【党首討論詳報・2010・4・21】



 鳩山由紀夫首相(民主党代表)と、自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表による党首討論が21日、行われた。討論の詳報は以下の通り。

 谷垣氏「総理。先日は米国に行きまして、核セキュリティーサミットに参加されましたね。これは米国と日本がイニシアチブを取って始めたもので、確かシェルパ会合も日本で行われたと記憶しています。日本は唯一の被爆国という立場であり、当然このサミットでは外交的なリーダーシップを発揮しなければならない。こういうことであったと思います。ところが私はこれが終わりました後のメディアの評価を読みまして、がくぜんとしました。ワシントン・ポストであります。オバマ政権の当局者の意見によれば、このショーの最大の敗北者は、あわれでますます愚かな鳩山首相だったとまで言っている。私は怒り心頭に発しました。なんたる日本国総理大臣に対する暴言だろうと、私はそのように思いました。しかし、考えますと、その原因が総理、あなたにあるこということも否定できません。問題は前回の党首討論でも申し上げましたが、総理の政治の責任者としての発言。これが軽い。そして、うまくいかないときにはあたかも他人事のように責任を転嫁する。こういうことが今までいくつもありました」

 「あなたの政権で政治と金の問題。誰一人責任を取った人がいません。そしてまた政策においても、数々のマニフェスト(政権公約)違反がありました。あなたたちのいわゆる改革を推し進めるというよりか、むしろ歯車を逆に回している面がある。そのひとつは、郵政改革ですね。官から民へという方向への逆行。それから公的金融の肥大化。財投復活。こういう道を歩んでいるじゃありませんか。それから2番目。これは高速道路です。あなたたちのマニフェストでは原則無料化であったはずが、いつの間にか実質値上げ。浮いた財源で高速道路を造る。こういうようなこと。そのほか枚挙にいとまがありません。しかしなかんずくですね、公務員制度改革。これについては、もともと民主党のマニフェストでは人件費2割削減。何一つ手が着いておりません。それから天下り根絶。これも逆方向に進んでいる。福田内閣のときに与野党一緒になって作りました国家公務員制度改革基本法も無視している。これはつまり、労組依存、労組言いなりの御党では絶対にできない。こういうことを証明しているのではないかと思います。ところがこういう法案を出しておきながら、今週末にはですよ。審議を尽くさないまま無理やり採決をするというようなことがいわれてもいる。まさか、そんなバカなことはなさらないでしょう。あらかじめ警告をしておきます。そして先ほどの核サミットに返りますと、総理は10分間、オバマ大統領と会談をされたということであります。この10分間で何を議論されたのでしょうか」

 首相「確かに、ワシントンポストのいわれるように、私は愚かな総理かもしれません。それを、昨年の12月において、もし、『エイヤ』と、辺野古という場所に新たな普天間の移設先を決めていれば、どんなに楽であったか、はかりしりません。そしてそのことでオバマ大統領との間で、日米関係が一見、良くなったようにみえたかもしれません。しかし果たしてそうでしょうか。私はそうは思わなかった。決して、愚かだったから、愚直だったから、あるいはそうかもしれません。しかし、結果として辺野古の海、果たして工事が進んだでしょうか。私は結果としてあと数年間、何も動かなくなる。結果として日米関係が一見よくなったにもかかわらず、結局は日米安保、おかしくなったね。あの結論、間違いだったじゃないか、そのようにいわれたかもしれない」

 「私はだからこそ、沖縄の県民の負担をできるだけもっと少なくしていかなきゃいけない。今日までの沖縄の皆様方の大変なご負担を考えたときに、少しでもそれを和らげることができた、愚直にそう思ったのは間違いでしょうか。私は決して間違いだとは思っていない。私はその思いの下で、オバマ大統領に核セキュリティーサミットの時に、むしろ、私は日米安保を大事にしたい、日米同盟というものを大事にしたい、日米同盟というものをさらに維持発展していきたい。そのためにも、沖縄のみなさんの負担をもっと軽減させる道はないか。今、その思いで努力をしているところである。そのことが結果として、日米安保の将来にとってもいいことになるはずだ。だから、5月末までに必ず私として責任を持ちますから、だからぜひオバマ大統領にも協力を願いしたい。そのことを10分間、わざわざオバマ大統領が核セキュリティーサミットワーキングディナー、冒頭の時間を鳩山に与えていただいて、そのことを申し上げたところでございます」

 谷垣氏「私はね、もう1回愕然(がくぜん)としましたよ。日本国総理大臣が『私は愚かだったかもしれない』、なんですかそれは。私はあなたにもっと使命感をもっていただきたいと思います。それで、今あなたの思いは聞きました。しかし私は今、オバマ大統領と何を話したのかということをうかがったんです。10分間というのは十分だとは私は思いませんよ。なぜ、今それほどのあなたの思いがあるのなら、日米間の話し合いは大事でしょう。なぜ、100分間ではなくて、ワーキングディナーの最中ではなくて、正式な会談をやらなかったんですか。申し込んだんですか。お答えください」

 鳩山首相「それは当然、オバマ大統領との間にもっと時間がほしいと、そういう話は外務省を通じて申し上げたんではないかと思います。ただ、私としてもオバマ大統領としても、今回はこのぐらいがよろしい。少なくとも、政府の案というものを、腹案はもっていますが、必ずしもしっかりと決まっていない段階の中で、あまり長い話をするよりも、このワーキングディナーのときに、10分間のところがよいと、オバマ大統領の方が判断されたと思います」

 「われわれは10分間の中で、自分として今、精いっぱい、この状況の中で、日米同盟というものを重要であるということを申し上げて、日米同盟をさらに重視するという立場の中で時間をいただきたい。その中で必ず、将来にとって良かったと思っていただけるような決着をさせてまいりたい。その趣旨で申し上げたところでございます。決して、確かに10分以上の時間があればよかったと思います。しかし、オバマ大統領もこの短い期間の中で十数人の方と首脳会談をされたんだと思います。その中で今回は私はまず、トップバッターとしてオバマ大統領との時間が与えられたことに、その思いを感謝をしております」

 谷垣氏「まったく理解できませんね。あの、今最初、普天間に力を入れてといわれた。普天間も大事ですよ。だけど、この核サミットも大事なんです。10分間でできたんですか。本当はもっと時間を取った、そういうことをもっと努力されなきゃいけなかった。これだけの重要問題でありながら、今のあなたのご答弁は全く理解できない」

 「それで今、普天間のことをおしゃったから普天間に移ります。昨日の本会議でですね、わが党の小野寺五典さんの質問、総理の腹案でも2014年の普天間返還に変わりはないかという質問に対して、総理は2014年返還とはおっしゃらなかった。危険性の除去と答弁をされたわけですね。総理、これはどういう意味ですか。危険除去というのは返還ではないんですか。それとも普天間は一部でも継続使用されるという意味を含んでいるんですか。この危険性の除去ということの意味合いをおしゃってください」

 首相「谷垣総裁、私は核セキュリティーサミットの場でも、当然このオバマ大統領との会談の他にも、十分に日本の立場を示してまいりました。特にこのワーキングディナーのまず最初に冒頭に、私の方から演説時間を与えていただきましたことは申し上げておきたいと思います。決して核セキュリティーサミットを軽視しているとか、そのような思いを持っているというわけではありませんから。そのことはご理解いただきたい」

 「今、おたずねがありました。危険性の除去。この普天間の問題はまず、普天間の危険性の除去、安全性の確保というものが一番大事だ、そこからスタートしたと私は理解しております。従いまして、結果としてそれが普天間の返還になれば一番いいに決まっています。そしてそのことを当然求めていくことはいうまでもありません。しかし、まず一番大事なことは、普天間の周辺にお住まいのみなさんの危険性の除去というものを果たすこと。そして、沖縄のみなさま方の負担というものを軽減するということが大事であるということで私は申し上げたところでありまして、それが当然のことながら、結果として、普天間の全面返還につながるように、私としても最大の努力をすることは言うまでもありません」

 谷垣氏「総理、念のために申し上げておきますが、従来なら現行案であれば、2014年に普天間は返還だったんです。今総理のご答弁は、普天間を危険除去ということをおっしゃっただけでしょ。もしそういうことであるならば、われわれの今までの案からすれば大きな後退ですよ。そして、大きな後退であり、単に、先送り、これは大きな後退というだけでじゃなしに、普天間返還の先送りになるんですよ。そのことを申し上げたい」

 首相「今まで旧政権の下で何が起きたんですか。もうあとちょっとで、まさに辺野古に決めて普天間が返還できる。そんな状況ではなかったじゃないですか。だからこそ、私どもは新政権になって、新しい発想が必要だと申し上げているわけであります。2014年までに返還できる、あるいはそのことをお望みだったと思います。しかし、現実にあのときに、例えば強行して辺野古に、例えば埋め立てをするというような工事に取りかかれる状況ではまるでなかったじゃありませんか。それが、だからこそ、あと何年先になるかわからないと、私が申し上げたのは、そのことであります」

 「旧政権に任していればあのまま、普天間返還されずに2014年の期間がずるずる先延ばしされていた。まさにそうなったに違いない。それぐらい沖縄のみなさん方が、あの辺野古の海を埋め立てるのは困る。そのような思いを私どもに伝えてくださったから、だからこそ、私どもがあの選挙のときに、おかげさまで沖縄においても勝利をさせていただくことができたわけであります」

 「それは辺野古、あの海を埋めた立ててはならないという沖縄県民の意志だったじゃありませんか。だから私は2014年にこれからもできる限り、新しい移設先を求めていきながら普天間の、危険性の除去というものを行い、そしてその結果として普天間が全面返還されるように最大限努力します。それも2014年までにそれができれば、もっとものぞましいことであることは言うまでもありませんから、その努力はこれからも行ってまいることをお約束いたします」

 谷垣氏「まったく認識が違います。要するに今、総理がおっしゃったような状況、これをあおって、今までのいろいろな努力をつぶしてきたのはあなたたちなんですよ。それで、もう少し具体的に、しかし、聞きます。きのう官房副長官が(鹿児島県の)徳之島の3人の町長に電話をされて、会いたいと。こういうことをおっしゃったそううです。国民もいったいこの問題を総理がどのように解決するか、じりじりしながら見ているんですよね。で、実際本音のところ、総理はどうやってこれを解決するつもりなのか。前回のときに腹案ありとおっしゃった。そろそろ腹案をですね、きちっと明らかにすべき時期じゃないですか。総理、腹案って何なんですか」

 首相「あの、まず、私どもがあおったとおっしゃいますが、あおったんじゃありません。沖縄の県民の意思を理解しながら、私どもは選挙を戦ったわけでございます。そして、その結果として、選挙に勝利を収めたということでありますから、その前後を誤解されないほうがよろしいかとまず、申し上げておきます。そして、今、おたずねのことでございますが、私は今、ここで腹案というものを持っていることは事実でございます。しかし、それを当然のことながら、地元よりもまず、本当にこの腹案がアメリカに対して理解をされるかどうかということを水面下でしっかりとやりとりをしなければならない。そのように思っておりまして、それをやらないうちに、さまざま、地元のみなさんにこうなるからと言っても、先方が必ずしもそこに対して理解を示さないということになれば、まったくある意味で地元の方に対してご迷惑をおかけしてしまう。徳之島のみなさん方にもあのように大きな集会をなさったということで、われわれとして、まだ何も申し上げていない中であのように懸念をお与えしてしまったということには、大変申し訳ない思いであることは事実でありますが、まだ腹案というものをやりとりをしている最中でありますだけに、先方に対してそのことを今、どこだから、だから頼むなどというようなことを、このQT(党首討論)の立場で申し上げることができないことをどうか、谷垣総裁、ご容赦ください」

 谷垣氏「これだけ徳之島のみなさんにですね、不安を与えているんですよ。これだけ不安を与えておきながらまだ腹案を言えない。おかしかないですか。徳之島は案なのか、案ではないのか。あれだけの反対集会があった後も依然として案なのか。お答えください」

 首相「私は今ここでどちらかに申し上げれば、そのことによって徳之島のみなさんや、あるいはそうでない場合に、その別の方々にもご迷惑をお与えすることになる。それを、したがいまして、私はもっとしっかりとしたすりあわせ、やりとりを申し上げながら、その中で私どもとして、できるだけ早い時期が望ましいということは、言うまでもありませんが、そのときにみなさま方にお話をさせていただきます。今ここでは控えさせていただきますことをご容赦ください」

 谷垣氏「この期に及んで言えないというのではですね、徳之島の方に私は気の毒すぎると思うんです。徳之島の方々がですね、今、怒っているのはいくつか理由があると思います。1つ。今、アメリカと水面下で話し合うといようなことをおっしゃった。総理もアメリカに行って何かこれ、オバマさんにおっしゃったんでしょう。しかし、自分たちのほうにはちっともボールが返ってこないということにいらだちが高まっていることも事実です。それからもう1つ、ぜひ申し上げたいんですがね、今年はですよ、この沖縄の、いや、奄美の振興予算ですね。これをですね、29%カットしたんです。で、やっぱり離島はなかなか厳しい状況にある。そういう離島の経済的厳しさをいわばだしにして、もしこういう基地の移転につきあうならば何とかすると言わんばかりの手法がね、かいま見えることに奄美大島の人は怒っているんです。徳之島の人は怒っているんです。どうですか」

 首相「谷垣総裁、それはまったくの誤解でございます。奄美の振興に関して予算と、たとえば、札束を、この、いわゆるほっぺたをたたくようなやり方を今までされていたかもしれませんが、私ども新政権は決してそういうやり方はいたしませんから、どうぞそこはご懸念なきようにお願いします」

 谷垣氏「これはね、総理がどう弁解されようと、長崎の知事選でもこういうことがあり、そして長崎の人たちは何くそと思って戦ったんですよ。総理はその辺の認識が間違っていると思いますよ。しかしですね、この期に及んで腹案も言えない、こういうことであれば、5月の決着というのはできるんですか」

 首相「今そのことはしっかりと全閣僚、意思をあわせながら、努力をしておるところでありまして、5月末までに決着をさせると、その思いは変わっておりません」

 谷垣氏「また、総理はお得意の思いという言葉を使われました。しかし、思いではなくて、総理はこの党首討論でも何度もおっしゃって、いろんなところでおっしゃっていますが、5月に政府与党間の案も作り、そして現地の了解もとり、アメリカとも合意を得る。こういうことを5月中にきちっとやると今までおっしゃってこられました。まさかこの期に及んでそういうことはしないんだとはおっしゃらないでしょうね。5月にきちっとおやりになるんでしょうね。もう1回」

 首相「これは何度も申し上げておりますように、これはまず、沖縄の県民のみなさん、国民のみなさんと申し上げてもよいかと思います。さらには移設先になる可能性がある方々のご理解も必要だと思います。そして、アメリカもこれは理解してくれなければ当然話にならないこともよく理解しています。そのような3者というもの、これは連立政権でありますから、連立の合意というものも必要だと理解しておりますが、それを行っていきながら、しっかりと、いわゆる私が申し上げている決着というものを行ってまいります。5月の末までという、その時期を変えるつもりはありません」

 谷垣氏「5月末ということはきちっとコミットするということを確約されたわけですね。しかしですね、防衛大臣はこの間、どこかで5月決着は難しいとおっしゃっていました。総理が国民に約束され、何度もコミットされたことを関係閣僚ができそうもないとおっしゃっておられる。これは閣内不一致じゃありませんか」

 首相「それはできないと申されたわけではないと思っています。当然のことながら、私も簡単じゃないと思っていますよ。それは簡単にやろうとすれば、先ほど申し上げましたように、12月にという話が当然あったかと思います。しかし、それは私は、真の意味での日米安保のために、あるいはこの沖縄の県民のみなさんのご負担を少しでも和らげたいということで、その思いは消し去ったわけでございます。それだけに楽な道ではないということは関係閣僚みんな理解している中で、しかしながら心を1つにしてがんばろうと誓い合っているところでありますから、何も矛盾はありません」

 谷垣氏「まあ総理の論法はいつもそうですね。やはり、そういうことが国民に不安を与えている。こういうことに思い至らないのかということが私は不思議に思います。で、もう1回うかがいたいんですが、総理は去年以来、先ほどの現行案に対するご批判の中でも、沖縄県民の気持ちということをずいぶんおっしゃっています。最低でも県外。こうおっしゃった。これは今でも生きているんですね」

 首相「私は当時、そのように申し上げたことは事実でございます。今でも県外という思いを、少なくとも沖縄の・・・。思いは思いでしょ。県外に当然、移設先を求めていきたいという気持ちは変わっておりません。そして、当然のことながら沖縄の県民の思いを十分に理解をさせていただくならば、負担をできる限り軽減をしていかなければならない。そのように感じております」

 谷垣氏「総理のこの問題に対するいろんなご認識。私、ちょっと根本的なことを問いたいんですが、そのー、普天間が果たしているですね、抑止力、これを一体どういうふうに総理は理解しておられますか」

 首相「私は普天間と申しますか、海兵隊のみなさん方が果たしている抑止力。これは沖縄全体、あるいは日本全体として、当然のことながら、この日本を防衛するという意味での抑止力の役割というものはあると、しかも大きいと。そのように理解しております」

 谷垣氏「あのー、沖縄海兵隊の持っている意味について、ずいぶん今のご理解はですね、偏った理解といいますか、中途半端なご理解だと私は考えます。あのー、沖縄の海兵隊、海兵隊の任務はですね、海外有事の際に真っ先に、その、駆けつけて、そして非戦闘員の救出であるとか、あるいは活動拠点を確保する。こういう任務を負っている。ですから、普天間へリ部隊がこの中核に、この極東においてあるわけでありまして、極東、つまり、フィリピン以北、それから朝鮮半島、それから台湾海峡、そういったところでの要するに抑止力の中心を担っているのは、この沖縄の普天間のヘリ部隊なんですよ。地政学的な、地政学的な位置が、だから重要なんです。そのことをご理解かどうかということを問うたわけです」

 首相「私は海兵隊を海兵隊のみでとらえるんではなくて、当然のことながら、これは航空の部隊もあるわけでございます。いわゆる空軍も存在をしております。いわゆる嘉手納、あるいは横須賀には、今度は海軍がいるわけでございますが、すなわち、こういったトータルの中での抑止力の中で海兵隊の果たす役割というものは大きく存在しているという意味で申し上げたつもりでございます」

 谷垣氏「もう1回申し上げますが、こういう沖縄の海兵隊の果たしている、極東の中で果たしている役割からいって、地政学的な位置づけ、そういうものは極めて重要だ。したがって、抑止力を維持していくということをお考えになるならば、選択肢は極めて限られている。このことを申し上げたいと思っているんです。たとえばグアムに関しては、前も総理ご自身がグアムは抑止力の観点から難しいということをおっしゃったことがありますね。私は今、いろいろな県外ということをおっしゃったけれども、総理に抑止力というものをきちんと維持していくというお考えがあるのかどうか、そこのところを疑問に思っているんです」

 首相「当然のことながら私は、沖縄の負担軽減と、しかしながら一方で、日米安全保障の中での、この海兵隊を含むアメリカの日本においての抑止力を果たしているという、この役割というものは大きいと思っています。したがいまして、だから、私も沖縄からあまり距離的に申し上げて、遠くのところまで海兵隊というものを移すということは物理的に必ずしも適当ではないという中で、選択肢をさまざま考えていることも事実でございます」

 谷垣氏「いずれにせよ、総理のご答弁をうかがってましてね、国民あるいは沖縄県民、鹿児島県民、これ以上、愚弄(ぐろう)してもてあそぶことは許されないんですね。それからアメリカの信頼、アジアの信頼。つまり、今の総理の答弁を、われわれの周辺諸国は見守ってますよ。朝鮮半島、韓国からごらんになれば、韓国有事の際に、沖縄の海兵隊は、何日間あれば駆けつけてくれるかを考えているわけです。今のご答弁からは、そういうアジア全体のインフラ(基盤)になっているという認識がまったくうかがわれない。つまり、総理のそういうご答弁自身が、われわれ周辺世界の、日本だけではなく、アメリカも含めて、情勢を混迷させている。そういうことに、お気づきにならなきゃいけません」

 鳩山首相「まったく、そのご懸念はご不要でございます。私は就任早々、東アジア共同体を構想しておりますが、そのなかでも、日米同盟、日米安保が大変重要だ。すなわち、日本とアメリカが安全保障でしっかりと結ばれていることが、東アジアの国々に安定を与えているというのは、事実として、当然、実態として、認めているわけであります。そのような考え方のなかで、私としても、普天間の移設先を考えていかなければならないことは、十分に理解をしているつもりでございますし、何も沖縄県民の皆さん方を愚弄するつもりは、まるでありません。むしろ、沖縄県民の皆様方の今日までの大変大きなご負担を考えたときに、できる限り、そのご負担を減らすのが、新政権の大きな責務ではないか。その思いで努力していると申し上げます」

 谷垣氏「総理がどうおっしゃろうと、この問題をあなたは、軽く見たのではないか。これは、国民がみんな思ってるんですよ。この間、総理はですね、ご自分の後援会で、4月16日です。こういうあいさつをなさってます。『普天間なんて皆さん、知らなかったでしょ。それがもう国民の皆さんの一番の関心事となるということ自体が、やはり、何かメディアがいろいろとこう動きすぎているなと私は思っております』とおっしゃっておりますね。この認識ですよ。極めて軽い認識。国民を愚弄し、この普天間の問題の持っている重み、理解しておられないということが、如実に表れている。そういうことが、この問題の解決を遠ざけてきたんです。しかし、先ほどから5月きちっとやるとおっしゃった。今、この場で。この場でですよ。今日は、テレビでたくさん国民も見ておられる。『職を賭して5月にはこの問題を解決する』。国民に約束してください」

 鳩山首相「当然のことながら、私は一つ一つの政策の実現に向けて、自分自身の覚悟というものを国民の皆さんに示しながら行動してまいってきているつもりでございます。したがいまして、今回の普天間の問題に関しましても、5月末まで、そのように期限を切って、行動しているところでございます。私も、必ず、関係閣僚と協力をしながら、最終的な結論というものを5月末までに出させてもらう。その決意を改めて国民の皆さんに、申し上げておきます」

 谷垣氏「今、私が問うたことはね、努力するとか、根性を入れて頑張ると。こういうことをうかがおうとしたんじゃないんですよ。職を賭してやるんだと。こういうことをあなたに覚悟を示していただきたい。日本の政治的リーダーとしてその覚悟を示していただきたい。こういう思いで言ったんです」

 「あなたはですね、わが国が大切にしなきゃならない3つのものを破壊してきた。まず第一に、日米同盟をはじめとする、わが国の国際社会における信頼の基礎を完全に掘り崩した。残念ながら、そう申し上げざるを得ません。2番目に、財源なきバラマキ。来年度は予算を組めるのか。このままでいったら、日本の財政は破壊される。財政が破壊されるだけではなくて、国民経済、国民生活の明日が破壊されてしまう。こういう基礎をあなたは、壊したんです。3つ目。政治とカネ、あるいはマニフェスト違反が数々ありながら、誰も責任をとろうとしない。こういうことが、政治と国民の信頼関係の基礎を裏切ってきたんです。で、私は最後に申し上げます。去年、麻生総理の時、鳩山総理は当時は幹事長でした。代表質問でおっしゃったことがあります。読み上げます。『私は国民を代表して、この日本の危機において、迅速機敏に有効な手を打たない内閣総理大臣が、その座に居座り続けること自体が、国民の利益に反すると申し上げます。あなた自身が宰相としての最後の矜持(きょうじ)を持って、直ちに総辞職するか、衆議院を解散するか、決断すべきときである』。あなたは、この発言を覚えておられるはずです。あなたが、わが党の総理に代表質問でおっしゃったことを、そっくりそのままお返しして、私の発言を終わります」

 首相「麻生総理に私がそのように申し上げたのは、結果として、正しかったのではないか。そのように申し上げておきます(拍手)。誰がこの国をここまで導いてしまったのか。その責任。誰がここまでバラマキ政治を行ってきたのか。それを私たちは、しっかりと受け取らせていただきながら、負の遺産を早く払拭(ふっしょく)するために、全力をあげる。まさに、すべての政策の実現に向けて、職を賭して頑張ることはいうまでもありません。これからも、頑張って参ります」

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 山口那津男・公明党代表「総理、あなたの元秘書である勝場さんの、勝場被告人の判決が、明日、下されます。起訴事実について争っていませんので、有罪は免れないと思います。連休明けにも、この判決は確定するでありましょう。そして、今、鳩山さん自身、あるいは小沢(一郎)幹事長をめぐる検察審査会の行方も含めて、今、『政治とカネ』に関して、厳しい国民の視線が向けられております。前回おたずねしたことについて、必ずしも明確にお答えになりませんでした。今日、これから2点、簡潔に問いますので、簡潔に、明確にお答えいただきたいと思います」

 「まず、1点目は、勝場元秘書を、国会の証人喚問、または参考人招致。これに総理自身が積極的に説得すべきである。出席するように積極的に説得すべきである。この点が1点。そして2点目は、この刑事裁判に提出している資料。これを取り戻したうえで、国会に提出して正確に国民の皆さんに説明をする。この2点。まさに総理が自らリーダーシップを発揮すれば、解決できる問題なんです。いかがですか」 

 鳩山首相「山口代表にお答えをいたしますが、山口代表とも思えないご質問でございます。すなわち、簡潔に申し上げるという簡潔な話でもありません。ご覧の通り、勝場元秘書は昨年の6月に私が解雇をいたしました。それ以来、一切の連絡はとってはおりません。したがって、これは完全に独立した個人の話でございます。したがいまして、どうぞ、国会のなかで、必要であれば、その旨を国会のなかで、お聞きをいただきたいと思いますし、そのなかで、私の果たせる役割があれば、そのように、役割も果たしてまいりたいと思いますが、国会で当然のことながら、しっかりとお決めいただきたいと思います」

 鳩山首相「それから、書類の提出の話もございました。このことに関しても、私はまだ明日の判決がどのようになるかということの前の話でございますが、提出されたその書類が多分、明日になれば、返してもらえることになろうかと思っています。この書類に関しては前から申し上げておりますように、弁護士に対して、『私はしっかりこれを検査しなさい。勉強をしなさい』ということは、申しております。そうやってもらえると思います。そして、当然のことながら、政治資金の規正法に基づいて、判断をして、正すべきところはしっかりと収支報告書など、正さなければならないことも、言うまでもありません。それはしっかりと行って参ります。個人のプライバシーに関して、いまだかつて、さまざま、色々な問題を犯した者といえども、決して個人のプライバシーにかかわる資料を提出したことはないかと思っております。いずれにしても、このことに関して、しっかりと国会でおたずねがあれば、そのことに関して、私としても努力したいと思っておりますが、これは検察が判断をして、結果を出した話でありますだけに、基本的には、資料の提出などというものは、必要のないものではないか。そのように私は考えております」

 山口氏「鳩山さん。あなたはね、辞めた人間だから、私は知らない。国民の皆さん、よく聞いていただきたいと思う。そして、資料も国会に出すつもりがない。しかし、前回、私が引用した通り、これは、あなたが、予算委員会で書類を取り戻して、国民の皆さんに見ていただいて、正確に説明をすると。こうやって自ら述べていたではありませんか。今の答えには、とうてい納得できません。ぜひ、この今の回答を国民の皆さんに、よく知っていただいて、しかるべき判断をしていただきたいと思います」

 「さて、焦眉(しょうび)の急である普天間基地移設問題について伺いたいと思います。いまだに、見通しが立っていないということで、どれほど多大な国民の利益が失われているか。総理はこのことを十分、ご認識でしょうか。この間、核セキュリティーサミットに行かれました。しかし、正式な日米首脳会談は持つことができなかった。そして、アメリカのメディアの一部には酷評される。こういうこともありました。国民の皆さんは、さぞがっかりされたことだろうと思います。そして、アメリカの元政府高官であったマイケル・グリーンさんという人は、『この普天間基地の問題が、日米関係の酸素を吸い尽くしている』。こういう風におっしゃられました。私は言い得て妙だと思います。この問題のために、他の重要な課題。これが議論が進まないでいる。こういう実態があるのではありませんか」

 「2点申し上げます。日米関係のなかで、たとえば、核軍縮、また、核の不拡散、あるいは気候変動、環境、あるいは金融や経済。こういったグローバルな視点から、両国が協力をして解決していかなければならない問題。こういう問題がたくさんあるではありませんか。しかし、この普天間の問題に酸素を吸い尽くされて、他の重要な問題は、瀕死(ひんし)の状況にあるということが、このマイケル・グリーンさんの指摘であり、多くの人がそう思っていらっしゃるのではないでしょうか」

 「もう1点あります。この普天間基地の問題が、総理がおっしゃるように、5月末までに、決着、結論を出すことができないならば、これは、沖縄の負担の軽減という意味で他の問題とも連動しているわけであります。たとえば、海兵隊のグアムの移転。さらには、嘉手納基地以南のかなりの部分の基地が返還される。跡地が利用できる。こういう問題も、同時に進まなくなってしまうおそれがあるわけです。この2つの問題について、多大な国民の利益を失い、そして、多くの心配をかけている。この点について、どのような認識を持っていらっしゃいますか」

 鳩山首相「あまり、その、今お話されたマイケル・グリーンさんのことを申し上げるつもりはありませんが、今までの旧政権のなかで、さまざまな日米安保を大事にされた方々のお気持ちは分かります。ただ、新政権も、新しい考え方のなかで日米安保を大事にすると。別の角度から極めて大事にして参りたいと思っておりまして、必ずしも、今までの方々にとって、鳩山という人物が好まれてないから、そのような批評が出てくるものかとも思っています。ただ、ご安心いただきたいと思っておりますが、たとえば核軍縮、あるいは、核の、核兵器の、さまざまなセキュリティーをはじめとする問題。あるいは、気候変動の問題。グリーンエネルギーの協力の問題。これはもう既に、日米間でさまざまなレベルで動いておりますから、そこは決して、この普天間の移設問題とはかかわる話ではなくて、十分に動いているということを申し上げておきます」

 「もう一つ申し上げておきますが、海兵隊のグアムへの移転などが、確かに影響を受けると思います。それだけに、私としては、5月末までにという期限を切って、自分自身として期限を切って交渉していこうと。そのように考えているわけでありますから、どうぞ、その答えをきちっと出すことによって、今までの懸念がすべて払拭(ふっしょく)される。そのようにご理解を願いたい(拍手)」

 山口氏「重要なことをお聞きしますよ。5月末に決着をつけるとおっしゃいました。米国そして、沖縄ほか、国民の皆さんの理解。そして連立政権の合意と言いました。理解という言葉と合意という言葉を使い分けているように聞こえます。しかし、大事なことは、今、日米間の合意は既にあるわけであります。5月末決着ということは、新しい移転先をきちんと確定するのか。そういう合意をするのか。それとも、今までの合意を維持する合意をするのか。いずれしかないんですよ。アメリカにあいまいな理解ではなくて、アメリカ政府とわが国政府が、どういう合意をするのか。移転先を変更するか、維持するか。これしかないはずじゃ。明確にお答えいただきたい」

 鳩山首相「両政権における日米間の合意というものがあったことは、私も当然理解をしております。しかし、だからといって、あの辺野古の海を、埋め立てるということに対して、これは沖縄の県民のみならず、日本の多くの国民の皆さま方が、懸念を表明しているところであり、もし、そのことを強行していたら、これからあと何年、結果としてうまく話が進まずに、日米の安全保障を損ねかねない。そのように私は判断をしたわけでございます。したがいまして、私はくどいようですが、この問題に関して、当然、5月末までにということを決めているわけではありますが、新しい移設先に関して、合意を得る。そのために、今、全力を挙げて覚悟をもって望んでいるということを、改めて申し上げておきます」

 山口氏「最後に、鳩山さん、総理に就任してから、沖縄に一度も行ってません。ぜひ、現地に行って、その現実を肌で感じていただきたい。対話をしていただきたい。これを最後に申し上げておきたいと思います」

 鳩山首相「当然のことながら、さまざま、現地の皆様方の、お声というものを十分にお伺いさせていただきたいと思っております。その時期が来たら、必ずそのようにさせていただきます」

=おわり




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