうことは私個人としても言ったことはないし、民主党の中でそういう議論があったことはない。中国は非常に大きな経済力ばかりでなく、軍事力も強めているということは非常に注目し、注意をしないといけないと思っている。ある意味では中国に対しての対応は日本と米国はある見方をするとやや共通の立場にあると思う」

　「経済的には日中関係も米中関係もさらにウイン・ウインの関係で大いに進めたいということと、しかし、あまりにもバランスを崩す形で中国の軍事力が大きな影響力を持ってくるのには米国にも警戒心があると思う。古い言葉だが、バランス・オブ・パワーという言葉があるが、やはり日米がしっかりとそういう面でもきちんと連携している、将来にわたって連携しているということがあれば、逆に日中関係も米中関係も、もちろん日米関係も安定的なものになると。それが崩れたときに不安定になると考えている」

　福島氏「離脱してよかったというのではなく、社民党自身は鳩山由紀夫前首相が国外、県外といっていて、鳩山前首相と実はまったく同じ考えで、連立３党の合意にもとづいて社民党はやってきて、そのことが実現できない、約束自身を言葉に責任を持つ政治をやるんだということで離脱をしたので良い悪いというのはちょっと言えない」

　「これしか選択はなく、またパワーアップして頑張ろうと思う。ただ、残念なのはせっかく鳩山内閣になって中国や北東アジアにおける安全構想もやろうとか、日米関係を対等にしてもっと議論しようというのが、ぐーと元の自民党に近くなっているのではないかと大変懸念する。抑止力についても佐世保に艦船があるわけだから、沖縄に海兵隊があるという必然性はないし、日米安保を理由に、抑止力を理由にいつも沖縄に基地負担を押しつけて、新たな基地を造ろうとしていることをなぜ端的に見ないのか」

　「日米安保条約やその議論は大事だが、なぜ嫌だという異議申し立てを無残に切り捨てるのかという政治の問題でもある。その観点から言えば、政権は代わった、でも政治が変わらないというのは残念なので、新たな政治の中ではっきり日米安保条約をどうする、中国との関係、抑止力、海兵隊についても社民党は果敢に論戦して、ぜひ菅首相、日米共同声明にある辺野古に造る、これはできない計画だから見直しができるよう頑張っていく」

　首相「私はまだオバマ米大統領には直接は会っていない。電話ではあったが、これからだ。現在の日米関係を大事にするということだけではなく、将来を見通したアジアのあり方、日米関係、世界のあり方について、１つの共通の方向性を共有できるという関係が生まれればいいなと思っている」

　「今の朝鮮半島の状況の中で、かなりこれは韓国自体も自制的な行動をとられているので、何とかこれ以上の大きな危機にはならないでほしいし、そうならないためにも日米韓のしっかりした連携が必要ということで先日も防衛相レベルの会議も続けているが、かつて周辺事態法もできており、そういう意味ではこの地域の不安定さというのはある意味では日本の自衛権にもかかわることも十分にありうるので、なにか一足飛びに集団的自衛権ということではなく、そうした日本にとっての脅威に対してはそこは米国と協力しながら毅然として態度で臨む必要がある」

　菅首相「まず政権を私が引き継ぐというか、担当した時点では大変、参院選の状況が厳しい状況だったので、まずは６年前の議席、あるいは現有議席の５４をベースにして、それを上回る努力をしたいと申し上げたし、基本的にはその気持ちは変わっていない。しかし、今まさにおっしゃるように、もう一つの選択は衆参のねじれということが、私たちも逆に参院で野党で過半数だった時代も含めて、ねじれということが望ましい姿なのかどうかというのも国民の皆さんが判断をいただく一つの要素ではないかと。確かに何かを止めることはできる。しかし、何かを進めるときには、このねじれの状況は非常に時間がかかるし、あるいは物事がどちらの方向にも進まなくなることがある」

　「そういった意味で、私たちは『５４プラスα』ということで、基本的に考え方を、政権という意味で共通にする人たちとの連携はこれまでもやってきたし、これからもとりたいと思っているが、できればやはり政策をドンドン実行できるような、そういう政権を作りたいし、それを作らせていただきたい。これは国民の皆さんに対する、いわばお願いだ」

　菅首相「何か、一番大きな落とし穴の質問をいただいているようだが、今申し上げたのは、政権運営を私も長年、野党が長かったが、野党も含めてみていて、衆参のねじれということが政権運営にとって非常に難しいということは、たぶんどなたが運営してもそうだと思う。だから、そういう意味で『５４プラスα』の『α』を大きくすることに全力を挙げるが、『α』がいくつだったら責任とか責任ではないということではなくて、やはり現有議席を超えるということが、代表を引き継いだ立場としてはまず超えなければならないハードルだ」

　――かつて、福田康夫元自民党総裁（首相）と小沢一郎前民主党代表が大連立を仕掛けたことがあったが、菅首相はそのときどういう感想を持っていたか。また参院選後、民主、自民両党が単独過半数にならなかった場合、財政再建や安全保障をとりあえず進めるための大連立の選択肢はあるのか

　菅首相「私は当時、小沢代表だったと思うが、福田首相と議論を重ねられた。実は当時も出たが、そういう大連立の話をしておられるということは、そばにいた私たちも全くそんな話はないという話で進んできて、最後にそういう話だったという話になるわけだが、私がその時点で、ある意味で、『それはまずいんじゃないの』と申し上げた最大の理由は、あのとき自民党と民主党が連立を組んでいると、たぶん衆院でも参院でも９０％を超える議席が与党になるだろうと。野党は１０％をかなり割る議席だろうと。果たしてそれが国会というものが機能するんだろうかと。少なくともその場合には、かなり限定的にこれをやるためには大連立か、逆にこれとこれはその政権では取り組まないから、その範囲の中でも大連立とか、そういう何かがないと、議会制そのものが機能しなくなるというふうに私は非常に心配だったので、それはやや唐突でもあったから、それには賛成しなかった」

　「基本的にはその考え方は今も変わっていない。しかし、同時に、ねじれという問題が生じたときに、何らかの形でそれがどの党になるかは別として、どの勢力になるかは別として、やはり物事を進めるためには衆院で法案が通っても参院ですべて否決されれば、一般的には政権運営できないので、そこはいろんな形でいろんな人たちと話をするということは当然、そうなった場合にはやらなければいけないだろうと思っている」

　――今、永田町の片隅で一兵卒となった小沢さんについて。菅首相は民由合併で小沢さんと組んで政権をとって、今回、『脱小沢人事』でＶ字回復を成し遂げた。小沢効果を卓越した手腕で使ってきた。感心するが、今後のおつきあいをどうするか。政治とカネの問題で、検察審査会の決定とか国会でも証人喚問の議論もある。小沢さんについて、『いったん静かにしてほしい』と言ったが、どの段階で協力するのか、しないのか

　菅首相「まぁ、私は、小沢前幹事長、２００３年に自由党と民主党、合併するときに、まさに２人で話し合って流れを決めた間柄でもあるし、ま、その後、ご一緒してから、それまで一緒していない時代の小沢さんを含めてですね、やはり歓迎すべからず、（言い直して）からざる政治家だということは今でも強く感じておるし、大変学ぶべき点が、今日に至るまで、多いと思っている」

　「それで、よく『脱小沢』という言い方を、皆さんされるが、私が今回の党と内閣を編成するに当たって、本当のところですね、そういうことを念頭で考えた要素は、さすがにゼロと言ったら言い過ぎかもしれないが、ほとんどない。まさに、どうすれば、物事がドンドン進む政権や党を作っていくかということを考えた」

　「昨年、鳩山政権ができるほんの前日でしたか、私が政調会長のままで国家戦略担当ということに、直前まで鳩山代表との間で決まっていたわけだが、直前に変わった。で、私と岡田（克也外相）さんが、『やはり、それは政調会長が必要じゃないか』と申し上げたが、残念ながら、最終的には、鳩山さんが裁断をされた」

　「ですから、そういう問題も含めて、別に、『脱何とか』のために何かを復活したとかそういうことではなくて、やはり、党の大勢の仲間が、闊達に活動し、しかし同時にですね、内閣と党が、かつての自民党のように、二重のですね、権力構造になるのはよくないと。だから、政調会長を閣内に入ってもらうことで、党と内閣を一体性を持たせる。それには誰がふさわしいか」

　「あるいは、党を、選挙の前だから、ま、あの、小沢前幹事長の場合には、あまりこういう場には出なかったが、一般的には、幹事長が選挙の顔になるというのが一般的だから、そういう意味では、選挙の顔として、どの党の幹事長とも、十分に政策でも、何でも張り合えるのは誰かと。そういうことを考えて、党の役員を、あるいは内閣のメンバーを決めたわけで、ま、あの、小沢さんのグループと呼ばれる人たち、一般的にですね、非常に若い人の方が多くて、なかなか５期生、６期生といった部分の方が少ないもんだから、そういうなかで、力がある人には、なってもらうと。そういう方でなってもらった方もある」

　渡辺氏「はい。比例２桁、選挙区２桁。要は、消費税を増税しても、景気がよくなるなどという『おまじない経済学』の人たちが、与党、野党、民主党、自民党にいるわけだから、こういう官尊民卑の思想、つまり、役人が使い道を決めれば、国民より賢い使い方が出来るんだ。こういう思想を打破する。それははみんなだけだ」

　志位氏「私どもの目標（比例で５、東京で＋α）だが、一言で言いたいことは、先程、消費税、法人税の議論がされたが、法人税率が高すぎるという議論は根拠がない。いろいろな研究開発減税など優遇税制。そして、社会保険料負担は軽いから、決して高すぎるというような根拠はないと一言、言っておきたい」

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