【鳩山由紀夫・総理就任会見 2009・9・16】

         


【鳩山首相会見】身震いするような感激と重い責任(16日夕)
9月16日18時42分配信 産経新聞


 鳩山由紀夫首相は16日夕、首相官邸で記者会見し、「衆参両院で首相に選出いただき、その瞬間に日本の歴史が変わるという、身震いするような感激と大変重い責任を負った」と述べた。会見の詳報は以下の通り。

 【冒頭あいさつ】

 「このたび、衆議院、参議院、両院におきまして総理に選出をいただきました。その瞬間に日本の歴史が変わるという、身震いするような感激と、さらに一方では大変重い責任を負った。この国を本当の意味での国民主権の世の中に変えていかなければならない。そのための先頭を切って仕事をさせていただく。その強い責任もあわせて感じたところでございます。社民党さん、国民新党さんとともに、民主党が中心的な役割を果たしながら、連立政権の中で、国民のみなさま方の期待に応える仕事を何として、していかなければならない。強い使命感をもって、仕事に当たりたいと感じているところでございます。言うまでもありません」

 「この選挙、民主党、あるいは友党は、大きな戦いに勝利をいたしました。しかし、この勝利は民主党の勝利ではありません。国民のみなさま方が期待感をもって民主党などに対して1票を投じていただいた結果であります。まだ歴史は本当の意味では変わっていません。本当の意味で変わるのは、これからの私たちの仕事いかんだ。そのように感じております。私たちは今回の選挙、国民のみなさま方のさまざまなお怒り、ご不満、悲しみ、全国各地でそのようなものをたくさんちょうだいをいたしてまいりました。なんでこういう日本にしてしまったんだ。こんなふるさとにしてしまったんだ。その思いを私たちはしっかりと受け止めていかなければなりません。そして、そこに答えをしっかりと出さなければならない。大きな役割を私たちは担わなければなりません」


「すなわち今回の選挙の勝利者は、国民の皆さん方でございまして、その国民の皆さんの勝利というものを本物にさせていただくためには、とことん国民の皆さんのための政治というものを作りだしていく、そのためには、いわゆる脱官僚依存の政治というものを今こそ世の中に問うて、そしてそれを実践していかなければなりません」

 「私たちはさまざまな仕組みの中で脱官僚依存、すなわち官僚の皆さんに頼らないで、政治家が主導権を握りながら官僚の皆さんの優秀な頭脳を使わせていただく、そういう政治を送り出していきたい。その先には、言うまでもありません。国民の皆さんの心と接しているのは政治家である。その気概を持って、国民の皆様方のさまざまな思い、政治を変える、何のために変えてもらいたいのか、その思いを受け止めて、私たちが大きな船出をしっかりとしていきたい、そのように感じているところでございます。そのためには、今までのように国民の皆さんも、ただ一票を投ずればよいんだ、そういう発想ではなくて、ぜひ、政権にさまざまなものを言っていただきたい。政権の中に参画をしていただきたい」

 「私たちが皆様方のお気持ちをいかにしっかりと政策の中に打ち出していけるか否かは、国民の皆さんの参加次第にかかっているとも申しあげていいと思います。私たちはそんな中に今まではマニフェスト(政権公約)というものを作り上げてまいりました。子ども手当の問題にしろ、ぼろぼろになった年金を何とかただしていく、こういったテーマにしろ、そのための財源をどうするんだ、その思いの中で私たちは無駄遣いを一掃しなきゃならん、まずは無駄遣いを一掃するべきだ。その発想の中で行政刷新会議というものを作り上げてまいりました。また、国家戦略室というものも作り上げていきたい。そしてそこによって国民の皆様方に、必ず国家的な大きな役割を、指針というものを見いだしながら、国民の期待に応えてまいりたい。そのように感じているところでございます」

 「多分、いろんな試行錯誤の中で、失敗することもあろうかと思います。是非国民の皆さんにも、ご寛容を願いたいと思っております。なんせまだある意味での未知との遭遇で、経験のない世界に飛び込んでまいります。政治主導、国民主権、真の意味での地域主権の世の中を作り上げていくためにさまざまな試行実験を行ってまいらなければなりません。したがいまして、国民の皆様方が辛抱強く、新しい政権をお育てを願えれば大変幸いに思っております」

 「私どもはそのような思いの中で連立政権を樹立する決意を固めた次第でございます。あくまでも国民の皆様方のご期待に応えるような新しい政治を作りたい。その思い一つで、連立政権を樹立いたした、その思いをみんなでかみしめながらスタートしてまいりたいと思っておりますので、どうか国民の皆様方にもご辛抱の中で、ご指導ご支援いただきますことを、心から祈念をいたします。どうぞよろしくお願いをいたします」

 ――鳩山政権で当面、重要視する政策課題は何か。子ども手当などの財源の対応は。補正予算の執行停止などで景気腰折れの懸念はないか

 「まず、重視する政策課題でありますが、言うまでもありません、先ほどもちらっと申し上げましたけれど、マニフェスト、これは連立政権でありますから、連立政権の中ではその合意をいたした中身をしっかりと実現をしていくということでありますが、民主党としてはその中での、特に先ほど申し上げたような子ども手当、あるいは暫定税率の撤廃とか、国民の皆さま方の家計というものを刺激する政策というものを真っ先に行いながら、今、お話がありましたように、景気の先行きが極めてまだまだ見えてこない中で、国民の皆さんにとって、『ああ、少しは懐具合がよくなってきそうだな』と。『この政権、期待が持てるな』と。そう思っていただけるような施策をいち早く実現をしていくこと。ここに尽きるのではないかと思います」

 「そうなりますと、財源の問題が出てまいります。したがって私たちは、事業仕分けなどをしっかりと行っていくための行政刷新会議をすぐに稼働させていきながら、いわゆる行政の無駄はないかと。各省庁に対して徹底的に無駄をなくす方向で努力を願いたいと考えております。それなりのメドというものは立ちつつある状況ではないかと。そのように考えておりまして、財源の問題は私たちは少なくとも初年度分、7兆円余りでありますが、十分にメドは立つのだと。そのように確信をいたしているところでございます」

 「それから、景気対策、補正予算というものを私たちは徹底的に見直さなきゃならないと。そのように考えております。したがいまして、予算の執行停止も求める部分もこれから出てくると思います。それは、しかしながら、もうすでに執行しているような、地方において、地方の活性のためにお使いになっていただいているものに対しては、基本的に地域の活性化に役立つという判断であるならば、続けて執行していただきたいと思っておりますが、必ずしもそうでないもの、まだ執行が始まっていないもの、というものに対しては大胆な見直しが必要ではないかと。そのように考えているところであります」

 「私たちが申し上げたいのは、今、申し上げたように、もうすでに地方において仕事がなされているものに対して、それを止めれば相当大きな影響が出てくる、きかねないと思っておりますので、そこに対する配慮は行っていきながら、われわれが考えていく中で、無駄だとか、あるいはもっと有効な使い道があるのではないかと。そのように思われているものに対しては、見直して、もっと有効な手だてというものを構築をしていきたい。そのように考えております」

 ――首相は脱官僚に強い意欲を示したが、閣僚の強い抵抗が予想される

 「閣僚? 官僚ね。はい」

 ――官僚の抵抗。国家戦略局を含めどのように脱官僚を実現するか

 「はい、まず私どもはですね、大臣、副大臣、政務官、そのいわゆる政務三役という方々にそれぞれの役所において政治主導の立場から政策の意思決定を行っていただきたいと、そのように考えております。言うまでもありません。優秀な官僚のみなさんの国民のためにがんばっていただくものに対して、それをけしからんという術(すべ)は私たちは持ち合わせておりません。しかし、必ずしもそうでないものに対して、基本的に政治家が主導しながらですね、この役所の事業というものを、むしろ政治家が主導して意思決定を行っていくというシステムを作り上げていくと」

 「これも申し上げたと思っておりますが、閣僚委員会というものをつくらせていただいて、特にこれは、いくつかの役所にまたがるようなプロジェクトに対して、閣僚委員会で意思決定をほぼ行い、最終的には閣議というもので最終決定をいたすと。そこに事務次官会議というものを廃止をしておりますから、必ずしも官僚の皆さま方の抵抗によって大きく曲げられるということにならないと。そのように考えております」

 「国家戦略局、あるいは行政刷新会議、このあり方も、その中で政治主導であることは言うまでもありませんし、特に予算の骨格というものを議論する国家戦略室、この菅(直人)大臣にその仕事をお願いをすることにいたしておりますが、菅大臣の大変強いリーダーシップというものを大いに私は期待を申し上げたい」

 「また、行政刷新会議は仙谷(由人)大臣にリーダーシップを大いに発揮をしていただきたいと思いますし、いわゆる各省の副大臣クラスの方々にも行政刷新会議の中での役割というものも任じていただきたい。そして、事業仕分けをはじめとして、いわゆる無駄だと思われているような事業を徹底的に排除するように、政治主導で行っていきたいと。そのようなさまざまなやり方をですね、駆使しながら、いわゆる脱官僚依存の政治というものを行ってまいりたいと考えております」

 ――来年度予算案の編成が課題だと思うが、シーリング(概算要求基準)についてゼロベースで見直しをするのか、年度内編成、年内編成を行うのか、そして年度内成立を目指すのか

 「これは、財務大臣さらには国家戦略室の菅(直人)大臣を中心にこれから早急に議論を詰めていくということが、基本的なスタンスであります。私からあえて申し上げれば、当然のことながら、今までの手法というものはゼロベースで考え直していくということでありますので、シーリングのやり方などというものも基本的に考え直していきたい。そのように考えております。そうは言っても、このようなある意味で遅れてスタートはいたしますが、年内で編成ができるようなスケジュール感で臨んでまいりたいと、現在はそのように考えております」

 ――国連総会に際して日米首脳会談が行われると思うが、日米関係はどのような方針で臨むのか。連立与党合意でも日米地位協定の改定の提起などが盛り込まれたが、それについてテーブルに乗せるのか

 「日米首脳会談の日程がセットされることを期待をいたしておりますが、どのような時間をいただけるか、まだ必ずしも分かっていない状況であります。その上で仮定の中で申し上げるとすれば、私はまず、オバマ大統領と信頼関係を構築をするということが第一歩であって、今回の訪米は、そういった意味でお互いに率直な意見交換をすること、そのことによって、信頼感というものを高めることが一番重要なことではないかと、そのように思っております」

 「いわゆるこの日米の地位協定などの問題に関して、私ども今考えておりますのは、当然、基本的な方針は変えるつもりはありません。この連立の中での合意のところでの改定に向けて努力をすることがうたわれておるのも事実でございます。新しい、今回は信頼関係を醸成していくことが主眼でございますし、いわゆる日米間のさまざまな懸案問題、安全保障関係の問題に関しては、包括的なレビューというものを少し時間をかけて行うことが重要ではないかと、そのように思っておりますので、このような時間をかけた中で議論を進めていくことが大事であると」

 「一番私たちがカギに思っておりますのは、やはり信頼関係の構築だというようにご理解をいただきたい。くどいようですけれども、お互いにですね、相手に対して遠慮しないでものを言う立場というものを築き合うことだと、そのように考えております。日本がややもすると受け身的な日米関係に今までなりつつあったわけでありますが、そうではなくて能動的な立場でですね、われわれとしてもこう考えてんだ、ということを率直に話し合えるような関係を作り上げていきたいと、その中での結論というものを導いていくように努力をしたいと、そのように考えています」

 ――拉致問題に関して、鳩山内閣には北朝鮮拉致問題の実行犯の辛光洙(シン・ガンス)元死刑囚の釈放嘆願書に署名した菅直人国家戦略局担当相と千葉景子法相の2人が入っている。北朝鮮に誤ったメッセージを送りかねない。この2人に拉致被害者家族に反省なり謝罪なりを求める考えはないか

 「わたくしは過去の経緯というものは事実としてあろうかと思います。ただ、一番大事なことは北朝鮮に対しては、拉致問題を現実に解決に向けて進めていくということが肝要であります。そのためにも、今回、国家公安委員長になりました中井洽(ひろし)、中井大臣に拉致問題担当というものを命じているところでございます。彼がこんにちまで拉致問題に大変積極的に行動してまいったことに、わたしは重きを置かせていただきながら、拉致問題をうまく展開をさせていくために、努力を惜しまない、そのように考えておりまして、過去のことに対してわたしは今、2人の大臣に問うことを考えてはおりません」

 ――予算編成の司令塔は国家戦略局なのか、財務相なのか。また、西松建設の事件について、首相は幹事長時代に「国策捜査」と言った。考えは変わらないか。法相を選ぶ際にこのことを考慮したか

 「まず、予算編成に関してでありますが、わたくしは国家戦略室にいわゆる骨格というもの、予算の骨格というものを議論していただくと。いわゆる詳細に対する設計でというものではなく、骨格の設計を国家戦略室にお願い申し上げたいと、そのように思いながら、国家戦略室をつくった次第であります。従いまして、その骨格に対して、しっかりとした骨組みから精緻(せいち)な内容に仕立て上げていくのが、財務大臣あるいは財務省を中心とする役割だと、そのように任じております。ただ、双方がですね、また、ある意味での行政刷新会議も含めて、どのくらい無駄遣いというものを削減することができるかということも絡んでおるものですから、その3者が一体的に議論を進めながら、役割分担というものを行っていくべきだと、そのように考えております」

 「それから西松建設に対して『国策捜査』という言葉を一度使った次第でございますが、わたくしは二度は使わなかったつもりでございます。すなわち一度使ったことに対するある種の反省の思いを含めて、その言葉を遠慮しているところでございますので、そのような立場だとご理解を願いたい」

 ――首相が訴える東アジア共同体はどういった形で国際社会に訴えていくと考える。米国では「米国離れ」「ドル離れ」とも言われる

 「ご案内の通り、ある意味での友愛精神というものがスタートラインでありまして、それが欧州連合(EU)においては共通のEU、いやユーロという通貨まで展開していったということでございまして、わたくしはある意味で、かなり体制も違う国々もあるわけではありますけども、アジアにおいて、とくに東アジアにおける共同体というものを中長期的にみて構想することは、わたくしは正しい道のりだと、そのように考えております。その発想は決してドルというものを、あるいはアメリカというものを除外するつもりではありません。むしろその先にわたしはアジア・太平洋共同体というものを構想するべきだと、そのように思っておりまして、アメリカ抜きで必ずしもすべてできると思ってもおりません。このような構想はできるだけ早い時期に、まっ、すべてどこまで詳細にお話しするかということは別にいたしまして、何らかの形で今度、国連でも演説をする予定でもございます。そのような中で頭出しくらいはしてみようかなと、そのように考えているところでありますが、まだそのところは詰めている状況ではありません」

 ――「故人献金」問題について、野党の厳しい追及を受けるのは必至だ。政権運営への影響と今後、新たに説明する考えはあるか

 「この問題に対して、国民の皆さま方にいろいろご心配おかけしたこと、おわびを申し上げながら、わたくしなりに修正、あるいは訂正いたしたところでございます。なかなか国民の皆さんにはご理解をいただいていないことは事実だと思っておりますので、それはもっと説明を尽くす努力をしてまいりたいと思っておりまして、今後の展開というものも、さまざま考えながら、わたしなりの思いを国民のみなさま方にできるだけ正確に、正直にお伝え申し上げて、ご理解を深めていただきたいと、そのように努力をいたしたいと思っております」

 =おわり



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