【鳩山・日本記者クラブ会見詳細】2009.7.10

【鳩山会見】「天下とることは単なるスタートライン」2009.7.10
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090710/stt0907101934008-n1.htm


 民主党の鳩山由紀夫代表は10日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、「天下をとることは、単なるスタートライン。政権交代は決して目的ではありません」と述べた。

 会見の詳報は以下の通り。

               ◇

 「民主党代表の鳩山由紀夫でございます。このようにお招きを下さいましたことを、心から感謝を申し上げます。私なりに民主党が描く政権の姿というものをお示しできればと思っております。まずは座らせていただきます。まず、最初に申し上げたいのは政権交代の必然性ということでございます。すなわちこれは私が2つあると思っておりますが、1つは世界史の潮流でございますが、イラク戦争、もうすでに多くの世界の人々は、これは誤った戦争であったという帰結をしております。さらには、新自由主義、このある意味で行き過ぎた自由主義経済がもたらしたものはなんだったか、大きな反省が世界にはあります。さらにその一環かもしれませんが、米国流の金融資本主義というものに対する大きな見直しの気運があります。こういったものがもたらした混迷の世界情勢という状況の中で変革が求められ、アメリカにおいてはまさにこの震源地でありましたアメリカにおいて、オバマ新政権が誕生したということでございます。まさにチェンジというものがアメリカで起きたわけでございます」


 「日本においても同じようなチェンジが求められている。イラク戦争に対する総括は果たしてなされているかということなども含めて、米国一極支配のこの世界から、多極化の時代における日本の役割、新たな役割が求められているのではないかなと。その役割を果たすために政権交代が必然ではないか、そのように私どもは考えております」


 「もう1つは長期政権がもたらしました政治不信というものを脱却をする、そのためのチェンジが求められている。これは官僚主導の政治から民主導、国民の皆さんが主役になる政治への転換。さらには中央集権的な政治、小泉(純一郎元首相)さんは、三位一体などということを申したわけでありますが、本質的には中央集権的地方分権の域を出ていないわけでありまして、その中央集権から真の意味での地方分権、これをわれわれは地域主権といいますが、地域主権の世の中へと。さらに申しあげれば、縦型のいわゆる利権社会を脱して、新たなに横型のネットワークで結ばれた、絆のある社会というものが求められている。こういう方向に大きく動かさなければならない日本の政治、それを動かすために政権交代が必然だと、そのように私は感じております」


 「先般、ここでもお話しを申しあげましたが、私は上杉謙信公が述べられました『天下を取ることは小事に過ぎず。義を貫き背筋を伸ばすことの方が大事である』という言葉を何度か代表選挙のときに使わせていただきました。まさにそれが今、求められているのではないかと。信義とかあるいは友愛とか。これをとことん政治の場で見つめていくことが必要ではないか。そして凛とした国家を、背筋が伸びた尊厳のある国家をあるいは社会というものをつくる必要があるのではないか。そのように考えておりまして、天下をとることは、単なるスタートラインでございまして、政権交代は決して目的ではありません。麻生(太郎)総理もしばしば民主党に対して、『政権交代ばかり言ってるけれども、そのこと自体は決して目的ではないはずだ』と。おっしゃる通りでありまして、私どももまさにそのように考えておりまして、すべてのスタートラインに立たせてもらうというための政権交代だと位置づけているところでございます」


 「そこで私はやはりこの国にはそれなりの理念というものが今、求められているはずだ、と。その理念を友愛と感じたのでございます。これは私の以前から主張している思いではございますが、フランス革命のときには自由・平等・博愛という3つが叫ばれたわけでありますが、このときは貴族の社会からいわゆる市民が蜂起をして、独立を勝ち取るための戦いであり、自由も平等もあるいは博愛・友愛もこれは両立し得る状況であったわけでございます。即ち貴族から、市民が独立をするという意味において、自由も求められ、平等も求められ、さらに博愛も求められてきたということでございます」


 「ただ、時代が変わりまして現代社会になりますと、いわゆる自由というものが、いわゆる市場原理主義に委ねられる自由ということになると、さまざまな社会に格差というものが生まれた。地域における格差、雇用における格差、まさに所得の格差から、教育医療の格差ということに広がっていったわけでございます」


 「一方で政府に頼りすぎる、政府に依存すると平等という社会を築くことはできるかもしれませんが、それは、非効率、非生産性の社会というものに向かってしまう。コストが結果として極めて高い状況に陥ってしまう。ある意味で、自由というものも行き過ぎてはいけない。平等も行き過ぎてはいけない。その間、即ち市場原理主義と政府万能主義の間というものが必要ではないかと。そこに私はコミュニティとかあるいはボランティアとかそういった考え方が中心となる生き様というものが必ず求められてくる、そのように思っております。それを先ほどの言葉で申し上げれば、コミュニティであらゆるものをできるだけ解決をしたいという発想であれば、地域主権という考え方に結ばれていくわけでございますし、また1人ひとりの命というものをとことん大切にする政治というものも求められているわけでありまして、その意味では医療介護福祉、あるいは教育・子育て、さらには雇用と、こういったいわゆるソフトと言われている分野が極めて重要性を帯びてくると考えております。したがって、私どもが今つくり上げております、解散になりましたと同時に発表申し上げたいと思っておりますマニフェストの中には、このような、今申しあげたようなものが1つの柱となっているわけでございます」


【マニフェスト】

 「医療介護、あるいは年金福祉、さらには教育、子育て、地域主権。こういったものを極めて重要に考えるマニフェストの柱を5本柱として用意をしております。今申し上げたのは4本の柱なんですが、その柱に、どうせその実現に向けては、相当大きな財源が必要だろう、その財源をどうするんだというみなさま方のさまざまなご懸念に対して、まずは無駄遣いを徹底して排除するということを第1の柱と考えながら、マニフェストを作成をしたいと、そのように考えているところでございます」


【医療】

 「医療においては、いわゆる社会保障を毎年2200億円ずつ増えていくものを抑制をしてきたわけでありますが、その、政府はやはりその結果として多くの方々が、大変、医師不足、看護師不足、介護不足の中で困っておられるという現実がございます。そのために私どもは2200億円の削減というものに対してはもはやこれは撤廃すべきだと考えておりますし、後期高齢者医療制度は廃止をするというところから、もう1度考え直していこうと思っているところでございます」


【年金】

 「年金に関しては国家プロジェクトとして消えた年金、あるいは消された年金、そういった問題を一気に解決をしていかなければならない。ただ、政府はあと10年あるいは15年かけてもいいというようなのんびりとした発想でありますが、とんでもないことで、特にお年寄りのための年金こそ、すぐに解決を申しあげなければなりません。したがって私どもは2年間でこれをやり遂げるという目標を立てて行動して参りたいと思っておりますし、その先には年金の一元化というものを考えて制度設計をしていきたいと考えております。7万円の最低保障年金は、すべての方に当たるような仕組みにしてまいりたい、そのように考えているところでございます」




【介護】


 「介護に関しましては、政府も若干の上積みがあるようでありますが、報酬を4万円、月にアップをさせていただくということを期限抜きで行ってまいりたい。政府のように3年で、その後はまた考えます、みたいな話であれば、介護労働をされる方が躊躇(ちゅうちょ)されることは間違いないわけでありますので、このことは期限抜きで当然のことながら、3年たったらまた報酬下げますよ、などというような話にはなり得ないと思っておるものですから、4万円をアップをいたすということを党として決めているところでございます」


【教育・子育て】

 「教育や子育てに関しても、もう、ご案内ですから、これ以上申しあげるつもりもありませんが、子ども手当、高校の無償化、さらには大学、行きたい人にはみんな奨学金が当たるという制度を考えてまいりたいと思っております」


【暫定税率・高速無料化・農政】

 「その先に、こういった一つも、家計というものを充実させるとか家計を豊かにさせる一環として、お使いいただける施策だとそれぞれ考えているわけでありますが、さらには暫定税率、ガソリン税などの暫定税率の撤廃、あるいは高速道路の無料化、さらには農業、将来的には漁業、畜産、酪農林業、こういった方々へのいわゆる直接支払い制度、戸別所得補償制度と申しますが、そういったものをきちんと手当をして、一次産業の方々が将来にわたって安心して、農業などを営めるような環境を整備してまいりたいと思っています」


【財源】

 「当然そのためには、財源が必要だということでありますが、私どもは、財源に関しては、今申しあげたようなものが優先順位が高い政策だと、優先順位の高いものから先に行って、そして優先順位が低い政策というものは、しばらく待つか、あるいは廃止をするという考え方でございます。不要不急な、例えば川辺川ダムとか、あるいは八ツ場ダムなどは時代にもう合わなくなっているという判断の中で、廃止をいたしたいと考えております」


 「別の言い方を申しあげれば、国の総支出、だいたい207兆円でございますが、その中から絶対にこれは絶対減らせない、といわれている社会保障の給付とかあるいは国債などの債務返済などを除いたものが70兆円ほどございます。この70兆円の中を徹底的に見直す作業をしてまいりたい、それを行えば十数%少なくとも削減することができるのではないか。その証拠ということでは必ずしもありませんが、今民主党として事業仕分けというものを行って、必要なものかどうか、あるいは国が行うべきか、地方でやるべきか、民間がやるべきか、さまざまなことで事業仕分けをしております。その一部の調査結果の中で26%削減が可能だと。これは調査をした、仕分けをしたわずかな中での話でありますから、それを全体に必ずしも当てはめることは若干危険かもしれません。しかし、26%、今までのところでは削減が可能だという数字が出ていることも事実でありますので、ご報告を申し上げておきたいと思います」


 「すなわちこのように私どもは徹底的に無駄遣いというものを削減をするということから先に行う。政権とって4年間は徹底的に行政改革あるいは行政刷新をするんだという思いの下で官僚のみなさんに努力を願いながら、われわれがしっかりと事業仕分けなども徹底して行うことで、そのある意味での財源というものを作り出していくということでございまして、9・9兆円を超える額が、これは1年間ですべてそこまでということはなかなかならんかもしれませんが、2年3年の努力の下で、そのくらいの数字は上げられるのではないかと考えているところでございます。政府は無駄遣いをさまざま行い、結果として借金し、借金すれば将来的には消費税を増税するというような発想に陥ってしまうわけでありますが、私どもは少なくとも4年間、そのようなことを行う必要はない、と。行わせないで、まずは徹底して無駄遣いの排除を行ってまいりたい、そのように考えております」


【政権運営 原則1・脱官僚依存】

 「さて、このような政策を実現をしていくためには、やはり政権運営を確かなものにしていかなければなりません。今日、私はここで3つの原則を政権運営に関して申し上げたいと思っております」


 「原則1は、これは官僚丸投げの政治から政権党が責任を持つ、政治主導の政治へ、ということでございます。これは脱官僚依存ということになるわけでありますが、自民党は一方では官僚に、ある意味で依存をしながら、他方では自分たちの役割を放棄をして、官僚たたきを行い、官僚に責任を押しつけてくる政治を行ってきたわけであります。私どもが考えている政治はむしろその対極だとご理解をいただきたい。決して官僚をたたいたり、官僚に責任を押しつける政治を行いたいと考えているわけではありません」


 「典型的な例を申し上げれば、自民党の行った、いわゆる、政府が行った年金行政の破綻(はたん)をお考えいただければ分かりやすいと思います。すなわち、自らが制度設計から、制度の運営まですべてを官僚にまかせて、結果として無駄遣いを放置をし、制度改革など未来への責任を放棄してきたにもかかわらず、そのすべてを官僚の責任ということに転嫁をして、社会保険庁をつぶし、そのまま特殊法人に移行すると。それでよし、なんだと。こういう無責任な自民党政治というものが、われわれの対極にあると、そうお考えいただければと思います」


 「民主党はそれに対して、政策の方向性というものを政治がしっかりと明示をする。そしてその調整も基本的には政治家が汗をかくと。そしてさらに言うまでもありませんが、最終的な決断も政治家が行い、国民的な説得に関しても、責任を持たなければならない。そういう政治に変えてまいりたい。そのためにはむしろ、国民の皆さんとの対話というものを最重視する政治というものが求められていくと思います」


 「また、今までのような閣議の前に事務次官会議というものを行って、その事務次官会議で出たものが、そのまま閣議として決まる。閣議というものが形骸(けいがい)化されている。この形骸化された閣議を本物の閣議、すなわち彼らの議論の展開の中で、最終的な決断というものが行われるような閣議に変えていく必要があろうかと。そういう意味での事前調整会議としての事務次官会議というものは行うべきではないと、そのように考えているところでございます」


【原則2・政治主導】

 「それから原則2として、私どもは、政府と与党を使い分けるような二元体制から、内閣のもとの政策決定というものに一元化をしたいと、そう考えております。まあ、言うまでもありません、政官業の癒着というものがここから発生をすると。政府と与党というものを別々に動かして、お互いに責任を転嫁をし合いながら、一方で与党の方は内閣に入っていない人たちが、まあ職務権限はないという状況の中で実質権限を行使をしていくと。そして、献金をもらったりするという話でありまして、ここに政官業の癒着というものの本質が出てくるわけでございます」


 「官僚は一方で、いわゆる政治家の先生方のところを調整役として走り回りながら、政策の勉強がなかなかできない中で、自分たちが作ってきた政策の実現を自分たちで図っていくという話になっているわけであります。私どもはそれではどうするか、ということでございますが、こういった政治的な調整というものを、閣内において政治家自らが行うというのが鉄則であります。まあこれ、あまり言うべきではないのかもしれませんが、私どもが反省ずべきなのは、細川(護煕)政権の失敗を繰り返さない、ということでございます。細川内閣のときに何があったかというと、これは自民党とそこが基本的に同じだったということでございますが、内閣があり、外に与党責任者会議というものがあって、与党責任者会議で実質上ですね、あらゆることを内閣の外で決めてきて、大臣に『お前たち、これは決まったから、これを実現するんだ』という二元体制というものをそのまま、ある意味で温存してきたわけでございます。すなわち与党責任者会議という国会の中で別に説明責任を果たさなくて済むような人たちが、現実、取り仕切っていたという政治でございまして、この過ちを私たちは反省をして、繰り返さないということが極めて大事ではないかと思います」


 「これは数字が目的では必ずしもないんでありますが、具体的には政府に大臣、副大臣、政務官、これを政務3役と例えば呼ぶといたしますと、この政務3役のほかに大臣補佐官など100人余りをですね、配置をして、さらに各省にはそれぞれの政務3役を中心にして、政治主導で意思決定を行う。すなわち、政策の立案から調整・決定まで行っていくと、政治主導というものが極めてキーポイントになるということでございます」


【原則3・国家戦略局】

 「原則3とすれば、3として、各省の縦割りの省益から官邸主導の国益へということでありまして、これは先般、菅直人(民主党代表)代行が訪英をしていただいたわけでありますが、まあ別に行かなくてもわからない話ではないわけではありますが(会場笑い)。行っていただいて、わかったこととして、閣僚委員会というものが機能しているということでございます。閣僚たちがプロジェクトに応じてそれぞれ閣僚委員会というものを作って、そこで意思決定というものを行うことでございまして。閣僚が、今までは大臣というのは、それぞれの役所の縦割りの中の大臣にとどまっていて閣議の中でもほとんど声を上げないという話であるわけですが、そうではなくて、内閣の一員として行動するべき存在として閣僚があるんだということでございます」


 「さらには、官民の優秀な人材というものを積極的に登用して、総理直属の今、言葉とすれば、国家戦略局という言い方で呼ぼうかと思っておりますが、国家戦略局というものを設置して、そこで新しい時代に沿った国家ビジョンってものを策定したり、あるいは予算の骨格をそこで策定をしたりしていきたいと考えております。政治主導でここには民間の優秀な人材も登用して、そこで予算などの骨格を作っていくということを考えていきたいと思います」


 「今申し上げたように、新しい政権を作るその状況の中で私どもが難しいかじ取りをしていかなければなりませんが、そのための3つの原則というものを、さらにこれから付け加えることもでてくるかもしれませんが、その3つの原則を基本として、いわゆる政治主導で政策の意思決定をはかってまいりたいと考えております」


【政権移行期】

 「ここで一つ、政権移行期の話、すなわち解散から総選挙、そして次期の、その次の政権が発足するまでの間、ある意味で何か大きな危機管理の必要な事態が生じないともかぎらないと。大きな災害、その他っていうものが起きないともかぎらないわけでございます。私どもが提案をしようかと思って、提案したいと思っておりますのは、危機管理・政権移行の準備期間と、その時期を位置づけて、自民党とわが党・民主党を中心として、まあ与党と野党と呼んでもけっこうだとは思いますが、連絡協議会というものを発足させるべきではないかと、そのように考えています。このことを自民党を中心とした与党に呼びかけてまいりたいと」


 「すなわちその間、政権がどうなるかわからないと。新しい政権というものが本当にできあがるかもしれないと、そのときに行政が中立的な環境というものを維持していただく必要があると。こういうことで連絡協議会を設けて、そのときに生じるさまざまな危機管理などに対処する。与党も野党もある意味でなく、協力をしていく、行政にはその間に中立公正な情報というものを提供してもらえるように求めていきたいと考えているところでございます」


 「以上が現在、私が申し上げることができる政権移行の状況でございまして、この発足がしっかりいきますと、その後、さまざま大きな環境の変化というものにも応えられる政治主導の政権を樹立することができるのではないかと、そのように考えております」

【献金問題】

 「最後に、もう時間がなくなってまいりましたが、私のいわゆる、個人献金のことに関して、一言おわびを含めて申し上げたいと思います。私の資金管理団体におきまして、収支報告書に事実とは異なる記載が行われておりましたことに関して、国民のみなさま方に率直におわび申し上げたいと思います。今、この弁解がましいことを申し上げるつもりはありませんが、先に弁護士による調査報告書というものを公表をいたしました折に、記者会見をいたしまして、そのとき32名ほどの方々、また記者の方々のご質問にできる限り真摯(しんし)に、弁護士とともにではありますが、お答えをいたした次第でございます。これは客観的でかつ正確な調査をしなければならないということで、調査のすべてを弁護士にお任せをして、弁護士の支持に従って、収支報告書と資産公開について訂正を申し上げました。また会計責任者、および実務責任者、担当者も解任をいたしたところでございます」


 「あの、埋め合わせをいたしておりました資金が、私個人のお金から出ていたということも弁護士が確認をして、発表したものでございまして、秘書を信頼をして、しまったということ、誠にうかつであったという批判は甘んじて受けたいと思っております。この6月30日の記者会見におきましても、責任のあり方ということを問われたわけでございますが、収支報告書において事実とは異なる記載が行われていたということは、率直に認め、国民のみなさま方に、大変ご迷惑をおかけして、さらには関係した方々にはさらに大きなご迷惑をおかけしたことを深くおわびを申し上げたところでございます」


 「これに対しましては、当然のことながら、私の不徳の致すところでもあるわけでございまして、今後とも国民のみなさま方に、おわび申し上げ、説明をしながら、一方では政権交代という大きな使命の達成に邁進(まいしん)をしてまいりたいと思っております。すなわち、今行われております都議選、あるいは国政選挙、総選挙が間近だっていう状況であります。その選挙におきまして、国民のみなさま方の判断・審判を仰いでまいりたいと、そのように考えております。以上、私のほうからおわびを込めた、資金管理団体における不始末の話を申し上げた次第であります」


 「長くなりました。私から以上、そのことまで含めて申し上げて、冒頭、冒頭陳述とさせていただきます(会場笑い)。ありがとうございました」


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【質疑:献金問題】

 −−最後に触れた献金の問題。調査報告書を発表した後もいろんな問題が指摘されている。与党側は、鳩山氏側の調査で虚偽献金だと確認された中に、実際は献金したという人がいて、その人が寄付をしたという証明書を受けて税額の控除を受けていたと指摘した。事実だとすると、脱税、詐欺というか犯罪にもあたる。そのようなことに秘書、会計責任者がコミットしたことは一切ないと言えるのかどうか。もしそのような事実が出てきた場合には、鳩山氏個人の責任はどう考えるか


 「これは30日の記者会見のときにも申し上げたんですが、その弁護士の判断で、実際に寄付していただいた方が訂正・削除されていたという可能性はですね、まったくないと言えないと申し上げて、弁護士が申し上げておりました。すなわち、この秘書から絶対に寄付をしたとわかっている人以外の方々は、寄付をしていただけなかったものだということで、削除をしたということでありまして、その中に、現実には寄付をしてくださった方も何人かおられたということのようであります。これは弁護士の判断でそのようなことが行われたと。当然その本当に払った方が寄付控除をするのは当然のことだと思っておりますが、一方で、そうではない、すなわち寄付をしていなかった方々には、当然その秘書のほうからその申込書が送られているわけではないわけですから、現実に寄付をしてくださってない方にそのようなものを送りつければ、その秘書が、うそがばれるということで、しているはずはありません。したがって、私は税額控除を、失礼、税の控除を、寄付をしていないにもかかわらず受ける人はいないと、そう信じているところでございます。当然、そのことがもし現実として起きたときには、それは私としても責任は感じるべきだと思っております」


 −−どうして虚偽の記載をしたのか、そこの疑問が払拭(ふっしょく)されないかぎり国民的な理解は得られない。鳩山氏自らの金であるということがはっきりしていると、だから問題は少ないんだというように言った印象を受ける。むしろ、西松建設などの場合は、相手がどう考えていたのか、相手の中でどう処理していたのかは、外からはわかりにくいということがあると思うが、今回の場合は原資も鳩山氏の金。使っていたのも身内といえる秘書。逆に言えば、鳩山氏の手元で調べれば全容解明できるはずなのに、なぜそうなったのかわからないというところが疑問として残る。鳩山氏が直接、秘書に事情を聴いて、さらに全容を動機も含めて、いついつまでに解明をすると、あるいは、いついつまでにできなかったら、こういう形で責任をとるということは言えないのか


 「私は当事者だということで、秘書と会うことは止めてほしいと言われております。従って弁護士を通じて、すべて今、その元秘書と弁護士が会話をしているということであります。その弁護士の報告においても動機が解明をされているわけではありません。私はこれは本人が述べたことが調査報告の通りだと、そのように信じておりますが、これは弁護士に今のところ任せるしかないと、そのように感じております。そこは私にもまどろっこしい話だと、本当にそう思っているところでございますが、まあ推測みたいな話はあります。まあ収支が合わなかったから、その収支のつじつまを合わせるために、支出が多いのに収入が少なかったというところからそもそもが発生していると、そのようには思います。ならばなぜ、私からの借入金にしなかったのかというところはまだ不明であります。まあ、それを弁護士の方は保身ではないかと。そのことが本人に知られるのがまずかったからではないかというふうに言っておりますが、動機が解明されたわけではありません」


 −−先程、細川政権の教訓と言ったが、細川政権の場合、最強野党の自民党を相手にしてこの政治資金の問題で、いわば事実上退任に追い込まれた側面もあったが、鳩山氏はかなりの確率で総理大臣になる可能性があるわけで、ある意味では早めに政治的な決着をはかっておくべきではないか。その意味で国会の政治倫理審査会に自ら開催を要求して、その場で決着をつけることを積極的に進める考えはないのか


 「あの、一部私もそのような考えを持ったことは事実でありますが。現場の、あるいは党の判断として、これはやはりそのような環境にはしたくないということでありますので、私は党の決定に従ってまいりたいと思っています」


 −−今後もその考えに変わりはないのか


 「現在、変えるつもりはありません。党の判断に任せたいと思っています」


 −−現場の判断とか、党の判断とか、弁護士に任せているということだが、鳩山氏の政治的歩みを振り返ると、「政治とカネ」の問題が政治家としての立脚点だったと思う。それ故に厳しく他党のことを追及してきた。その割に自分のことでは曖昧模糊として、人任せという感じがするが


 「曖昧模糊にしているというのは、この調査においてですか」


 −−はい


 「そこは私自身が調べるよりも、やはり弁護士にお任せをして、弁護士が当然のことながら正確に情報を収集するほうが、国民のみなさま方にも信頼度が高いのではないかと思っておるものですから、そのように今、弁護士に全力投球をお願いしているところです」


 −−その弁護士は鳩山氏が雇われた。だから、いついつまでに結論を出してくれと言えば、弁護士はそれにしたがって出すのではないか。例えば、今週中に第2次の報告書を出してくれとか、鳩山氏のほうから要請してもいいのではないか


 「なんのための第2次かがわかりませんが」



 −−その後、いろんな不明な点が出てきている


 「例えば」


 −−税控除を受けるための確認処理を…


 「それはあの弁護士が今…」


 −−職業欄に虚偽記載があったとか、報道では献金した人でも削除されてたとか、これ、いつになったら終わるんだろうと


 「あの、献金した人が削除されていたというのは、最初の記者会見のときにもその可能性はあると先程も申し上げたように、その可能性があると記者会見では申し上げておりました。現実にそうであったと、すなわち、先程から申し上げておりますように、確実にこれは秘書の記憶の中で寄付をしてくださったという方々を除いては、これは事実ではないのではないかという発想のもとで削除をしたというのが、弁護士の判断で、私の判断ではありませんが、弁護士の判断でそのように行ったと。でも現実は払っておられた方がいたというのが実態でありまして、そのことは30日の記者会見でもその可能性はありうると。でも判断として、そのような弁護士が判断をしたということを申し上げたところでございます」


 −−この後、もう調査報告みたいなものが出てくる可能性はないのか


 「わかりません。ただいろいろと、例えば、北海道の市会議員、道会議員の話とか、あるいは事務所の話とか出ておりますから、そういったところは新たな話でありますだけに、きちっと十分にお答えできますので、お答えはしたいと思います。それも含めて、とは思っておりますが、これは弁護士の判断に当然、私は従いたいと思います」


 −−鳩山氏の事務所の問題で、鳩山氏が弁護士にお願いをして調査してもらってるわけで、鳩山氏がこうしてくれと言えば、それは弁護士のほうで対応するのではないか


 「私としても当然、急いでもらいたいとは思います。それで今申し上げたような北海道とか室蘭のことに関しては、弁護士によらずに、党の役員室長が調査をして結果が十分に理解をされたということでございます。そういうものも含めて必要ならばということであります」


【国家戦略局】

 −−先程の会見の中で出た政権運営の3つの原則について。国家戦略局をつくりたいと、具体的にはどういうことなのか


 「これは2つの役割というか、基本的に今、日本の戦略的な外交というものもないわけであります。すなわち国家の外交も含めたビジョンというものを策定をする必要があるというのが一点。すなわち新しい時代にふさわしい日本の国のあり方というものを大いに議論していただきたい。そのために官民の優秀な人材を結集をしていきたい。そのように考えているのが1点でございます。一方で、当然のことながら毎年さまざまな政策というものを作り上げ、それを実現していくためには予算というものが必要でありますが、その予算全体に関しては財務省の主計がやるわけでありますが、われわれとすればその前段階として国家のビジョンにふさわしい大きな柱というものを作り上げて、その柱の実現のための予算の骨格というものを大いに議論をして策定をしてもらいたいと。現在のところその程度のことを考えております。そのための国家戦略局というものをつくりたいと、首相直属で作りたいと考えています」


 −−国家戦略局をつくったときは経済財政諮問会議は廃止か


 「そうです」


 −−与野党の連絡協議会を発足させるというが、実際のスケジュールとして首相指名が行われて組閣まで20日間前後で新内閣が発足しているのがこれまでの経緯だと思うが、その期間で新内閣を発足させてそれまでの間のこととして連絡協議会をつくるということか


 「はい、私はまず、選挙が終わってからではなくて、選挙の前から考えています。すなわち、いわゆる解散があります。そしてその後、公示がされて選挙になるわけでありますが、その間に官僚のみなさんの政治的な中立性というものを約束していただきたいというのが大きな目的でございます。この政権がどのような形になるかということが必ずしもわからないなかで、行政には、これは当然行政は中立というものは本来担保されてなきゃいけないんですが、なかなか必ずしも今まではそうなっておりません。従って、行政の中立性、公正性というものを担保していただくための連絡調整の会議というものを与党と野党、基本的には自民党と民主党中心であろうかと思いますが、そこでつくり上げていきたいと、そういう趣旨であります。したがってまだ、もっと期間としては長い可能性がございます。新政権が発足する直前までということになります」


【政治任用】

 −−一方で幹部公務員については政治任用を拡大したいとかねて述べてきたと思うが、政治的中立性と別に、幹部公務員について、例えば局長クラス以上についてはいったん辞表を出してもらって改めて政治任用を行うということをかつて言われたことがあると思うが、実際にはそこまではしないということか


 「はい。現実はですね、私もかねて、かつてはそのような発言をしたことがあります。その発言に対していろいろ法的に検討してみたところ、当然法律を変えないとなかなか今まで高位の役職についていた方を外す、あるいは辞表を書いてもらうというようなことは行為として難しいということがあります。異動していただくということは現実にできると思いますし、また公務員制度改革の今議論されている法案の中で、必要ならば降格人事というものも可能になるという可能性もあったわけでありますが、なかなかそれは進捗(しんちょく)している状況ではありません。したがってなかなか法的にすぐに辞表を書いて、という発想にはなりません。しかしながら、思いとすればわれわれがまず政治主導で政策というものの中心を固めて、その政策に対してわれわれの説得力の中でしたがってもらうようにとことん理詰めで、議論、談判をしていくということになろうかと思いますし、それでもどうしても協力できないと。例えば地域主権のような議論はなかなか簡単ではないと思いますが、そういう議論に賛成できないという方にはそのラインから外れていただくということも考えなきゃならんと思います」


【財源問題】

 −−財源問題で、今までほとんど触れてこなかった問題で、確認しておきたい。無駄を減らす、予算の使い方を変えるということと同時に、昨年秋段階の工程表では4兆円ぐらい確か増税で財源を捻出(ねんしゅつ)する部分がある。例えば子ども手当を創設する見返りに、扶養控除や配偶者控除を、所得税の控除の制度を見直す、廃止するということが入っているが、どれぐらい圧縮し、廃止するのか。つまりどのぐらいの年収の人であれば、それによってどれぐらいの増税があるのか。場合によっては子ども手当の見合いといっても、子供のいない家庭は負担増になる部分もある。その辺がまったく見えてこないで、子ども手当2万6000円だけが見えると正確な判断ができないと思うが、いくら増税になるということははっきりマニフェストでは数字で示すのか


 「私どもはマニフェストの中でいわゆる租税特別措置なども含めて子ども手当を創設するにあたっていわゆる所得控除というものを見直してまいります。それを合わせて2兆7000億円という数字というものを世に問いたいと考えております。すなわちこの部分は不必要な租税特別措置をやめるというところでの増税と、いわゆる子ども手当というものに対してそれを子ども手当を充実させながら一方で扶養控除などをそのまま温存するというのもおかしな話ですから、そこは法的な、当然、措置が必要でありますので、若干時間がかかるかなあと思っております。従って子ども手当の100%の運用には適用には時間がかかると思っておりますが、法律の整備を図ってまいりたいと。そこのトータルとしての2兆7000億円という数字を私どもはマニフェストに提示を申しあげたい」


 −−要するに2兆7000億円は増税があるということか


 「そうです」


 −−その場合、課税最低限はいくらにするのかという数字は書くのか


 「…まではまだ書いておりません」


 −−不必要な租税特別措置をやめるということだが、具体的には何を想定しているのか


 「現在私どもは不透明な租税特別措置をすべてまず見直そうという発想であります。すなわちすべて見直して効果の乏しいものというもの、あるいは役割を終えたものは廃止するということでありまして、それをこれから行って結論を出していきたいと思っております」


 −−具体的にどれだというのは


 「これからであります」


【内閣不信任案】

 −−内閣不信任案の提出。都議選の結果を受けて速やかに出すのではないかと思うが、どう考えているのか。もう一つ、文芸春秋に寄稿した中で小沢一郎前代表について、「政権交代の暁には小沢さんにもうひと働きしてもらうつもりだ」と書いているが、これは閣僚として小沢氏にやってもらうという含みがあるのか、ないのか


 「はい。まず不信任のことでありますが、これはご案内の通り、明後日都議選の投票日ということになります。この都議選の結果というものを踏まえて国民の多くが、すなわこれは都民でありますが、都民が麻生政権に対しても審判を下すと見ることができると思っております。したがって、その結果というものを見ながら判断していきたいと思っておりまして、今結論を出すわけではありませんが、13日に私ども、3役中心に集まりまして、そこで他の野党とも相談して結論を出してまいりたいと思っています。それから小沢代表代行の処遇に関しては、まるで今、具体的に考えているわけではありませんし、本人の意向ということも当然勘案する必要があろうかと思いますが、必ずしも大臣になっていただこうと考えているわけではありません」


【安全保障・郵政・地域問題】

 −−「友愛」はあまりにも抽象論過ぎるのではないか。具体的に次の3点について。第1点、安全保障問題。第七艦隊のみで日本の防衛が軍事戦略的に確実に担保されるのかどうか。民主党および鳩山氏はどう考えるか。第2点、郵政民営化を中止すべきではないか。それから例えば日本政策投資銀行などの金融の危機管理。地方銀行の約6割はいつ倒れてもおかしくない状況なので、政策金融機関の民営化はやめるべきではないかと思うがどうか。第3点、人口10万人以上の都市は15年後におそらく8割が衰退し、過疎地帯が増える。都市問題、地域問題に対して民主党はマニフェストで、あるいは鳩山氏は具体的にどういう政策を持っているのか


 「まず、日本の安全保障でありますが、当然のことながら私どもは、強固で対等な日米関係を築きたいと考えております。その上で、日米の安全保障問題。例えば在日米軍基地に関して申しあげれば、この地域的なあるいは歴史的な国際的な環境というものが相当大きく変化をしておりますし、軍事技術というものも、相当変わってきているわけであります。そのことに伴って当然日米の役割分担というものが見直しをされるべきだと考えております。もっと分かりやすく言えば、特に私の選挙区であります北海道にも自衛隊の戦車がたくさん存在しておりますが、果たして今の時期、陸からの侵略のような話が、北海道に起こるとはとても考えられない。でも、安全保障の議論というものはなかなか新しい変化についてきていないと。私は小沢代表、当時ですが、第七艦隊の発言をしたのはまさにこういった時代環境が変化をしたことに対して、ある意味でのシンボル的な発言をされたのではないかと思っておりまして、つまみ食い的な報道もあって結果としてそれが誤解を招いたんじゃないかと思っています。少なくとも民主党として例えば第七艦隊以外の米軍撤退を求めるみたいな発想はまったく考えているつもりはありません。特に北朝鮮が核あるいはミサイルで脅威を表面に見せているような状況の中で私どもとすれば日米の同盟関係というものは極めて重視をしていく必要があろうかと思っておりますので、そこのところは新しい代表の下でしっかりと考えて行動してまいりたいと思います」


 「それから郵政民営化のことに関しては私どもは郵政の民営化そのものを、民営化を元の国営化、あるいは公営化に戻すという発想はやはりとるべきではないと思っています。しかし郵政事業の見直しというものは抜本的に行わなければならないとも考えておりまして、基本的に申しあげれば、株式の凍結のようなことも含めて3事業を一体的に国民がサービスが受けられる、そういう状況を担保する必要があると、そのように考えております」



 「また今、地銀の6割が、という話がございましたが、私も政策投資銀行というものがある意味で極めて重要な使命を今日まで帯びていたとそのように思っております。特に地域のさまざまなプロジェクトというものの展開において非常に大事な仕事もしてきたと、そのように思っております。果たして民営化という方向が正しいのかどうかということに関しては私も疑念を禁じ得ないところでございます」


 「それから人口を減少に過疎地帯はさらに歯止めがかからずにますます過疎になっていくというお話しでございます。今、当然のことながら人口が急激に減っております日本でありますので、そのままいけばまさにそのようになろうかと思います。私どもが発想しておりますのは先程、地域主権という言葉、これは決して抽象的な発想ではなくて具体的なことでありまして、外交安全保障など、あるいはナショナルミニマムでどうしても国が考えなければならない、やらなきゃならないことを除いては極力地域でもう、権限も財源も持って解決をしなさいという発想でございます。その発想で、地域主権で行動、われわれが新しく国と地域のあり方というものを見つめ直してまいりますと、結果として過疎地域においても自らの権限と財源というものが当然財政調整は必要ですけれども、与えられてまいります。そこで自らの生き様というものを努力に応じて作り上げていくことが十分に可能ではないか。何でも国から補助金のようなものを与えられて過ごしてきた、漫然と過ごしてきたというと言い過ぎかもしれませんが、そこに大きな地域の過疎化の原因があったのではないかと思っておりまして地域において問題を解決できるほどの権限と財源を与えて必要に応じて周辺の市町村が自らの意思で合併をしてより強い体質にしていくということが十分可能になるのではないかと、そのように考えております。長くなりましたが以上であります」


【労働組合、高齢化】

 −−政策投資銀行の民営化への疑念を呈していたが、3年前に政府・与党で情報放送のあり方を見直す合意ができていて、来年NTTの組織形態を見直すことが合意されている。民主党が政権を獲った場合は、それはほごにするのか、何らかの形で受け継いでいくのか。NTTは労働組合が民主党の候補者を応援していることが多いと思うが、労組を意識して改革が後退するような可能性はないのか。公務員制度も、官公労を意識して改革が後退するようなことがないのか。また介護、医療、年金などに言及していたが、高齢者が増えていくわけで、単純に無駄遣いを削減するだけで充当できるのか疑問だ。世代間の格差はどう考えているのか。高齢者も一様に貧しい人とは限らず、裕福な、元気な高齢者もいっぱいいる。一様にそこを手厚く遇するということでは政策としてはなかなか成り立っていかないのではないか


 「まず私ども確かに連合(日本労働組合総連合会)はじめ、労働組合の多くの組織の皆さんにご支援をいただいていると、それは大変ありがたいことでございます。そしてそういった方々が、当然、民主党の中にも活躍をしていることも実態として事実でございます。だからといって私どもは国民のすべてのみなさま方に公平公正な立場から、政策というものの策定に当たりたいと、そう考えている政党でございます」


 「従いまして、NTT労組に世話になっているからこの情報の組織形態が政権獲ったら後退するというようなことには決してならならい、あるいはさせないように、当然のことながら、正しい改革であれば当然推し進めてまいりたいと、そのように思っております。同じように官公労にある意味で世話になっているから公務員制度改革というものが後ずさりするという懸念もどうぞ払拭していただきたい。私どもはマニフェストの中に公務制度改革に基づいて公務員の人件費、総人件費でありますが、2割削減というところはきちっと盛り込んで唱って戦っていくつもりでございます。ある意味でそういった官公労とか労働組合の皆さんに協力をいただいておりますから、逆に真摯な議論ができるということもございます」


 「その一例を申しあげれば、教育基本法の改正のときに、いまだに言われておりますが、日教組(日本教職員組合)からは民主党は政府案よりもひどい案を出したと言われております。しかし私どもは日教組に支持をいただいているから、だから、教育基本法、例えば国を愛する心、のような話を後退させる意図はまったくありませんでした。結果として私どもは政府案よりかなり素晴らしい教育基本法を法案として準備ができたと考えております。このように世話になっているから、だからその方向を向いて政策を曲げるということは決してやってはならないことだと強く意識して行動して参ります」


 「それからおっしゃるとおり、ご高齢の方々がこれからさらに圧倒的に増えてこられるわけでありますし、しかもご高齢の方々の中にはかなり資産をお持ちの方々もおられるということも承っているところでございます。その意味で若い働き盛りの方々よりもご高齢の方々の方が、平均的にはお金を持っておられるわけでありますので、そこをうまく、その世代間の格差というものを埋める算段というものも当然必要だと思っています」


 「ただ、そのことを行うことは当然重要だと思っておりますが、一方で無駄遣いなどを大胆に削減するということによって少なくとも当面の財源というものをわれわれは、少なくとも計算上ではありますが、計算上十分に担保することができると思っております。だからという安心で申しあげるつもりもありませんので、当然、ご高齢の方々の皆さん方が、特に若い世代に向けて何らかメッセージを送っていただきやすいような税のあり方、相続税も含めてかもしれませんが、そういった税のあり方なども、あるいは生前贈与というべきでしょうか、いろいろと考えていく必要性はあるのではないかと思いますし、それぞれの年金などの制度の中にも組み入れていく必要があるのかなあ、とも思っております。漠然とした答えでありますが、以上、私なりに思いを述べさせていただきました」


【党首討論】

 −−来週以降、麻生首相が解散も辞職もしない場合、党首討論をぜひやりたいというときに、党首討論を受けて堂々と議論するのか


 「党首討論は当然、本人たちはいつでも引き受けたいと、そう思っております。ただご案内の通り、これからのいわゆる都議選の後の状況は大変、緊迫の度を加えることになることが予想されます。そのような中で果たして冷静な党首討論のようなものが行われ得るかどうかということはまた別の次元の話かなとも思っております。したがって基本的には私は当然のことながら、現場の判断に委ねたいと思っておりますが、党首討論、大いにやるべきだという思いは常に持っております」




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