【党首討論詳報】2010.3.31


 谷垣禎一自民党総裁 「鳩山政権が発足しましてから今日まで7カ月くらい経った。この間に、政権周辺に色んな不祥事があったということは大変残念なことです。一部を読み上げますと、10月3日に原口一博総務相にNTT労組からの献金の記載漏れが明らかになった。それから10月30日には江田五月参院議長や川端達夫文科相、あるいは直嶋正行経産相、松野頼久官房副長官、松本剛明衆院議院運営委員長ら民主5議員の団体が、クラブ、キャバクラ、ニューハーフショーパブでの飲食費を政治活動費に計上していたことが判明した。それから12月24日、友愛政経懇話会、これは総理の団体でありますが、偽装献金事件で元第1秘書、これが在宅起訴、元政策秘書を略式起訴、それから陸山会、これは小沢一郎幹事長の団体だが、不正土地購入事件で元私設秘書の石川知裕衆院議員が事情聴取された。それから12月27日、石川議員が事情聴取、鳩山首相が6億円の贈与税を支払った。年が明けて1月12日、川端文科相の政治団体、達友会に事務所費疑惑、東レ労組幹部や秘書宅を所在地として届け出て、22年間で6672万円の事務所経費を計上。1月13日、小沢事務所、陸山会、石川事務所、鹿島建設など強制捜査。1月15日、石川議員ら3人が逮捕。1月23日、小沢幹事長事情聴取。2月に入りまして、2月4日、石川議員ら3人が起訴。小沢幹事長不起訴。そして15日、小林千代美衆院議員に北教組からの違法献金疑惑、北教組本部などに家宅捜査。3月に入りまして、1日、北教組幹部4人が逮捕。それから12日、輿石東民主党参院議員会長の神奈川県の自宅が農地法違反の疑い発覚。そして3月22日、北教組委員長代理、小林議員選対会計担当が起訴、団体として北教組も起訴。小林議員は離党、議員辞職を否定した。こういうことが続き、今日また(中井洽)国家公安委員長の件が出ている。首相は危機管理、あるいは国民の治安を守る国家公安委員長がSPを連れずに夜の町に出て行くことが危機管理上何らかの問題があるとお考えか、あるいはお考えでないかお答えください」

 鳩山由紀夫首相 「今、様々な民主党の議員を取り巻く事件に関してのご披瀝がございました。国民の皆さん方に対する政治不信というものを招かないようにしなければならないことは言うまでもありません。その意味において、私ども一番大事なことは、国民の皆様方にこのような1つ1つの事件が起きた際に説明責任を果たしていくということだ。私も含めて、それぞれの立場に置かれている者が、まずはなぜこのようなことを起こしてしまったかということに関して、私も国民の皆さんに何十回も説明を申し上げて参ってきたところでございます。今回の国家公安委員長の問題に対しましても、本人がこのことに関してしっかりと説明をしているところでございます。私はその意味において、必ずしもSPを連れなかったということ、十分な配慮がなかったとは思ってはおりますけれども、しかしある種、何らかの理由があったんではないかと思います。今後、しかしながらこのようなことが決して起きないような状況を作り上げていくために、当然のことではございますが、やはり何が起きてしまうかわからない、特に国家公安委員長はその職にある者でありますだけに本人もおおいに反省しているところでございますので、二度とこのようなことがないようにいたさせます」

 谷垣氏「反省しているから、責任は問わないとおっしゃったんでしょうか」

 首相「この件に関しては、官房長官から厳重に注意がございました」

 谷垣氏「あの、今までですね、民主党関係でいろいろな事件が起こりました。大体、おっしゃってること、共通なんですよ。職責をまっとうすることによって責任を果たしたいとか。要するに、責任を正面から見つめようというお気持ちがないんです。私はこういう、その、責任を正面から見つめるお気持ちがない」
 「今、総理は美辞麗句で説明をちゃんとしてきたとおっしゃったけど、そんな風に受け取ってる国民は一人もいませんよ。私はだから、その、一個進めてご質問したいと思います」

 「一昨日、総理の元秘書、勝場(啓二被告)さんの公判がありました。事実はお認めになった。そして、2年間の禁固を求刑された。事実は争っておられないんですから、これは有罪判決が出ることはほぼ確実であります。今まで総理はですね、この勝場さんの訴訟に関連して、訴訟が終わったら、これは東京地検にある書類やなんかを全部出して、そしてきちっと国会で説明をするとおっしゃってこられました。裁判は結審したんですね。総理、即刻、これをお果たしになる気がおありですか」
 首相「今、私の元秘書でありました勝場被告のことに関して、おたずねがございました。私は、この件に関して、秘書がなぜこのようなことを犯してしまったのかと、大変、そのことは残念に思っておりますし、私自身が政治家でなければ、彼自身もこのようなことを犯さなかったと、そのように思っております」

 「で、その意味において、彼が大変に、このようなことを起こしてしまったことに対して、私・・・うん、うん・・・私が、存在していなければ彼がこのようなことを、行わなかったことを思えば、まことに申し訳ない思いであります。すなわち、当然のことながら、私は、その責任というものを負うべきだと思っております。その責任の負うべきあり方は何かということを、常に自問自答して参ったところでございまして、私としては今、身を粉にして国民の皆様方のために働かせて頂くことを、せっかく政権交代をして大きな政治を変えていきたいという国民の皆様方のご期待に応えることによって、その責めを果たして参りたいと考えております」

 谷垣氏「今の総理のご発言はですね、一見、非常に誠実な態度で反省をしているようにおっしゃってるから、国民の中には、なにか真摯に反省されてるな、と誤解される方もあるでしょう。だけれども、今の総理のお話のように、職責をまっとうすることによって、そうして責任を果たすんだと。そんなことばっかりだから、今まで不祥事が起こっても、民主党でだれも責任を取る人がいないんじゃないですか。すべてはそういう総理の態度に起因していると私は考えます」

 「それで、一昨日の新聞報道でも、総理の子分に裏金がわたっている、こういう記事が出ておりました。与謝野(馨)議員がですね、我が党の与謝野議員が総理に質問された時に、子分にカネが配る必要があるなんてのは、まったくの作り話だと色をなしたのは総理ご自身です。しかし、(政治資金)収支報告書にもこの寄付は記載されております。過去2年で、国会議員等にのべ27件、7100万円。女房役の平野(博文)官房長官に至っては1000万円もわたっている。子分を養うためにお母さんからのお金が必要だったと、これは事実じゃないですか。そして、裏金で、裏金だということでこの報道がありました。集中審議をこれ、やらなきゃならないのは当然のことであります。そして裁判も結審したんですから、約束通り、資料を出さなきゃなりません。さらに、総理と熊田(篤嗣衆院)議員の国会での説明を求めたいと思います。そしてさらに、小沢(一郎)議員、石川(知裕)議員、小林(千代美)議員について辞職勧告決議案、あるいは参考人招致、証人喚問、いろいろ私どもは要求しているけれども、これはすべて棚晒しにされております。こういった説明責任をきちっと果たされるように、強く要求をいたします」

 「そして、私は今、申しあげたのは、その言葉、総理大臣のその言葉からいろいろな問題が波及しているのじゃないかということを申しあげた。そして物事が何も決まっていかないということも今まで数多くあった訳であります」
 「そこでそれに関連して、政策面で問いたい。まず普天間(飛行場移設問題)です。まず総理に伺いたいことは、3月26日の記者会見で3月末までに政府案を一本化したいと、こうおっしゃいましたか」

 首相「先ほど、2日前の(産経)新聞報道の話をされました。あたかも裏金を子分に渡したかのような記事でありました。そのことは私もチェックをいたしました。本人にも、そしてその元会計責任者にも秘書を通じて、このことの是非を尋ねました。それは、ないと。まったくのねつ造記事であるということでございまして、このような事実でない記事が、あたかも事実のように記載されてしまうことに対して、大変、私は残念な思いでございます」

 首相「普天間の件で申しあげれば、私は、確かに3月に、3月をメドに、国民の皆様方には必ずしも、まだ公表する段階ではありませんが、政府としての考え方をまとめて参りたいと、そのようには申したところは事実でございます」

 谷垣氏「前段の話は、説明責任をきちっと果たしていただきたいと申しあげます。そして、3月26日の会見で、『3月末までに政府案を一本化したい』といわれたというのは、今、そういうことを言ったというご答弁ですね。それで次に聞きます。3月29日、ぶら下がり会見で、『今月じゃなきゃならない、そういうことは法的に決まっているわけではありません』と言われましたか」
 首相「私が申し上げたのは、5月の末までに、かならず政府の考え方を、政府の方針というものを、沖縄を始め日本の国民の皆様方にも理解を求め、さらにはアメリカの皆様方にも理解を求めたものを作るということをお約束をいたしました」

 「そのためには、当然、3月末ぐらいまでには、政府としての考え方を決めていく必要があるのではないかという思いで、当然のことではありますが、私には今、その腹案を持ち合わせているところでございます。そして、関係の閣僚の皆様方にも、その認識の下で行動していただいているところでございます。そのような中で、私は3月末をメドにして政府としての考え方というものの、を、一つに、考え方をですよ、決めて参りたいということを申し上げたことは事実でございますが、当然のことながら、法的に3月末までに何かを決めなければならないという状況ではないことは、これは谷垣総裁もおわかりの通り」
 「今、大事なことは5月末までに、しっかりとした政府案というものをお認めいただくと。そのためのプロセスを今、行っている最中でございまして、ぜひ国民の皆さんには政府の考え方を任せていただいて、アメリカに対しても、そして、特に地域の皆様方、関係の出てくる地域の皆様方にもご理解を願いたいと思っているところでございます」

 「大事なことは、今日まで、特に平和を維持するために沖縄の皆様方が大変に貢献をしてくださったということに、私は全国の国民の皆さんが感謝をすべきだと思います。そして感謝の気持ちの中で、これからは、全国の皆様方が沖縄の今日までの貢献というものに感謝をしていきながら、むしろ、全国の皆様方に、その負担を分かち合うという思いを共有をしていただきたい。今日はあえて国民の皆様方にそのことも申しあげたいと思っています」
 谷垣氏「私はね、本当にあなたに聞きたいことは、言ったとか言わないとか、そういうことじゃないんです。そんな3月中に解決しようなんて法律に書いてないなんて、当たり前のことですよ。私が言ってるのはそういうことじゃなくて。いいですか。そのように3月に回答を出したい、まとめたいとおっしゃったのはあなた自身なんですよね。それを、その事実を、総理自身が自分のこととして意識しておられるかどうかと、こういうことを問うてるわけですよ」

 「つまり、これは、総理、あなたの総理としての資質にかかわった質問を私はしているわけです。つまり、自分がおっしゃったことを、何か他人ごとのようにおっしゃる、その態度。そして人に転嫁していく。あたかも自分は被害者であるかのように振る舞う。こういう態度が見えてるわけですよ。法律では決まっていない、しかし3月中に方向を出すと、こうおっしゃったわけですよね。今日は3月31日です。いつまでにきちっと決めるんですか」

 首相「まず申しあげたいのは、何でこんなに長いこと、本来、普天間の危険性を除去しなければならない、それが先にあったにもかかわらず13年、14年かかってしまっているかと。それだけ大変難しい仕事を今、新政権において果たそうとしているということをぜひご理解をいただきたい」
 「私は、決して、自分の責任を他人に転嫁しようなどと、まったく思っていません。新政権を、やはり新政権を担っている以上、だから今まで13年、14年かかったとしても、これから半年の間にしっかりと新しい普天間の移設先を探しますよと。そのためには、アメリカの皆さんにも、あるいは沖縄を始めとする関係のある皆さん方にもご理解をいただかなきゃならない。そのために、腹案というものを用意をしています。そういったじゃありませんか。私としての今の考え方というものはもうすでに用意はしています」

 「ただ、それを国民の皆さんに、この地域ですよということを申しあげたとたんに、やはりその地域から、やはりこの地域はやはり難しいよ、いろいろなお声を頂戴することは分かっていますから、だからこそ今、政府がプロセスの中で考え方を一つに取りまとめていきながら、その行程の中で、アメリカに対しても、あるいは関わりのある方々にも、交渉をこれからして参りたいと思っているところでございまして、その、くどいようですが、腹案はもうすでに用意しているところでございます」

 谷垣氏「いま、総理のお話をうけたまわりましてね、いつの間にか腹案になっちゃった。こういう思いで聞きましたよ。3月31日っていうのは、いつの間にか消えちゃったんですね。それからもう1つ、13年間何もしなかったごときことをおっしゃいましたけれども、われわれはきちっと場所も決め、アメリカの同意も取り付け、そして地元の方々の同意も取り付け、抑止力をきちっと守り、そうして沖縄の負担を軽減して、2014年にはもうできあがるというところまできていたんです。それを、それを県外だ、国外だというようなことをおっしゃって、そして、沖縄県民の期待をあおり立てて、沖縄の、この抑止力をきちっと守るということと、沖縄の負担軽減、この2つを両立できる唯一の解が現行案だったんです。それをめちゃくちゃにしちゃったんです」

 「私はね、今、3月31日、どうするんだということをうかがいましたが、もう1つ、同じようなことを聞かなきゃならない。こういうことを聞かなきゃならないのは残念ですが、当事者にとっては切実であり、また、どうしてもここではっきりさせなきゃならないんです。総理、普天間基地の、今、腹案があるとおっしゃった。移設先は沖縄県内ですか。県外ですか。国外ですか。これはね、これは総理の発言があっち行ったり、こっち行ったりするたびに、福島(瑞穂・社民党)党首が喜んだり悲しんだりされるという次元の問題じゃありませんよ。総理が、あるいは閣内のいろいろな大臣が、このいろんな地域を挙げられる。そういう候補を挙げるたびに、その地域の方々が驚く、あるいは悩む、怒る。こういうことがあるんですね。総理、28日に(鹿児島県の)徳之島で反対集会がありました。どれだけの方がお集まりになったのか。総理はご存じでしょうか」

 首相「まず、谷垣総裁には申し上げたいけれども、13年かかって、現行案でほぼ決まりかけていたとおっしゃるけれども、(沖縄県名護市の)辺野古の海にくい1つ打てなかったじゃありませんか。すなわち、まだ何も、決まったと言いながら、地元のみなさま方、本当の意味での同意というものが取り付けられていなかったために、私どもは新政権になって、これでは無理だと。現行案では現実可能ではない案であることが分かったものだから、だから半年時間をいただく中で新しい移設先というものを多くの国民のみなさん、県民のみなさんのご努力をいただきながら、作ろうとして努力をしている最中でございます。だから、今、谷垣、いくら谷垣総裁といえども、私にそれが県内であるとか、県外であるといわれても、お答えはできない。先ほどから申し上げているように、腹案はあるけれども、それを表に出した瞬間に徳之島でもそうでした。大変な反対運動が今起きているのは私は分かっています。4200名と、いわゆる主催者は発表されています。その現実の数字も大体は理解をしているところであります。やはり反対をされる方は、当然多くなると思います。それだけに、このような問題をしっかりと解決をされていくためには、もっと水面下での交渉も含めて、腹案を国民のみなさんに大っぴらにすることは、まだまだできない時期であるということも、どうぞそのことは、谷垣総裁にも当然のことながらご理解をいただけると思っております」

 谷垣氏「くい1つ打てなかったじゃないかとおっしゃいますがね、環境アセスメントが終わらなきゃできませんよ。これは環境アセスメントはもう終わるところだったんですよ。何をおっしゃいますか。まったくそこの事実認識がゆがんでいますよ。それで、今、どこにするかは答えられないと、こうおっしゃられましたね。それでは、いつになったら明らかにできるんでしょうか」

首相「当然のことでありますが、5月末までに私どもとしては、普天間の移設先というものを、国民のみなさんにもアメリカにも理解をしていただく中で決めるわけでありますから、当然それのある程度前までには当然決めなければなりませんし、したがいまして、公表をすることになりますが、今はまだ、腹案をもって交渉のプロセスに入っていく段階でありますだけに、国民のみなさんに恐縮ではありますが、今しばらくお待ちをいただかなければなりますまい。それだけは申し上げておきます」

 谷垣氏「総理はですね、今、今話す時期ではないとおっしゃった。そうしましたらね、話せる時期になったときは、その場所ですね、具体的な場所に総理ご自身がいらっしゃって、住民とひざをまじえて、そしてきちっと説得をされる、説明をされる、対話をされる。そういうご用意はおありですか」

首相「当然私自身、ある時期においては地元のみなさま方のところにおじゃまを申し上げて、こういうことになりますと。国民のみなさま方の平和を維持するために、どうぞご理解を願いたいと。住民のみなさま方と真剣に、真摯に対話を申し上げたいと思っています。言うまでもありません。そのことが必要だ。ただ、なかなか、今までの時の総理は必ずしも、そういうことをなさってこられなかったことも事実かもしれませんが、私としてはとことん、とことん、とことん、そういった議論を地元のみなさま方とも行ってまいりたいと思います。当然のことでございます」

 谷垣氏「今、鳩山さん、あなたがおっしゃったことは事実誤認も甚だしい。わが党の総理は、小渕(恵三)さんも、橋本(龍太郎)さんも、そして森(喜朗)さんも、小泉(純一郎)さんも、みんな現地に足を運んで、車座の対話をしているんですよ。そんな事実誤認をね、この場でおっしゃっていただいては困ります。それで、今おっしゃったことは、今おっしゃったことは、必ず案をまとめる前に地元の了解を得ると、こういうふうにおっしゃったと理解してよろしいですか」

 首相「私が申し上げたかったのは、車座の対話集会ということをやりなさいということでありますから、そのようなことを今までの総理がどこまでやったかということで申し上げたわけでございます。当然、私としても真摯に行動を申し上げたいと思っています。恐縮ですが、もう一度ご質問いただけますか」

 谷垣氏「あの、現地の了解をきちっと最後は取り付けるということをなさるんですね」

首相「当然、現地の了解なくしてその案を進める、理解をしていただくことになりませんから、当然のことながら、現地の了解は取り付けなければなりません。そのためには当然のことながら、自分としても全力を傾注することをお約束いたします」

谷垣氏「私がね、わざわざ今のようなことをお聞きしたのは、総理は施政方針演説で命を守りたいということを強調されました。しかし、普天間のこの迷走の経緯を見ますとね、総理は現に生きている方、地域で暮らしている方々、そういう人たちの思いや温かさというものは、私は乏しいんじゃないか。こう思っているんです。机上でプランを立てて、閣内をまとめて、そしてアメリカの合意を取り付ければ済むと考えておられるんじゃないか。そうするとですよ、3月だ、5月だ、そういうことで、いろんな発言が簡単に出てくるんじゃないかと私は思うんですね。しかし、現実に生きている人、現実の人の人生は、机上のプランじゃありません。御党は八ッ場ダムを中止されましたね。八ッ場ダム、これは中止で喜んだ人もいるかもしれません。しかし、新しいダムで生活をたてようと考えていた人たちは、その道を奪われてしまった。しかし、あなたの内閣から、あるいは民主党からこういった方々への思いやり、温かい言葉、そういう言葉を私は聞いたことがありません。現実に暮らしている方たちのふれあいや信頼なしに、この普天間移設問題の解決はあり得ないと私は思うから、申し上げたわけです。それで、今、現地の方々の了解は必ず取ると。こういうことをおっしゃいました。それは結構です」

 「もう1つ、うかがいたいことはですね、やはりこの移設の問題を考えるときは、私は4つほどポイントがあると思うんです。1つは、1つは抑止力の維持ということであります。日本には6千ぐらい離島があります。日本の海自(海上自衛隊)や海保(海上保安庁)だけではここを十分に守ることができません。やはり米軍の存在というのは非常に大きい。抑止力、この点からも抑止力は重要だと思います。それから2番目、沖縄の負担軽減ですね。それから、3番目、これは普天間の基地の危険。これをどう除去するかです。それから4つ目、4つ目は、こういうことを達成していくためには、なかなか大きな国民負担がいる。これも事実であります。以上4つの要件を今、総理がお考えになっている、腹案を持っておられるとおっしゃいました。その腹案は、今までの現行案よりもこの4つを総合して見たときに、はるかに優れている案だということは、自信をもっておっしゃられるんでしょうか。2014年までに普天間の危険を軽減する。このことはきちっとおやりになれるんでしょうか。お答えください」

 首相「今、谷垣総裁の方から抑止力、さらには沖縄の負担軽減、また、普天間の危険性の除去、さらには国民負担という話がありました。まず申し上げたいのは、この普天間の危険性の除去というものが本来、真っ先に果たされなければならなかったのに、なぜ、13年間もそのことが進められなかったのかと。本来ならば、これはもっと早く危険性の除去、あの少女のレイプ事件が起きた後、もっと早く、1年でも2年でも早くできたはずなのに、新しい移設先が見いだされなければ何もできなかったと。今でも危険性の除去が、何も進んでいないというところが、大変大きな問題なんじゃないでしょうか。だから、私たちはこの問題をまず真っ先に本来ならば、解決しなければならない。そのようにも思っておりますし、国民のみなさんにご負担を求めることも大事な話だと思って、きょうも申し上げたところでございます。トータルとして申し上げれば、沖縄の負担の軽減も含めて、また抑止力の問題も含めて、今私が腹案として持っているものは、現行案と少なくとも同等か、あるいはそれ以上に効果のある、すなわち、お認めをいただける案だと自信を持っているところでございます。さらに2014年までにすべて、すべてを、これを収容させるかどうかということになると、まずは普天間の危険性の除去という話を先ほど、その1つに挙げておられたわけでありますから、普天間の危険性の除去というものに関しては当然のことながら、2014年より遅れることはできない。そのように思っておりますのでその前に解決を申し上げたいと思っております」

 谷垣氏「2014年までに普天間の危険を除去する。こういうことをおっしゃったわけですね。それでじゃあ、最後にうかがいます。総理は施政方針演説の中で、5月までにこの問題をきちっと決着を付けたいということをおっしゃいました。5月末日までに何をなさるんでしょうか。日本政府としての案をしっかり固める。現地にしっかり了解を得る。そして、米国の同意を得る。この3つを5月末日までにおやりになる。こういうことと理解してよろしいですか」

首相「私は5月末までに、今、谷垣総裁から話がありましたように、まず、当然のことながら、政府の案というものはそれまでにしっかりと作っておかなければなりませんから、今、連立政権でありますが、連立政権としての考え方として、それをアメリカに提示して、理解を求め、そして当然のことながら、沖縄とは必ずしも限りませんが、新しい移設先に対しても理解を求める。そして、結果として政府案として、その案を認めていただくというプロセスにしてまいります。それが5月末までに私が果たすべき役割だと、そのように考えております」

 谷垣氏「今、総理が5月末までにこれをやるとおっしゃった。おできにならなかったらどうなさいますか」

首相「これからアメリカに対しても強く交渉をしてまいる立場の人間として、できなかったらどうするなどという、弱い発想を持ち合わせたら交渉にも何もなりません。当然のことながら、命がけでこの問題に対して体当たりで行動してまいります。そして、必ず成果を上げてまいりますので、どうぞ国民のみなさま方にも政府をご信頼いただきたい。そのように考えております」

谷垣氏「もし5月末、5月にそれがおできにならなかったら、これは日米間の信頼も決定的に損ないます。そしてまた、沖縄の住民はじめ、いろんな方々の心をもてあそんで、政治と国民の信頼関係も裏切ったことになります。そのときには総理は退陣なさらなければなりません。退陣なさらないのであれば、信を問わなきゃなりません。私どもは受けて立ちます。そのご覚悟とうけたまわりました」

首相「私として、当然のことながら、全力を挙げてこの問題の解決に努力をしてまいります。ぜひ、その成果を国民のみなさま方にお認めをいただきますようにがんばりますので、どうぞよろしくお願いいたします」

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 山口那津男公明党代表「前回の党首討論、2月17日でありました。すでに1カ月半がたちました。その間、この今の内閣はどうでしょう。国民からは学級崩壊状態だとも言われ、首相のリーダーシップが欠けている、こうも言われているわけであります。例を挙げてみましょう。だれも責任をとらない政治とカネの問題、利益誘導政治の復活ともとれる個所付け問題、閣内バラバラの郵政改革案、さらにはいまだに見通しの立たない普天間基地移設問題。さらには危機管理意識が全く欠如した国家公安委員長の軽率な行動。さらには度重なる閣僚の国会審議遅刻。もう挙げればきりがありませんよ。これは内閣の機能がもう不全に陥っていると言わざるを得ないんです。国民から見れば、まさに失望内閣と言いたいくらいですよ。こんな体たらくでどうするんですか。鳩山総理、その認識をうかがいたい」

 首相「私は一番大事なことは政府として国民の命を守ることにあると思っています。そして国民の命を守るための予算を、これは与党のご審議をいただいて、これは史上5番目という早さだとはうかがっておりますが、早さが問題ではありません。内容としてしっかりとしたものを作り上げることができた。このことによって国民の実感として世の中変わったなあと。今までは必ずしも官僚任せだったから、自分の暮らしは良くならなかったけれども、これからは実感を伴ってくるなあ。子ども手当の問題にしても、あるいは高校の無償化にしても、あるいは戸別所得補償制度にしても、予算があがることによって、そしてそのことを迅速に実現することによって、新たな政治というものが始まったことを国民のみなさんにも理解していただくことになる。そのように感じておりまして、そのためにもわれわれとしては一致団結してがんばっていかなければなりません」

 「ただ、さまざま今、山口代表からお話がありました。われわれとして反省すべき点もないわけではありません。反省すべき点は反省したいと思いますが、ただ、たとえば郵政改革に関しては決して閣内バラバラではありません。閣議で決めるまでは、閣議で決めるまでは、それぞれ官僚任せでない新しい内閣ですから、自分たちの考え方があっていいじゃありませんか。むしろ閣僚のみなさんに思う存分議論していただく中で、閣議において、しっかりとしたものを作り上げていく。国民のみなさんに理解していただける新しい内閣の姿だとお認めをいただきたいと思います。行きすぎた点、あるいは足らざる点があることは認めたいと思っておりますので、そこに関しては大いに反省をしながら、出発をして、再出発をしてまいりたいと思っております」

 山口氏「反省をするとおっしゃるならば、具体的に反省の姿を見せてください。先ほど挙げた例、一つ、一つ具体的な姿を見せていただきたい。そこで最初の問題でありますが、政治とカネの問題。いまだに私はこれを問わなきゃならないことはざんきの念に堪えませんよ。あらゆる大事な問題を議論したいのに、この問題が障害物のようになって議論できないじゃありませんか。そこで聞きましょう。先ほど勝場(元)秘書の公判の話が取り上げられました。2つ聞きますよ、2つ。勝場被告をこの国会に、一番事実をよく知る人として証人喚問、あるいは参考人招致に応じるよう首相が説得をしたらどうですか。これが1つ。もう1つは3月3日の参院予算委員会で、首相はこう答えているんです。最終的に結論が出て、その結論を元にして使途の報告を申し上げたいということでございまして、正確を期す必要があるということで、私はすべてが終わってから書類の返還を求めて、そしてそこでみなさま方に見ていただきたいと。こうお答えになっているんですよ。この通り、間もなく裁判は終わりますから、書類の返還を求めて、この国会に示して、国民のみなさんに説明していただけますか。この2点、明確にお答えください」

 首相「山口代表、この勝場元秘書、被告でありますが、に対する裁判は、まだご案内の通り最終的な判決が出ているわけではありません。従いまして判決が出れば、当然のことでありますが、まずは証人喚問に関しては、ぜひ、これは私が決める話ではありません。国会の中の議論の中で決めていただければよい話でございます。そこはまず、どうぞ国会の中で大いにご議論を願いたいと存じます。それから、その裁判が終わった暁にはと私は申し上げております。弁護士に対して、私の資料が戻ってまいります。その資料を分析、検証するようにということは指示をいたしているところでございます。その分析というものを行った結果、当然これはもう何度も国会の中でも答弁申し上げているところでございますが、その答弁でも申し上げておりますように、国民のみなさま方にどこまでしっかりとお示しできるかどうかということは検証してまいりましょう」

 「政治資金規正法に基づいて、当然のことながら、収支報告書に関しては修正申し上げなければならないところもありますが、まず大事なことは政治家がいわゆる選挙とか政治活動、自分たちの政治活動に使っているお金に関する収支だと思います。それに対して、当然のことながら国民のみなさんに明らかにする。そしてプライベートなことに関して、プライベートなことを一つ、一つ全部公表をするということは、やはりいかがなものかとは思っておるわけではありますが、しかし常識の範囲の中で当然、政治家でありますから、政治資金規正法に基づいて判断をされるべき事柄ではないかと思っております。そして私はやはりこの問題の根源を絶たなければなりませんので、根源を絶つためにはまずは企業・団体献金を禁止をさせることが非常に大事なことではないかとあえて申し上げておきます」

 山口氏「鳩山総理、もうお答えは分かりました。何も積極的に答えようとしていない。トップであるあなたがそういう姿勢だから、小沢幹事長も石川さんも小林さんもきちんと対応しようとしないじゃありませんか。率先垂範ということをやらなければ、ますます支持率は下がりますよ。よく自覚してください」

「そして郵政改革について一言申し上げます。これは民意を問うて決めた結論ですよ。民営化というのは。それをなし崩し的に今変えようとしているじゃありませんか。郵貯の限度額をたとえば1千万円から2千万円に上げるという。だけど民主党が2005年に出した法律案は、これは500万円に引き下げると書いてあったんじゃありませんか。まったく方向が逆でしょう。それに対して首相はこの政府の関与の割合がどうかこうかといっているけれども、国民から見れば政府が関与しているからつぶれないから預けようと。そして預金がシフトするんですよ。そしたら中小企業は困っちゃうじゃないですか。ゆうちょ(銀行)で貸してくれますか。中小企業をいじめるような、そんな法案は私は許しませんよ。民主党もともと考えていた方向は、鳩山内閣はその考え方を変更したんですか。仙谷(由人・行政改革担当)大臣いかがですか、と聞けないから、鳩山総理、しっかりここで答えてください」

 首相「2005年からさらにもう一度選挙というものがあったのも、これ、山口代表、ご案内の通りでございます。最初の時は確かにおっしゃる通りでございました。私たちはそのときは法的な関与を極めて強くする形で郵政事業を取り上げてまいりました。しかし、小泉改革、あの改革は民営化、本当に正しかったんでしょうか。これは山口代表にもおたずねしたいぐらいです。本当に郵政民営化というものが正しい方向であったのか。結果として地域がおかしくなってしまったじゃありませんか。そしてご案内の通り、あの巨大なガリバーだといわれていたあの日本郵政の会社も今大変厳しい状況になってしまっているじゃありませんか。私たちは、だからといって税金を投入したいとは思っていないんです。税金を投入しないで解決する道は何かということを考えたときに、公的関与というものをある一定程度にとどめていきながら、預入限度額をある程度引き上げるということによって、結果として税金を投入しないで、郵政事業というものを、ユニバーサルサービスというものを続けさせることができると。ある意味でそれが唯一のやり方ではないか。そのように今考えているところでありまして、昨日、閣僚の皆さん方にご議論いただく中で、しっかりとした1つの解決策を見いだしたわけでございまして、これによって私は郵政民営化によって地域の崩壊現象が続いている。この地域の崩壊をむしろうまくとどめていくことができると。中小企業というものに対しても今の金融機関と協力をしていく中で、事業を進めていくことがむしろできる。そのように考えているところでございますので、ご心配には及びません」

山口氏「首相のかみ合わない答弁に私は非常に残念に思います。これで終わります」

 











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