続・民主党解剖「政権前夜」 産経新聞特集

   
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党内対立避け皇室論議封印
8月5日0時48分配信 産経新聞


 先の通常国会で廃案となった114本の法案の一つに「臨時祝日法案」がある。天皇陛下のご即位20年を記念し、国民こぞって祝うために今年11月12日を休日にするという内容だ。法案を推進してきた奉祝国会議員連盟には453人もの衆参両院議員が加盟し、民主党からも代表、鳩山由紀夫は副会長、代表代行の小沢一郎は顧問としてそれぞれ役員に名を連ねた。

 にもかかわらず、法案は葬り去られた。党内の国家観をめぐる路線対立を露見させたくないとの民主党の事情に振り回されたのだ。

 ■「天皇は元首」

 昨年6月5日、都内で開かれた即位20年奉祝委員会(会長・日本商工会議所の岡村正会頭)の設立総会。政財界関係者ら約500人の出席者は、鳩山(当時・幹事長)のあいさつに惜しみない拍手を送った。

 「憲法に『日本国は国民統合の象徴である天皇を元首とする』とうたうべきではないか。自民党と民主党、お互いの損得を超えて未来のため、この国の繁栄に尽くしていきたい」

 鳩山はその2日前、臨時祝日法案制定の方針を決めた奉祝議連の会合にも出席し、趣旨に賛同していた。議連役員にはほかにも常任幹事会議長の中井洽(ひろし)、元政調会長の仙谷由人、役員室長(当時・幹事長代理)で鳩山側近の平野博文らそうそうたる顔ぶれが並んだ。

 だが、鳩山と民主党の動きはぴたりと止まる。

 自民党や、52人の衆参議員全員が議連に入った公明党は早々に党内手続きを終え、「対決法案にしてはいけない」と民主党の調整を待った。だが、鳩山は「平野君に話をしてくれ」と逃げ腰となり、平野も「うちの反対で休日にならなかったとはいわれたくないが、意見集約に時間がかかる」と弁明を繰り返した。

 ■「荒立てないで」

 「祝日法については、党内のコンセンサスが得られていない状況だと報告する。(党内で)きちっと説明しなくてはならない」

 今年3月2日に都内で行われた奉祝議連と奉祝委員会の役員総会。鳩山は党内とりまとめに改めて意欲を表明した。だが、それでも事態は進まない。

 6月4日には議連実行委員長で無所属の元経産相、平沼赳夫がしびれを切らし、鳩山に早急な対応を促した。ここでも鳩山は「皇室のことでぎくしゃくしてはいけない。党内をまとめたい」と話すのみだった。

 さらに同月25日、鳩山が「法案を正式に出してくれたら対応する」と言い出したため、議連は自民、公明、国民新、新党大地、改革クラブなどの超党派で法案を衆院に提出した。その日、中井から平沼にこんな電話がかかってきた。

 「参院民主党は(日教組出身の参院議員会長の)輿石東が牛耳っているので、ことを荒立てないでほしい。最悪の場合、党議拘束を外して自由投票にする」

 ところが結局、民主党内で意見集約の場はもたれないまま、7月14日に問責決議案が可決された。臨時祝日法案の廃案も決まった。

 民主党議員時代(昨年8月離党)から法案作りに努めてきた改革クラブ代表、渡辺秀央は「鳩山君はブレにブレた」と総括する。

 「党内が一致できる一部の問題しか物事を進められない民主党の体質が典型的に表れた。皇室制度にどう向き合うかすら意思統一がされていないんだから」

 民主党が政権の座に就いたとき、明確な国家像を内外に示せるのかはまだ霧の中だ。

 ■米国の安堵と疑念

 米政府は民主党政権誕生を見越し、民主党幹部との接触を活発化させている。「果たして日米同盟を担いうる政党なのか」。米側の関心はこの一点に集中している。

 6月25日、民主党本部。米国防次官、フロノイは幹事長の岡田克也、副代表の前原誠司らに対し、米側の立場を言明した。

 「政権交代してもアフガニスタンや海賊対策と並び、グアム移転協定を含めた米軍再編を進めていくことは日米両国間の合意だ」

 岡田は「すべての懸案をテーブルに置いて交渉するつもりはない」と政権獲得後は柔軟に応じる考えを示した。7月17日には米国務次官補、キャンベルにも同様の考えを伝えた。

 一連の会談の成果か、次期駐日米大使、ジョン・ルースは7月23日の米上院外交委員会で「(日本の)民主党はここ数日発言を和らげている」と指摘した。現実的な言動が、米側に安堵感を与えているようだ。

 民主党は9月下旬の国連総会に際し、首相就任を見込む代表、鳩山由紀夫と米大統領、オバマとの初の首脳会談を行い、米国重視を明確にしたいようだ。だが、米側の懸念はまだ払拭されたわけではない。

 「民主党内には左派議員もいる。意見の対立はどう解消していくのか」

 岡田−キャンベル会談に先立ち、副幹事長の長島昭久を訪ねた米国務省スタッフは、こう率直に疑念を示した。長島は「今の民主党にイデオロギー対立はない」と反論したが、同時に民主党に向けられた厳しい視線を感じ取っていた。

 ■早くも見解にズレ

 民主党は7月27日に発表したマニフェスト(政権公約)では、党内で亀裂の芽となりかねない課題は巧みに結論を先送りした。

 例えば代表代行、小沢一郎が代表時代に「憲法違反」と断じたインド洋での海上自衛隊による補給活動には言及していない。

 だが、それで丸く収まるというわけでもない。補給活動を「延長しない」と明言する鳩山と、「単純延長はしない」と含みを残す岡田との間で、見解に早くもずれが生じ始めている。

 永住外国人への地方参政権付与問題も、党内対立を避けるためマニフェストには記載されていない。ただ、政策集「INDEX2009」は「結党時の基本政策」「早期実現の方針は維持」と明記しており、火種はくすぶったままだ。

 この問題は韓国のマスコミの関心も高く、国際問題化の兆しもある。在日本大韓民国民団(民団)は、衆院選を参政権獲得運動の天王山と位置付け、「合法的に、できる範囲で」(民団中央本部)、推進派議員の支援に動き始めた。

 民団発行の民団新聞(7月15日号)は「地方本部が団員全世帯に支援候補者のポスター張り出しを呼びかけた」と報じている。鳩山側近の一人は民団地方本部での講演で「政権奪取で皆さんの地方参政権を実現する」と“公約”した。政権を獲得すれば、「誠実な履行」を求められることになるだろう。

 ■細川政権の記憶

 「政策集では(策定過程で)オレが『従軍慰安婦』の(史実にない)『従軍』という文字を削った。教育問題も言い過ぎた部分は削除、削除だ。左がかったのは嫌いだからな」

 鳩山に近い党幹部は左派イデオロギーは排除したと強調する。それではこのまま民主党政策は現実化に向かうかと言うと、ことはそう単純ではない。

 7月12日、静岡県小山町の陸自富士学校で行われた記念行事。マニフェスト策定にかかわった民主党若手議員は来賓席で隣り合わせた自民党議員に、あっけらかんとこう語ったという。

 「インド洋の海自撤収については書き込みません。日米地位協定も(これまでのように)『改定する』とは書きません。来年夏の参院選までは党内に波風を立てたくないから年金問題一本で行きますよ」

 7月初頭のある夜、鳩山は側近の前衆院議員、中山義活と互いの妻も交えて都内のフランス料理店で会食した。その場で鳩山は語気を強めた。

 「自民党は今後4年間、権力の座から離れれば、分裂状態になる。われわれは二度と細川護煕政権の失敗は繰り返さない」

 平成5年に自民党から政権を奪取しながら、わずか8カ月で瓦解した非自民連立の細川政権。内部対立から政権崩壊へと雪崩を打つさまを官房副長官として目の当たりにした鳩山はいま路線問題は封印する腹づもりのようだ。

 だが、党内左派はそれで納得するのか。連立する予定の社民、国民新両党と調整できるのか。先送りした宿題はいずれ重くのしかかってくる。(敬称略)

 衆院選は、時代の閉塞(へいそく)感を吹き飛ばすことを期待された民主党が優位に戦いを進めている。では政権交代により民主党は何を目指すのか。政権を担う覚悟と態勢はあるのか。「政権前夜」の喧噪(けんそう)に包まれた民主党の実像に迫った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090805-00000500-san-pol

政治主導阻む厚い官の壁
8月6日7時56分配信 産経新聞

 ■財務省は温存?

 衆院解散2日後の7月23日の民主党本部。代表、鳩山由紀夫の側近である役員室長、平野博文は最高顧問の藤井裕久から、政権獲得後の政権構想についてアドバイスを受けた。

 「『国家戦略局』まではいい。だが、財務省から主計局を分離し、首相直轄の『予算局』をつくるような機構いじりはしない方がいい。(法改正に)半年はかかり、その間に政権はつぶれてしまう」

 旧大蔵省出身で蔵相経験者の藤井は今回の衆院選には出馬しない。だが、幹事長の岡田克也が政権交代後、民間人枠で要職に起用することを示唆しているキーマンだ。民主党のマニフェスト(政権公約)は「政治主導」が柱だ。明治以来の「官僚内閣制」の打破をスローガンに掲げる。大臣、副大臣ら国会議員約100人を政府に送り込み、政府・与党の一元化を図る。予算の骨格や国家ビジョン策定を行う「国家戦略局」設置や事務次官会議の廃止など刺激的な政策が並ぶ。

 国家戦略局構想では、官民のスタッフ10〜20人で構成し、トップには政調会長を閣僚と兼務で充て、局員の半数を党政調職員で固める案の検討も進んでいる。

 一方、藤井の一見現実的な助言は、予算を握る財務省の権力と権益を温存することにもなりかねない。主計局分離構想は早くも頓挫している。

 ■国会対策も必要

 「鳩山政権」誕生後、今秋にも召集予定の臨時国会で、国家戦略局など一連の改革メニューに「魂を入れる」(中堅議員)ためには、内閣府設置法など関連法の改正が必要だ。

 「すぐできるつもりで官邸に乗り込んでも、内閣法制局がそう簡単に通さない。『これを変えると何百本の法律を変えなければならない』と言い出す」

 ある党関係者は、率直に懸念を表明する。官僚制度の「壁」を突き崩すのは容易ではなく、逆に立ち往生しかねないというわけだ。

 6月中旬、細川護煕(もりひろ)元首相の秘書官を務めた駿河台大学長、成田憲彦は、内閣制度の調査のため英国を訪問して帰国した代表代行の菅直人とこんなやりとりを交わした。

 成田「あなたは官僚対策ばかり主張しているが、細川内閣で一番苦労したのは野党だった自民党に対する国会対策だった。幹事長を閣内に入れたら、国会答弁にはり付けられて国会運営はやっていられない」

 菅「分かっている。英国視察から帰ってきてから、自分も考え方が変わった」

 菅はそれまで、幹事長を無任所の閣僚に起用し、同時に国会対策に当たらせる案を提唱していたが、現在は軌道修正している。

 党内では早くも、代表代行の小沢一郎が幹事長に起用されるとの観測が流れ、「実力者の小沢が党で影響力を保つと、政府・与党の一元化どころか二重権力構造も改まらない」(別の中堅)との懸念も漏れる。

 7月28、29両日、都内のホテルに財務、外務、経済産業など4省の次官、官房長級幹部が集まった。平野ら5人ほどの民主党議員と平成22年度予算案の編成状況や21年度補正予算の減額修正などについて意見交換するためだった。

 特に財務省は水面下で鳩山や岡田ともそれぞれ数回ずつ会い、同様のテーマを協議し政権交代に向けた準備作業を続けてきた。

 ■チームワーク

 これには伏線もある。衆院解散を4日後に控えた7月17日には、財務次官の丹呉泰健が就任あいさつで党本部に鳩山を訪ねている。

 「うちが政権をとったら予算編成は『国家戦略局』がやるから」

 約15分と短い会談の中で、鳩山はこうクギを刺した。丹呉は、元首相、小泉純一郎の秘書官経験者で構造改革路線を支えた中心人物の一人だが、「ときの政府にしっかりと対応します」としたたかに応じた。

 月額2万6千円の子ども手当や高速道路の無料化などの巨額の財源を確保するには、財務省の協力は欠かせない。だが、距離感を見失えば、官僚の手のひらの上で操られかねない。

 やはり「政治主導」を掲げた安倍政権は、天下り斡旋(あっせん)の全面禁止を柱とする公務員制度改革で、事務次官会議の決定を経ずに関連法案を閣議にかけた。これが官僚の猛反発を呼び、閣僚のスキャンダルをリークされたとされ、参院選で惨敗して志半ばで退陣した。

 「要は人。それとチームワークだ」。民主党幹部は「政治主導」を成功させるカギについてこう語る。党内をまとめ、政策の立案、調整、決定の各過程で官僚とどう向き合うか。金看板の「脱官僚」の制度改革が骨抜きになれば、一気に世論の離反を招く可能性もある。(敬称略)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090806-00000060-san-pol

政権運営縛る“小沢氏の影” 
2009.8.6 23:47
 
このニュースのトピックス:民主党解剖
 ■側近3人衆

 衆院選の勝利が既成事実のように語られる中、民主党代表、鳩山由紀夫にとって気がかりなのは、政権奪取後の政権運営だ。ここでつまずけば、政権交代の意義自体が、色あせてしまいかねないからだ。

 7月中旬、国会にほど近い鳩山の個人事務所。国民運動委員長、小沢鋭仁(さきひと)は鳩山に、政府に約100人の国会議員を入れるという党の構想の問題点を指摘した。

 「選挙になったら国会議員はみんな地元に帰るし、全員、政府にいるのは難しい。国会対策も大切だ」

 小沢には、政府・与党の一元化を進めるのに伴い、すべての政治責任を首相となる鳩山が背負うことへの危(き)惧(ぐ)があった。

 「そうだよね…」

 鳩山はうなずきはしたものの、多くは語らなかった。ただ、こうして耳が痛い進言ができるのも、小沢が新党さきがけ時代からの鳩山の側近だからだ。

 小沢に役員室長の平野博文、副幹事長の松野頼久を加え、「鳩山側近3人衆」と呼ばれる。今年5月の代表選では、3人とも鳩山を支援し、多数派工作に力を尽くした間柄だ。

 平野は、「鳩山の側用人(そばようにん)」を自任する。松野は、鳩山の政治指南役だった元自民党総務会長、故松野頼三の長男で、「政治センスは父親譲り」(中堅)とされる。

 ただ、3人とも党内外で重きをおかれる存在とまではいえない。ある幹部は「鳩山には政権獲得後、神経をすり減らす政治判断が続くときでも、頼三さんのように頼れる相手はもういない」と懸念する。

 ■鳩山の優しさ

 鳩山は7月10日、日本記者クラブの記者会見で、内閣不信任決議案を衆院に提出する考えを表明した。

 実はこの直前、副代表の川端達夫とひそかに党本部で会談した際には、鳩山は「不信任案を出して可決されたら、麻生太郎首相が辞めてしまう」と土壇場で二の足を踏んでいた。

 「ここで出さなくてどうする。迷わず出せ」

 川端が強引に説得し、踏み切れずにいた鳩山の背中を押した。鳩山は周囲の意見はよく聞く半面、必ずしも即断即決型のリーダーとはいえない。

 不信任案はその後、与党の賛成多数で否決され、結果的に「支持率が低迷する麻生首相のままでの衆院解散」の道筋をつけた。民主党側のシナリオ通りの展開をたどったことになる。

 「鳩山さんが唱える『友愛』は、演歌だ。人情が大切だということだ」

 若手議員は、鳩山の情の厚さを評価する。鳩山は若手・中堅と酒席をともにするときも、スケジュールが許せば自ら席を立つことはせず、最後まで残って談笑する律義さを持つ。

 だが、政界では優しさは、優柔不断につながる。政敵につけ入るすきを与えることにもなりかねない。

 「日本の顔」となる公算が大きい鳩山は、ときに身内を切り捨てるような非情なリーダーシップを発揮できるのかが試されそうだ。

 ■猛獣使えるか

 政権交代後、鳩山には、野党対策とともに「寄り合い所帯」である党内をにらんだ政権運営が求められる。最も神経を使うことになるのが、代表代行、小沢一郎との間合いだろう。

 小沢を支持する議員グループ「一新会」は現在も、約50人を抱え、党内最大だ。その上、小沢が仕切る衆院選では小沢に近い候補者は現職のほかに新人、元職で約50人に上る。選挙後には、衆院だけで100人前後の一大勢力が出現する可能性が高いのだ。

 さらに、参院議員会長、輿石東が率いる参院民主党も多くは小沢シンパだ。

 一方、鳩山グループは現在、約40人が所属しているが、「選挙後も15人ほど上乗せできるか」(関係者)というのが実情だ。

 「これがほぼ全員当選してくるんだよなあ」

 ある中堅議員は7月中旬、衆院議員会館の自室でA4版のペーパーに記された「小沢派予備軍」の名簿を見つめ、ため息をついた。小沢グループが「数の力」を背景に発言力を増せば増すだけ、政府・与党の一元化が有名無実化し、「小沢院政」が顕著になるからだ。

 小沢には独断で自民党との大連立を画策した「前歴」があり、今後も政界再編を仕掛けかねない−。こうした見方がついて回るのも、鳩山の頭を悩ませる。もっとも、鳩山周辺は「政権を獲得しても、小沢グループとの連携は欠かせない」と明言する。

 「剛腕とか猛獣というふうに評されることもある小沢さんの力を活用できるのは自分しかいない」

 鳩山は文芸春秋7月号に寄せた手記で、こう自信を表明している。いずれにしても民主党には衆院選後、常に「小沢の影」がつきまとうことになる。猛獣使いとしての鳩山の真価が問われる。(敬称略)


http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090806/stt0908062353004-n1.htm

FTA修正 ブレる農政
8月8日7時56分配信 産経新聞

 ■びっくりした

 「日本の農業に壊滅的影響を与える」として、全国農業協同組合中央会(JA全中)が民主党に抗議声明を出したのは7月31日のことだ。同党の衆院選マニフェスト(政権公約)に日米FTA(自由貿易協定)の締結が盛り込まれたことへの反発だった。

 農業政策の根幹にかかわる問題で、両者の対立の根は深そうに見えた。だがこの日、水面下ですでにすり合わせが進んでいた。

 東京・大手町のJAビル37階のJA全中会長室。訪れた元首相で民主党最高顧問の羽田孜や副代表の北沢俊美らに対し、会長の茂木守が熱弁をふるった。

 日本が世界最大の農産物輸出国である米国とFTAを締結し、コメなどの関税が撤廃されればJA全中は大打撃を受ける。茂木は民主党の農政に対する不信感を隠さなかった。

 茂木「日米FTAは、われわれにとって大問題だ」

 羽田「あれ(締結)にはオレもびっくりしたんだ」

 羽田らはその場で「FTAを『締結』とした表記は取り消す」と確約した。8月3日には、党三役が瞬く間に「締結」の文言を「交渉を促進」に修正する方針を確認、7日に正式決定した。

 決定までの間、民主党はハチの巣をつついたような騒ぎに陥った。

 「締結なんて書かれたら、選挙にならないよ」

 北海道が選挙区の党常任幹事会幹事、松木謙公は元農水官僚の同僚候補に電話して愚痴をこぼした。この候補には、松木以外にも数人の候補者から相談や問い合わせがあったという。

 ■マニフェスト無視

 都市部以外の候補者にとって、農業団体・関係者の票や支援はのどから手が出るほど欲しい。だが、特定業界・団体依存の体質と選挙手法には、党内からも「民主党が批判してきた自民党とどう違うのか」(中堅議員)との声が漏れる。

 自民党と農業票を奪い合い、自治労、日教組などの支援を受ける。政官業の癒着を断ち切るとの民主党の目標と矛盾しないのか。混乱が予想される「締結」に踏み込んだのはなぜか。

 「党内の農水専門家に相談せず、マニフェスト検討準備委員会がポーンと出してしまった。『外交』の項目に日米FTAを入れるなんて愚の骨頂だ」

 ある幹部は、党内の根回しがろくにないまま発表されたと打ち明ける。マニフェストは、検討準備委(委員長・政調会長の直嶋正行)のメンバー8人で実質1カ月半ほど練られたが、農政通の国会議員はいなかった。

 JA全中との“手打ち式”が行われる前日の7月30日。「次の内閣」の元農水相である篠原孝は、長野県小布施町の飲食店で、遊説に訪れた代表、鳩山由紀夫と昼食をともにした。

 「日米FTAの問題で自民党側は大喜びだ」

 篠原は、「締結」の盛り込みにかみついた後、日本農業がどれほどの痛手を被るか、こんこんと説いた。

 「コメのような重要な作物は、簡単に(輸入の)道を開かせない」

 鳩山は昼食後の松本市での遊説では、マニフェストを無視するように、あっけらかんと訴えていた。

 ■分権も選挙利用

 鳩山が最も力を入れる地方分権でも民主党の政策にはブレが目立ってきた。

 「市町村を300とか1000にする発想が、住民にとっていいのか」

 元自治官僚で前鳥取県知事、片山善博は7月2日、都内のホテルで民主党幹事長の岡田克也と分権調査会長の玄葉光一郎にこう主張し、過度の市町村統合を戒めた。マニフェストでは結局、同党が19年夏の参院選で掲げた自治体数を300とする構想は削除された。

 8月4日には、代表代行、小沢一郎が大阪城に臨む大阪市内のホテルの一室で大阪府知事、橋下徹と会談した。小沢は「道州制について橋下さんはどう考えているんだ」と水を向け、橋下が掲げる道州制に理解を示したとされる。

 橋下は、民主党が地方分権をめぐる国と地方の協議法制化をマニフェストに記載しなかったことを非難していた。小沢はこれに気をもみ、急いで大阪に駆けつけたのだった。

 衆院大阪全19選挙区のうち「確実に当選できるのは5〜8人」(党関係者)。小沢には「橋下と良好な関係を構築することは何よりの選挙対策」との思惑があった。協議法制化に関しては、橋下の指摘後、鳩山がすぐにマニフェストへの追加を表明してもいる。

 政権交代を優先し、政策修正に躊躇(ちゆうちよ)なく踏み切る−。民主党の姿勢は、有権者の目にどう映るだろうか。(敬称略)

                   ◇

 ■JA全中「断じて認めない」

 全国農業協同組合中央会(JA全中)は7日、民主党が衆院選のマニフェストに日米FTA締結を盛り込んだことに抗議する全国代表者緊急集会を開いた。

 各地の農協組合長ら、約500人が「日本農業を崩壊に導くもので、断じて認められない」と決議した。

 JA全中の茂木守会長は「米国が(対日輸出総額の約3割を占める)農産物を例外扱いするわけがなく、コメ、麦、牛肉などの関税撤廃を求めるのは確実。締結すれば交渉中の豪州、カナダ、中国まで波及する」と警戒を呼びかけた。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090808-00000072-san-pol

数合わせ連立に引きずられ
8月9日7時56分配信 産経新聞

 ■声の大きさ

 「政権を取ってもいないのに、与党面(ヅラ)していい気になっているんじゃねえのか。消費税なんて議論することもだめだ。景気が悪くなる!」

 7月31日、国会内の常任委員長室で、国民新党代表代行、亀井静香はこうまくしたてた。民主、社民、国民新3党の幹事長や政策責任者はこの日、衆院選で示す「共通公約」について協議を始めていた。

 亀井の怒りはもっぱら民主党幹事長、岡田克也に向けられていた。岡田は消費税増税について「4年間議論すべきでないということではない」と記者団に語るなど、なお含みを残していたからだ。

 社民党副党首、又市征治も民主党代表、鳩山由紀夫のマニフェスト(政権公約)に関する発言のブレに言及。「ブレまくりの麻生(太郎首相)さんを、今度は鳩山さんが演じるのかよ」と当てこすった。

 共通公約の協議の場は、衆院選に勝利すれば、直ちに3党連立協議の舞台に切り替わる見通しだ。だが、社民、国民新両党幹部の「声の大きさ」は民主党を中心とした連立政権の前途の険しさをうかがわる。

 3党協議では、衆院議員任期の4年間は現行の消費税率5%を据え置くことや、郵政事業の抜本的見直し、後期高齢者医療制度の廃止−などを掲げることで大筋合意している。

 いずれも民主党内に異論はあるが、これまでも「声の大きい」2党に妥協を重ねてきた経緯がある。

 象徴的な例が郵政民営化だ。民主、社民、国民新の3党は参院選後の平成19年10月、日本郵政グループ各社が保有する政府保有株式の売却を凍結する法案を参院に共同提出した。

 民主党ではもともと郵便、簡易保険、郵便貯金の郵政3事業の一体経営について「民営化を骨抜きにしかねない」と慎重論が強かったが、これらの声は封印された。

 昨年6月、日銀審議委員の国会同意人事をめぐり、民主党が郵政民営化推進派の就任に同意方針を決め、反発した国民新党が統一会派解消を通告する事態となったこともある。

 ■公約を丸のみ

 「郵便局における郵政3事業の一体的サービス提供を保障する」

 7月27日に民主党が発表したマニフェストにはこう記された。これは昨年9月、衆院解散をにらんで民主、国民新両党が調印した合意文書の内容と一言一句違わない。郵政問題で民主党と調整役を務めた国民新党副幹事長の長谷川憲正は、民主党代表代行の小沢一郎を最大の功労者とたたえる。

 「かつて民主党には郵政民営化にいろいろな意見があった。(国民新党と同じ方向に)みんなをまとめる力では、小沢さんが圧倒的だった」

 郵政民営化見直しを明確化した民主党は、自民党郵政造反組を積極的に受け入れた。その1人の川上義博は19年の参院選で民主党から立候補して当選。小林興起、滝実らは今回の衆院選で民主党から立候補する。

 また、民主党は労働者派遣法改正案を先の国会に3党共同で提出した。こちらは社民党の主張に細やかに配慮した内容となった。

 実は民主党が昨秋、法案を作成しながら単独提出を見送った当初案は、製造業への派遣を認めていた。ところが今年1月、製造業への派遣禁止で社民党と基本合意した。当然のように共同提出した改正案では製造業への派遣は禁止。社民党の福島瑞穂党首は「渋る民主党を社民党が説得した」と得点を強調する。 

 ■弱い絆

 なぜ、民主党は、衆参両院の所属議員(衆院解散前)を合わせて22人にすぎない社民、国民新両党にこれほど気をつかうのか。

 理由は参院にある。民主党の議席数は107。過半数の122に15議席足りない。社民(5議席)、国民新(5議席)、共産(7議席)各党の協力がなければ、衆院を通した法案を成立させることはできない。民主党がこれまで思うままに利用し、自民党を苦しめてきた「ねじれ国会」の苦労を今度は自ら味わうことになりかねないのだ。

 そうだとしても「弱者の恫喝(どうかつ)」(ベテラン議員)におびえ、妥協しすぎていないか。

 「小沢さんが参院選を大勝利に導いた結果、民主党は変わった。多少の異論があっても、政権交代という大義のため結束していく文化ができた」

 中堅議員はこう解説するが、民主党は少数政党にいつまで引きずられていくのか。数合わせで集まった連立の「絆(きずな)」が永続するとは3党の議員も考えてはいないだろう。

 亀井は7月下旬、民主党首脳に電話し、選挙後の政局についてクギを刺した。

 「公明党を引き付けるのと、うちや社民党が離れていくのはどっちが早いか分かるか? かつて細川連立政権は社会党が離れた途端にガタガタになった。うちと社民党が離れて安定した政権運営はできないぞ」(敬称略)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090809-00000043-san-pol

「わが世の春」待つ日教組 
2009.8.10 08:10
 

教員は政治力

 「静岡県知事選で、私どもが推薦した川勝平太さんに、皆さんがご指導いただいたおかげで勝利をつかみ取ることができました」

 7月6日、東京・永田町で開かれた日教組大会。民主党代表、鳩山由紀夫は日教組出身の参院議員会長、輿石東(こしいし・あずま)らとともに出席し、前日の静岡県知事選での支援に深く頭を下げた。

 静岡県知事選では、輿石が7月1日に静岡入りし、県教組の全面支援を取り付けていた。公立学校教員の政治的行為は法令で厳しく制限されているが、輿石は意に介さず、大会でいつもの持論を展開した。

 「政治を抜きに教育はない。教育を語るとき政治を語らなければならない」

 民主党は、有力な支持組織を連合のほかに持っていない。そして、頼りの連合の中でも「選挙に強いのは自治労と日教組」(UIゼンセン同盟幹部)だ。

 日教組は昭和22年に連合国軍総司令部(GHQ)の意向で設置されて以降、ずっと政治闘争を繰り返してきた。そのエネルギーはいま、民主党政権実現のために傾けられている。

 輿石がかつて委員長を務めた山梨県教組「30年史」にはこう書かれている。

 《国会議員を送り出せる山教組という、自らの戦いによって勝ち取った大きな「政治力」は、つぎには、山教組と協働しうる県知事を当選させ、県議選に大きな力を発揮してきた》

 代表代行、小沢一郎は7月25日、山教組の政治団体の勉強会で、早くも来年の参院選後の輿石のポストを“予言”してみせた。

 「本人が嫌だと言わない限り、参院議長という名誉ある地位が待っている」


北朝鮮に親しみ

 7月25日、宮崎市のホテルで開かれた自民党の会合。首相補佐官(拉致問題担当)の中山恭子は北朝鮮問題にからめ、こんな事実を明らかにした。

 「政府が独自の制裁措置をかけたとき、元日教組委員長が議長を務めるグループから首相あてに、『日本が北朝鮮に制裁措置を加えるのはけしからん、直ちに制裁措置をやめるべきだ』という要望書が届いた。びっくりした」

 中山が紹介したのは元日教組委員長、槙枝元文が議長である「朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会」が昨年12月、首相の麻生太郎と外相の中曽根弘文あてに送った文書だ。

 槙枝は日教組委員長を12年間も務め、“ミスター日教組”といわれた。最も尊敬する人物として故金日成主席の名前をあげ、平成3年には北朝鮮から親善勲章第1級を授与されている。

 北朝鮮寄りの姿勢は、槙枝だけではなく、今も日教組の政策に受け継がれている。今回大会で採択された議案には「『日朝国交正常化連絡会』とともに、国交正常化にむけ…」とある。

 日教組が連携をうたう連絡会は、今年4月5日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルについて「ロケット」と主張する。また、発射直後の4月9日には外務省を訪れ、対北制裁措置の即時解除を求めてもいる。

 日教組は以前に比べイデオロギー色が薄まったとされるが、やはり根っこは変わらぬままだ。そして民主党には輿石をはじめ、8人の「日教組議員」がおり、うち3人が「次の内閣」閣僚に名を連ねている。


基本法どこへ

 民主党の衆院選のマニフェスト(政権公約)には、なぜか「日本国教育基本法案」について一切触れられていない。政策集「INDEX2009」には「民主党の教育政策の『集大成』」と掲げられているにもかかわらずだ。

 その理由について、民主党政調幹部は「理念的なものじゃなく、子ども手当とか高校無償化といった、具体的に実感できるものにした。『教育基本法を変えます』と言っても票にならないからだ」と語る。

 ただ、副幹事長の笠浩史は今春、日本教育再生機構の座談会で「衆院選のマニフェストには、日本国教育基本法を制定すると明記します」と明言していた。

 このため、党内では「日教組には『日本を愛する心』を明記した法案に強い抵抗がある。選挙前に日教組の反感を買う必要はないとの配慮だろう」(中堅議員)とささやかれている。

 一方で、「教員免許制度の抜本的な見直し」「公立小中学校は学校理事会が運営」など、マニフェストに掲載した教育政策は、日教組のそれと合致する。

 民主党政権の誕生に、日教組サイドの期待は膨らむ。日教組書記長の岡本泰良はこう展望を語る。

 「日教組として、今まで自民党の政策には反対し、文科省には要求をしてきたが、提言する余地はなかった。政権交代が実現すればいよいよ提言ができる」

 猛暑の選挙戦をくぐり抜けた先で、日教組には「わが世の春」が待っているかのようだ。(敬称略)


=おわり



 この連載は松本浩史、阿比留瑠比、佐々木美恵、山田智章、大谷次郎、赤地真志帆、加納宏幸、宮下日出男、杉本康士、原川貴郎、山本雄史が担当しました。


http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090810/stt0908100812000-n1.htm


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