【西松事件公判】 2009・6・19

【西松事件公判】「間違いありません」…検察側、裏金捻出の実態指摘
6月19日11時21分配信 産経新聞

 《民主党の小沢一郎代表代行側への違法献金事件で、政治資金規正法違反と外為法違反の罪に問われている準大手ゼネコン「西松建設」(東京)前社長、国沢幹雄被告(70)に対する初公判が19日午前9時59分、東京地裁102号法廷で開廷した。国沢被告が起訴事実を認め、夕方までに結審する見通しで、公判手続き上の争点は量刑に絞られている。公判は、外為法違反罪に問われた元副社長、藤巻恵次被告(68)と併合して行われる》

 《最大の注目点は、小沢氏の公設第1秘書で資金管理団体「陸山会」の会計責任者、大久保隆規被告(48)=政治資金規正法違反罪で起訴=が起訴事実をおおむね認めていたとされる取り調べ段階の供述が、どこまで明らかになるかだ。大久保被告は総選挙後に開かれる見通しの初公判で、起訴事実を否認する方針とみられている。また、検察側は小沢氏側の関与については今回、立証に必要な最小限しか言及しないとみられるが、特捜部では小沢氏側への違法献金の動機が東北地方の公共工事受注にあったと判断しているとみられ、建設業界と小沢氏側との具体的なやり取りがどの程度明らかになるか注目される》

 《開廷直前、5月1日に保釈されている国沢被告は傍聴席から向かって左、藤巻被告は向かって右のとびらから別々に入ってきた。2人とも紺系のスーツにネクタイ姿で、入廷直後に深々とおじぎをした藤巻被告に対し、国沢被告は弁護人の前の被告人席まで来てから軽く頭を下げた》

 山口雅高裁判長「ちょっと前に立っていただけますか」

 《両被告が中央の証言台に移動する。裁判長は2人の名前や住所などを確認。職業を問われると藤巻被告は「今は無職でございます」、国沢被告は「(無職で)けっこうです」とそれぞれ述べた》

 裁判長「それでは検察官に起訴状を読んでもらいますので、よく聞いていてください」

 《スーツを着た大柄の男性検察官が立ち上がり、起訴状を読み始めると、両被告は立ったまま検察官のほうに体を傾けた。起訴状によると、国沢被告は平成18年10月ごろ、新政治問題研究会など2つのダミー団体名義で陸山会などに計500万円を企業献金した(政治資金規正法違反罪)。また、藤巻被告らと共謀し、18年2月〜19年8月、税関に無届けのまま海外から計7000万円の裏金を持ち込んだ(外為法違反罪)とされる》

 裁判長「まずは被告人藤巻ですが、今読み上げられたことで、どこか間違っていることはありますか」

 藤巻被告「ございません」

 裁判長「弁護人のご意見は?」

 藤巻被告の弁護人「被告と同意見です」

 裁判長「被告人国沢は?」

 国沢被告「間違いありません」

 裁判長「弁護人は?」

 国沢被告の弁護人「被告と同意見です」

 《両被告は起訴状の内容を全面的に認めた。予想された展開だ》

 《続いて、起訴状朗読のときとは違う男性検察官が冒頭陳述の読み上げを始めた。最近の公判では裁判員制度を意識し、法廷に設置された大型モニターを使って説明するケースが多いが、今回の法廷にはモニター自体がない》

 検察官「西松建設では、かねてより海外で捻出(ねんしゅつ)した資金を無届けで輸入し、本社における公表できない営業活動資金にあてるなどしていたところ…」

 《まずは西松建設の海外業務を利用した裏金づくりや、裏金の「輸入」に両被告がかかわっていたとする、外為法違反事件の背景の説明を始めた。海外で高額の裏金が必要になる局面がしばらくないと見込まれたため、藤巻被告から相談を受けた国沢被告が「公表できない国内での営業活動資金に充てようと考えた」のだという。西松建設では5月に公表した内部調査で、使途秘匿金が20年度までの5年間で約26億円にのぼっていたと指摘。国沢被告が単独で支出を決めていたとして、ワンマンぶりが違法行為の背景にあったと指摘していた》

 《検察官は、一連の西松建設事件が発覚した経緯について、冒頭陳述書を読み始める。国沢幹雄被告も藤巻恵次被告も、じっと検察官の冒頭陳述を聞いている。表情に変化は見られない》

 検察官「(裏金持ち込みの実行役だった)高原(和彦被告)は会社のために犯罪まで犯している自分が十分な評価を受けていないなどとして、藤巻被告に不信感を持つようになり、東京地検に事実を申告するに及んで事実が発覚した」

 「両被告は同人(高原被告)が内部告発する恐れがあると考え、露見しないように貸し金庫内の残金6000万円を公表経理に繰り入れ…」

 《検察官は国沢被告らが裏金の存在を隠そうと、証拠隠滅を図ったことを指摘した。いよいよ冒頭陳述の内容は、ダミー団体を通じて民主党の小沢一郎代表代行の事務所などに献金した違法献金事件に移っていく。検察官はまず、平成7年の政治資金規正法改正で企業献金の規制が強化されたことを、事件の背景として説明した》

 「ゼネコンである西松建設が特定の政治家に多額の献金していることが公になれば、癒着していると非難される可能性があり、政治家サイドとしても西松サイドとしてもこれを避けなければいけなかった」

 「当時、総務部長、事務本部長をしていた国沢被告が当時の社長・会長を務めていた柴田平から対処法を指示された」

 「国沢被告はA(西松建設子会社の松栄不動産元社長)から提案を受けて、これを了承し、ダミーの団体を設立、仮装することとし、Aに実行を指示した」

 《検察官は、国沢被告が会社幹部を退職させ、政治団体の代表に据え、東京都千代田区のマンションの一室を事務所にするなどして、ダミー団体「新政治問題研究会(新政研)」を設立した経緯を説明した》

 「その後、Aは新政研の献金額がほかの団体より多かったことから、西松のダミーであることが露見しかねないと考え、国沢被告の了承の下、ダミーをもう1つ用意して献金を分散することを考えた」

 《これがもう1つのダミー団体「未来産業研究会」の設立の経緯だ。検察官は、両団体とも活動実体はなく、完全な西松建設のダミーであったことを強調し、政治献金資金の出所について、説明を始める》

 「(団体の)会費収入については、会員名を公表する必要がないことから、国沢被告は西松建設の資金を移動して原資とすることとし、社員の参事以上の者から、口が堅く信用できる者を選んで本人と家族の名前を借りることを了承させた」

 「賞与に一定額を上乗せして支給。いったん社員に支給した相当額を会費名目で西松建設に戻させることにより裏金とし、献金の原資としたのである」

 《これまで明らかになった、献金システムについて説明する検察官。国沢被告は、ときおり、下を向いたり、検察官の顔をのぞき込んだりしながら、じっと聞いている》

 「会費名目で支払わせる金額は理事が24万円、参事1級18万円、参事2級は12万円…」

 「架空政治資金パーティーで、資金を振り込んで裏金とし、献金の原資とする方法が併用されるようになった」

 「献金はすべて西松建設が決定し、実行させていたのであり、西松による献金であった」

 「平成13年までは当時の総務部長から指示を受けたAが、13年のA退職後は総務部長に加えて、Aの後任の経営企画部長○○(元総務部長兼経営企画部長、処分保留で釈放)が振り込みを指示して、プールした資金から寄付を行っていた」

 「原資を保管していた銀行口座については、キャッシュカードの発行を受けず、届出印についても本社で管理しており、ダミー団体の代表自身はこれを出金できず、西松の指示で振り込みをしており、小沢一郎衆院議員側の政治団体に対する寄付もこの内容で行われた」

 《検察官は、西松建設の献金実態を詳しく冒頭陳述で述べていった。さらに、ダミー団体解散の経緯にも触れる。そのきっかけはまさに「脱談合宣言」だった》

 「17年ごろ、業績悪化により賞与が減るのに従い、会員とされた社員から不平不満が聞かれるようになり、○○は献金スキームを終了したいと国沢被告に相談した。国沢被告も、当時、脱談合宣言に向けた業界の動きがあり、『談合がなくなれば献金の必要がなくなる』と考えた。17年末に脱談合宣言がなされ、談合と決別する流れが確実になったので、了承した」

 《解散の理由が談合なら、献金システムができた理由も、談合だった。検察官は、談合システムの中で小沢事務所が果たした“重大な役割”を、検察官が説明していく》

 「東北地方では昭和50年鹿島が中心となって公共工事の受注業者を決めていた」

 「そんな中、岩手県では50年代終わりごろから小沢事務所が影響力を強め、小沢事務所の意向が『天の声』とされるようになった。平成9年ごろから、秋田県の公共工事に対しても影響力を強め、一部では小沢事務所の意向が『天の声』となった」

 「岩手県と一部秋田県で受注を希望するゼネコンは、小沢事務所に対して『天の声』を出してほしいと陳情し、了承を得られれば談合の仕切り役に連絡し、仕切り役が直接、事務所に確認の上、本命業者とする談合がとりまとめられていた。西松を含むゼネコンは、天の声を得るために、小沢議員側に献金を行わせるなどした」

《検察側の冒頭陳述が続く。国沢幹雄被告は姿勢をピンと伸ばし、まっすぐに検察官を見据えている》

 検察官「国沢被告は平成7年、○○(元総務部長兼経営企画部長、処分保留で釈放)らから東北地方、特に岩手県下の公共事業については、小沢事務所の意向で、受注業者が決定されることや、小沢事務所と西松建設は必ずしも関係良好ではなく、思うように公共事業を受注できない状況にあったと説明を受けた。さらに多額の献金をして便宜を図ってもらう必要があるとの説明も受けた」

 「国沢被告は、同年中に小沢事務所からの要求に応じ、複数の名義を用いて1000万円を超える献金をすることについて、○○らから了承を求められた。そこで、新政研名義なども合わせて計1319万5000円を寄付した」

 《これが小沢氏側への初めての献金となった。「事務所からの要求」の部分は検察官の声が少し大きくなったように聞こえた》

 「そのうえで、西松建設は、平成8年の岩手県内の国道283号トンネル発注工事を受注したいことを小沢事務所に陳情して、その了解を得て、談合における本命業者となった。そして実際に西松建設側が25億3000万円で落札した。このことから8年は西松建設名義で1112万円、新政治問題研究会(新政研)名義で1700万円の計2812万円の寄付を行った」

 《小沢事務所の天の声が奏功し、献金は膨らんでいった。国沢被告は目を閉じて聞き入っている。検察官は年ごとの寄付金の推移を説明していく》

 「(西松建設は)9年、小沢事務所と交渉し、年間2500万円を継続的に支払っていくことを申し合わせを行った。1500万円は西松建設から支払うが、残りは西松建設から要請を受けた下請け企業群から寄付するという枠組みを取ることにした」

 《検察官は小さくせき払いをした》

 「(1500万円は)9年から11年は西松建設と新政研の2つの名義から支払った。12年には、小沢事務所から『多額の献金として社会の耳目を引かないように分散してほしい』と依頼を受け、12年から14年分については、未来産業研究会(未来研)名義の献金を加えるほか、関連会社にも負担させることにした」

 《「多額献金」の批判をかわすための分散工作も、小沢事務所からの要請だったと断定した》

 「小沢事務所についてはそのころから、大久保隆規秘書が東京における秘書の取りまとめ役として、献金を巡る企業との交渉や談合における天の声に携わるようになった」

 《ここで初めて、小沢氏の公設第1秘書の大久保被告=政治資金規正法違反の罪で起訴=の名前が読み上げられた。いきなり“談合の仕切り役”としての登場だ》

 「○○は、どの名義でどの受け皿にいくら寄付を受けるか割り振り案を示した一覧表を大久保被告から示され、打ち合わせを行うようになった。15年以降は小沢事務所側の意向で、小沢議員側の受け皿は陸山会など3団体となった」

 《そんな蜜月関係も西松建設の経営状態により、変化が生じるようになる》

 「17年、国沢被告は○○から、業績が悪化していることなどから、1500万円の寄付を減額したいとの相談を受けた。○○が大久保被告のもとに相談に行った。大久保は『急に減額といわれても困る』と難色を示したが、最終的には200万円の減額を受け入れた。この年は1300万円の寄付を行った」

 《しかし業績の悪化には歯止めが掛からない》

 「国沢被告は、平成18年に入ると、○○から『献金を終了させたい』という相談を受けた。国沢被告は、不快感を持たれない形で終了させるよう○○に指示した。同年10月、○○は大久保被告のもとへ相談に行ったが、大久保被告は、業績悪化については理解を示しつつも、ただちに寄付をやめられることには難色を示した」

 《大久保被告が献金カットを嫌がり、食い下がる様子を指摘する》

 「最終的には譲歩し、18年には500万円を寄付するがこれを最後にするということを申し向けて、(大久保被告から)了承を得た」

 《検察官はここで一息ついた。国沢被告はじっと検察官を見つめたままだ》

 「こうして西松建設は7年から18年まで、小沢議員に対し、多額の寄付を行う一方、東北支店長や盛岡営業所長らが、東京の小沢事務所を訪れて工事受注に関して陳情し、天の声を得た。天の声を背景に談合が成立し、西松建設が落札したその落札額は合計122億7000万円。落札率は94・5〜99・2%だった」

 《最後に献金のうまみを強調し、検察官は冒頭陳述を終えた。国沢被告は一瞬天を仰いだが、またすぐに顔を正面にむき直した。表情からはどんな感情が浮かんでいるか読み取れなかった》

《検察側の冒頭陳述が終了した。検察側は公判に提出した関係者の供述書類など証拠書類についての説明を始めた。検察官は立ち上がり、左手に持った水色のファイルにとじた書類一覧を読み上げる》

 《国沢幹雄、藤巻恵次両被告とも、冒頭陳述中は検察官を見据えていたが、手元の書類に目を落とし、めくりながら聞き入っている。国沢被告は時折、検察官に視線を向ける。藤巻被告は一息つくように、それまでかけていた眼鏡を外した》

 検察官「(代表は)献金は西松の決定で行われ、(送金は)機械的に行ったと供述している」

 《西松建設の東北支店長や事務担当者の供述調書も提出されたと説明が続く。国沢被告は出入りする傍聴人の音が気になるのか傍聴席に顔を向ける。藤巻被告は手元の資料に目を落としたままだ》

 《続いて検察官は、東北地方のゼネコンに勤め、談合の指示役を担ったとする別の関係者の供述調書を読み上げる。落札業者の決定方法についてこう供述したという》

 《男性検察官が証拠の説明を続ける。手に持った分厚いファイルには、関係者の調書などがおさめられているようだ》

 検察官「甲88から90号証は、松栄不動産の歴代総務部長、グリーン開発の代表取締役の調書です。平成12〜16年に松栄不動産、グリーン開発の名義で行った寄付について、いずれも西松建設の指示だったことを供述しています」

 《冒頭陳述によると「松栄不動産」は西松建設の子会社で、元社長は西松建設の経営企画部長を務めたこともある。国沢幹雄被告と親交が深く、元社長はダミーの政治団体を使った献金方法を提案するなど、トンネル献金に深く関わっていたという。また、「グリーン開発」は宮城県丸森町にあるゴルフ場運営会社で、西松建設の実質的子会社にあたる》

 「甲92号証は平成8年以降の秋田県、岩手県発注工事のうち、落札額10億円以上の案件の落札率を捜査した結果です。落札率は94・5%から99・2%。落札額の合計は122億7000万円になります」

 《検察側は冒頭陳述で、東北地方では昭和50年代から、ゼネコン各社で作る「東北建設業協議会」を中心に、談合が行われていたと指摘。同協議会は平成3年に解散したが、その後も談合が続けられていたことを裏付ける一環として、落札率の高さを示したようだ》

 「甲93から101号証は西松建設の東北支店長以下、談合を担当した社員の調書です。内容は、岩手県と秋田県の一部で受注業者選定にあたり、小沢事務所の意向が『天の声』と呼ばれていたことなどです」

 《検察官は、平成15年に西松建設が落札した岩手県発注の簗川(やながわ)ダムに関連するトンネル工事をめぐり、生々しいやり取りの証言を紹介した》

 「西松建設は5件について『天の声』を得て、このうち4件を受注しました。簗川については、東北支店長が何度も東京の小沢事務所を訪ね、大久保(隆規・小沢氏の公設第1)秘書に『簗川トンネルの件はよろしくお願いします』と述べ、西松建設が受注することができました」

 《政治資金規正法違反の罪で起訴された大久保被告について、検察側は冒頭陳述で「献金をめぐる企業との交渉や談合における『天の声』の発出などを行っていた」と指摘している。「天の声」は岩手県が発注し、18年に入札が行われた遠野第2ダム建設工事にも及んだようだ。当時の支店長の証言を、検察官が述べる》

 「何度も大久保秘書を訪ね『どうぞお力添えをお願いします』と頼みました。大久保秘書は『他のところも来ている』と色よい返事はしてくれませんでしたが、再度1人で訪ねたところ、『よし、わかった。西松にしてやる』と言ってくれました。しかし、脱談合宣言もあり、結局受注はできませんでした」

 《ゼネコン業界は17年末に、談合との決別を宣言している》

 《続いて検察官が読み上げたのは、大久保被告の調書だ。献金事件のキーマンだけに、法廷が静まり返った》

 「私は○○さん(西松建設の元総務部長兼経営企画部長、処分保留で釈放)から『今まで小沢先生をお支えしてきましたが、もう限界です』と平成18年を最後に献金を打ち切る旨を伝えられました」

 《検察側の冒頭陳述によると、国沢被告は脱談合に向けた動きが業界内で広がる中、政治家への多額の献金を続ける必要もなくなると考え、献金の終了を決めたという》

 「私は新政治問題研究会、未来産業研究会からの献金が、実質的に西松建設側からの献金だと知っていました」

 《献金の核心に触れる証言に、法廷に緊張が走った。大久保被告は、脱談合の流れなどで西松建設の受注が減り、懐が苦しいことを知っていたため、打ち切りの申し出を了解したという》

 「私(大久保被告)は『はい、分かりました。これまでのご支援、心から感謝します。今後、業績等改善されたら、小沢へのご支援をお願いします』と言いました。その後、赤坂の事務所に、西松の献金が計500万円で、今年を最後に打ち切られることを伝えました」

 《「赤坂の事務所」とは、小沢氏の東京事務所を指すようだ》

 《検察官はこの後、自民党の岩手県連関係者の調書などを読み上げ、西松建設の元副社長、藤巻恵次被告の調書に進んだ》

 《調書は、外為法違反と業務上横領の罪で起訴された元海外事業部副事業部長、高原和彦被告が、裏金の管理について藤巻被告の判断を仰いだ場面についても触れている》

 「高原から『コープリーに金がたまってきたからどうしましょう』と言われ、国沢社長に『日本に持ってこさせようと思うが、どうか』と聞いたところ、国沢社長に『持ってこさせればいいだろう』と言われたため、私は『はい、分かりました』と答えました」

 《「コープリー」とは、タイやベトナムの工事に絡めた架空契約への支払いなどを装うために作った香港のペーパーカンパニーのことだ。国沢被告らはコープリー社の口座を使い、裏金の送金などを行っていた。続いて検察官は、国沢被告の調書も読み上げた》

 「岩手、秋田の工事については、小沢事務所がいわゆる『天の声』を出しており、小沢先生の歓心を買い、業績を上げるために違法な献金を行っていました」

 《午前11時15分、裁判長が約2時間の休憩を挟むことを伝えた》

 《午後1時15分、公判は再開。国沢幹雄被告と藤巻恵次被告は、午前の入廷時と同様に、左右の扉から別々に入廷。裁判長らに2人同時に一礼して腰を下ろした。裁判長の指示のもと、弁護人が証拠請求をした陳述書などについて検察側が同意。まずは、藤巻被告に対する弁護人の質問が始まった》

 弁護人「この度、外為法違反で裁判となったが、現在の心境は」

 藤巻被告「はい…。会社のためとはいえ、法に抵触し、違法な金を持ち込んだ。罪を犯して、悔悟の念で一杯です。多くの方々にご迷惑をおかけして、ただただ反省し、後悔しております」

 《この後、弁護人が藤巻被告の西松入社以降の経歴について確認。藤巻被告が昭和46年以降たびたび海外で勤務し、香港や台湾、シンガポールなどアジア各地で、ターミナル基地やトンネル工事にかかわってきた経歴について質問した》

 弁護人「香港、シンガポール、台湾などでは、西松のためと思い、それぞれのインフラ整備に使命感を持っていたんですか?」

 藤巻被告「そういうことでございます」

 弁護人「そこで記憶に残ったことは」

 藤巻被告「私たちが完成させ、竣工(しゅんこう)させると地元の人たちが喜んでくれました。もう1つは、インフラが地元社会をどのように変えるか目の当たりにして満足しました」

 《その後、弁護士は特捜部の聴取を受けた期間、調べの時間などについて質問。藤巻被告が誠実に調べに応じてきたことを強調した。藤巻被告は低い声で、ゆっくりと質問に応じた》

 弁護人「証拠には奥様の診断書もあるが、どういう状況ですか」

 藤巻被告「心臓が悪く、いつも朝には、夕べの(心臓の)状況がどうだったか確認しています。寝ているときに心拍数が上がったり、心臓の変化が出ている。私がこういう状況というのもあると思いますが…。できる限り世話をしたいと思います」

 弁護人「介護が必要ということですが、あなたがするのか」

 藤巻被告「そうでございます」

 《ここで再び弁護人に促され、藤巻被告が改めて現在の心境について問いただす。再び違法行為についてわびた後、声を落とし、こう続けた》

 藤巻被告「私も西松に45年勤め、もう自分としては手伝うこともできないが、会社が再開することを、影から心から祈っているところです」

 《ここで、弁護側の質問は終了。検察官が立ち上がった》

 検察官「あなたに関しては、裏金とかその他いろいろあり、金額も相当なものだった。その辺については取り調べで話しましたか」

 藤巻被告「金額は●(聞き取れず)についてではありません」

 検察官「あなたは『6000万円ですべて』と事実と違うことをおっしゃっていたようだが、調べでは違うことを主張していたのですか」

 藤巻被告「はい」

 《検察官の質問はごく短時間で終了。最後に裁判長が質問を始めた》

 裁判長「継続的にこのような金をつくった目的はなんですか」

 藤巻被告「まあ、海外で、国によっても違いますが、地元で工事を円滑に進めるために、協力をえるために金が必要になる。JVから拠出を求められるので…」

 裁判長「高原和彦被告(元海外事業部副事業部長、外為法違反罪などで起訴)が言ってる内容についてはご存じですか。何か、(自分の主張に)反することがあれば言ってください」

 藤巻被告「フィリピンで金をつくった経緯ですが、私に報告したと言っているが、全部報告があったとは思っておりません。その後、横領などもあったので、報告していないのも調書を見るとありました」

 裁判長「あなたの指示していないことを『指示された』とした供述はあったか」

 藤巻被告「微妙な言い方だが、彼は外国で金がたまると国内に持ってきます。その際に『持ってこい』と指示してはいないが『持ってくる』と言ったから了解しました。基本的には間違えていないが…」

 《裁判長の質問に、落ち着いた口調で答え、藤巻被告の被告人質問が終わった》

《国沢幹雄被告の被告人質問が始まる。被告席を立ち、証言席に座った国沢被告。あまり表情はなく、低い張りのない声で訥々(とつとつ)と語る》

 弁護人「本件についてのあなたの認識は、供述調書の通りでいいですか」

 国沢被告「そうです」

 弁護人「この陳述書はあなたのものですか」

 国沢被告「間違いありません。私のいまの考え、心境を書かせて頂いたものです」

 弁護人「政治献金は誰のために行ったものですか」

 国沢被告「会社のためになると思ってやったことです」

 弁護人「外為法違反は誰のためにやったことですか」

 国沢被告「会社のためになると思ってやったことです」

 《弁護人は、裁判官に情状を酌量してもらうため、個人の利益のためではなく、会社のためにやった犯罪であることを国沢被告に強調させているようだ》

 弁護人「西松建設に入社したのはいつですか」

 国沢被告「昭和36年6月です」

 弁護人「あなたは平成元年に取締役になり…」

 《弁護人は国沢被告の経歴を確認した後で、さらに質問を続けた》

 弁護人「建設業界で役員を務めたことはありますか」

 国沢被告「土工協、日建連の役員をやらせて頂いたと思います」

 弁護人「土工協というのは日本土木工業協会、日建連というのは日本建設業団体連合会ですね」

 国沢被告「そうです」

 弁護人「社会奉仕はやったことはありませんか」

 国沢被告「地震災害の救援活動です」

 弁護人「具体的には?」

 国沢被告「新潟県中越地震の際には寄付を募り、人も出しました。感謝状を頂いたと記憶しています」

 弁護人「あなたは会社に貢献したと思いますか」

 国沢被告「会社のために働いてきましたし、管理本部長の時は会社の業績を向上させたと思います。(兵庫県)尼崎市の開発、浜松市の開発…。総額1500億円の事業で売り上げに貢献したと思います。失敗したことはなかったと思います。会社のために一生懸命やってきました」

 弁護人「会社のためとはいえ、法を犯してはよくないのではないですか」

 国沢被告「いま考えると、おっしゃる通りです」

 弁護人「ではなぜ、法を犯したのですか」

 国沢被告「規範意識が希薄だったと思います。法を犯してまでやるべきではありませんでした。深く反省しています」

 弁護人「初めに外為法違反で逮捕されたのは?」

 国沢被告「(今年)1月20日です」

 弁護人「(その後、身柄拘束が続き)政治資金規正法違反で起訴された後、いつまで拘束されていましたか」

 国沢被告「保釈される本年5月1日までです」

 弁護人「身柄を拘束されたのは初めてですか」

 国沢被告「初めてです」

 弁護人「いまも社長ですか」

 国沢被告「本年の1月20日に辞任しました」

 《1月20日、国沢被告は逮捕直前に辞任したことが明らかになっている》

 弁護人「なぜですか」

 国沢被告「『会社が捜索を受けている』と聞き、これは辞任すべきだと考えました」

 《西松建設は昨年6月と11月の2回にわたって、東京地検特捜部の家宅捜索を受けたことが明らかになっている》

 弁護人「今後はどう生活していくつもりですか」

 国沢被告「年金生活だと思います」

 弁護人「この診断書通り、いまも(病気の)治療しているのですか」

 国沢被告「お医者さんに薬を出していただき、治療しています」

 弁護人「いまはどなたと暮らしていますか」

 国沢被告「妻と暮らしています」

 弁護人「今後はどうしたいですか」

 国沢被告「出身地の愛媛に帰って、妻とともに反省して暮らしていきたいと思います」

 弁護人「最後に何か、言っておきたいことはありませんか」

 国沢被告「大変ご迷惑をかけました。他のゼネコンが大なり小なり行っているから競争に勝つための必要悪と思っていましたが…。今回起訴されて、なぜ談合をなくすために何かしようとしなかったのか、何かできることはないか、そういう観点でできなかったのか、私の経営者として不徳の致すところです」

 《ここで弁護人の質問が終わる。次に検察官が立ち上がり、短い質問をする》

 検察官「あなたの供述調書に間違いはありませんか」

 国沢被告「はい」

 検察官「では結構です」

 《山口雅高裁判長は、藤巻恵次被告に関係する質問がないことを弁護人に確認したうえで、自ら質問をする》

 裁判長「小沢氏(一郎・民主党代表代行)側への献金の出所を知っていましたか」

 国沢被告「知っています」

 裁判長「どういう金ですか」

 国沢被告「平成7年ごろ、他社が政治団体をもっており…」

 裁判長「それは分かっています。簿外資金だということは知っていましたか」

 国沢被告「簿外資金からは出してないと思います」

 弁護人「談合があったときと、談合がなくなったとき。どっちが楽でしたか」

 国沢被告「談合がない方が楽だったと思いますが、談合がなくなると、競争が激しくなって実績はそう上がりませんでした」

 《「ない方が楽」といいつつも、言葉の端に複雑な心境をのぞかせた被告。裁判長もこれで質問をやめた。被告人席に戻った国沢被告は、後ろを向いて弁護人と何かしゃべり、また、向き直った。被告人質問も大きな争点は浮かび上がらないまま終わった。今度は検察官が立ち上がり、論告求刑を始める》

 検察官「本件公訴事実は、当公判廷で取り調べられた関係各証拠により証明十分です…」

 「外国為替及び外国貿易法(外為法)違反事件について。本件は簿外資金、いわゆる裏金を日本国内での工事受注のための資金など表だって支出できない使途にあてるため、輸入したものであって、動機に酌量の余地はない…」

 「西松建設は昭和60年代から長年にわたり裏金を隠匿輸入することが恒常化していたところ、両被告も本件を引き継いで犯行に至った…」

 「両被告はいずれも西松建設の社長と副社長という重責にあり、両被告が共謀の上、(外為法違反罪などで起訴された)高原(和彦被告)に命じて実行させたものであり、まさに両被告が犯行の首謀者であり、責任は重い…」

 《検察官は、両被告を厳しく指弾しながら、論告を読み上げ続ける》

《国沢幹雄被告は椅子(いす)に腰掛けたまま、目を閉じている。男性検察官が国沢被告への論告を続ける》

 検察官「本件は、西松建設が岩手県下などの公共工事の受注に掛かる談合について、小沢一郎衆院議員の事務所から天の声を得るために多額の寄付を行う中、平成7年から18年までの間、西松建設の献金であることを目的として新政治問題研究会(新政研)と未来産業研究会(未来研)の名義を使って総額1億2900万円の寄付を行った事案である」

 《早口でここまで語った検察官は一息ついた》

 「これは、建設業者と特定政治家との癒着を国民の目から覆い隠した犯行である」

 《検察官は語気を強めた》

 「そもそも、政治資金規正法は、政治活動の公正を確保することを目的とした議会制民主主義の根幹をなす法律である。政治腐敗を防止するため、収支報告書提出を義務づけ、これを公開することで、資金をガラス張りにすることを目的に昭和23年に制定された。その当時から、虚偽記入については禁固5年を上限とする重い罰が定められていた」

 《ここから検察官は、政治資金規正法の歴史を振り返り始めた》

 「その後も事件の発生をふまえ、改正が重ねられた。第三者名義による寄付の禁止は、昭和50年に追加された。平成11年には資金管理団体に対する企業献金も禁止するなど抜本的改革が図られた。このように一貫して、政治腐敗防止のため、改正が続けられた。それを軽視することは、法の本来の重要性や改正の努力を顧みないものである」

 《その力強い語り口は、規正法を武器に政治家と対峙(たいじ)した先輩検事たちが乗り移ったかのようだ》

 「特に本件の寄付は、天の声を得ることを目的としたものであり、西松建設は多額の寄付をしながら、新政研、未来研の名義を使用して、寄付の主体を偽った。これは業者間の談合により、公共工事を受注してきたという談合の構造や実態を隠蔽(いんぺい)したものである。西松建設と小沢議員との関係を国民の目から覆い隠したという意味で、ヤミ献金と何ら異ならない」

 「西松建設はこうして4件の公共工事を122億円で落札し、納税者である国民に負担を強いた。まさに政治資金規正法の目的を踏みにじる悪質な犯行である」

 《再度、規正法の趣旨を強調した検察官。国沢被告は目を閉じたままだ》

 「なにより違法献金の形が巧妙で悪質だった。現役の社員を退職させて、新政研の代表者として届け出るとともに、新政研名義の献金規模が増えると、2つ目のダミー団体未来研を設立した。政治資金パーティーの開催を偽装し、関連会社からパーティー券購入名目で資金を移動させもした。きわめて周到かつ巧妙な偽装工作がなされていた」

 《さらに犯行の継続性を鋭く指摘する》

 「小沢議員側政治団体への献金は平成7年からの12年間で1億2900万円に上る。またその間、収支報告書に表れる現金額が高額となって社会の注目を集めないよう、西松建設側の献金名義、小沢議員側の受け皿のいずれについても複数に分割して、1口当たりの寄付金額を極力抑えるなどの工作も行われていた」

 《そして、国沢被告が主導的に関与していたことに言及した。検察官は、国沢被告を一瞥(いちべつ)した》

 「事務部門のトップである事務本部長当時、献金スキームを構築し、その後も社長という立場から一貫して関与していた。その責任は重い」

 《ここで息もつかず、検察官は求刑に入った》

 「以上諸般の事情を考慮し、相当法条適用のうえ、国沢被告に禁固1年6月、藤巻被告に懲役6月を求刑する」

 《求刑の瞬間、2人の被告は眉一つ動かさなかった。検察官は着席した。裁判長はここで弁護側に「休憩を入れますか」と持ちかける。弁護人が国沢被告と相談したが、国沢被告は手を振って断った。国沢被告は顔色が優れないようにも見えた》

 《続いて、弁護側の最終弁論が始まった。まずは藤巻恵次被告の外為法違反罪についての弁論だ。藤巻被告の行為は、事前に届け出をせずに現金を持ち込んだという形式犯にすぎないことを強調。国外からの現金持ち込みが、前任から引き継がれていたことを指摘し、「会社組織が責任を負うべきだ」と主張した》

 《藤巻恵次被告の弁護人による最終弁論が続き、情状のくだりにさしかかる》

 弁護人「被告人は長年に渡り会社に貢献してきた。社会にも貢献し、前科前歴もない」

 「高齢であり、余生を静かに過ごすしかない。夫婦とも病弱である」

 「(今回の外為法違反事件は)届け出義務違反であり、長期の勾留(こうりゅう)の必要がなかった。必要以上の拘束は刑を科せられたのと同じである」

 《弁護人は現金の無届け輸入を「形式犯」と主張した上で、報道各社が「実質犯」のように報道したと批難し、最終弁論を結んだ》

 「社会への影響が小さいとはいえないが、実質犯の憶測報道と峻別(しゅんべつ)する必要がある。以上のことから、執行猶予判決を下されたく、よろしくお願いします」

 《前を向いて座っていた藤巻被告だったが、自身の最終弁論が終わると、わずかに下を向いた》

 裁判長「それでは被告人、国沢の関係を」

 《弁護人が国沢幹雄被告の担当に代わった》

 弁護人「被告人は本件公訴事実を争いませんので、以下、情状について述べます」

 《被告席に少し足を開き気味にして座って国沢被告はうつむき、つま先を数回、上げ下げした。まず、弁護人は外為法違反事件について述べ始める。藤巻被告と同じく無届けの現金輸入が「形式犯」であると主張し、マスコミ批判を展開した》

 弁護人「西松建設が犯罪で取得した現金を輸入したというのは誤りであり、マスコミの報道などにより、根拠のない疑惑が持ち上がりました」

 「政治資金規正法違反は本件(外為法違反事件)と関係は全くなく、(事件捜査の)端緒になったにすぎない」

 《最終弁論は建設業界の「裏金」体質にも言及する》

 弁護人「(海外の)現地企業と工事を円滑に進めるための資金を求められることはあり、表の金で処理するのは難しい。帳簿に載せないことは望ましくないにせよ必要不可欠」

 《さらに、「裏金」作りは西松建設内部で受け継がれてきたものだとした。個人犯罪ではなく、会社の体質が犯罪の温床になっていたことを印象付ける狙いのようだ》

 「一企業人である被告が正義を貫くのは著しく困難だった」

 「どれくらいの金がいつ、どのように持ち込まれるのか全く知らなかった」

 《最終弁論は核心の政治資金規正法違反事件の部分に移る。弁護人は同法の立法精神から説き起こし、違法性の認識に焦点が移る》

 弁護人「政治資金のあり方について定めたもので、一種の行政法規であり、実質犯と異なり形式犯である」

 「あたかも贈収賄ととられるような適切な報道であったとはいえない。罪刑を越える非難を加えることはできない」

 「実質は西松建設からであり、公明公正を害したと言えるが、違法性には留意しなければいけない」

 《弁護人は政治資金規正法が寄付者を記すべきだという説と、資金の拠出者を示すべきだという説があると主張する》

 「仮に(寄付者を記すべきだという)形式説が正しいとしたら、法の趣旨は収支の公開であって、違法性はさらに低いものになるのではないか」

 《続いて、新政研と未来研を設立した経緯に話は及ぶ。弁護側は2つの政治団体を国松被告が「主導して設立したのは間違いない」と認めた。新政研の設立は同社OBにすすめられてのものだという》

 「『西松もそのような政治団体を作ってはどうか』という話だった」

 《OBは『他のゼネコンも政治家に献金するための政治団体を作っている』と話したという》

 「OBは『トンネルの神様』と呼ばれる技術者だった。被告人は、その話を信じ、(政治団体を)作ることにしたのである」

 「その際、他のゼネコンの仕組みを詳しく聞いたわけではない」

 「(資金を)西松建設から拠出する仕組みを考えたが、脱法的で違法性の認識がなかったとはいえない。『他(のゼネコン)もそうだろう』」と、違法性の認識はあいまいだった」

 《弁護人はあくまで違法性を認識しての違反ではなかったと強調し続ける。国沢被告は下を向いたままだ》

 《国沢幹雄被告の男性弁護人が、最終弁論を続ける。国沢被告はまっすぐ前を見つめたままだ》

 弁護人「ゼネコン各社は、西松建設と方向は違うにせよ、小沢氏側に多額の献金をしています。西松建設以外に政治団体を持っているところがない、という確証はありません」

 《さらに、西松建設が献金をした背景にも触れた》

 「公共工事の受注業者を決める際に影響を及ぼす政治家に、少なくとも嫌われたくないから多額の献金をするんです。ゼネコン各社にとって、競争に勝つためには献金は不可欠だと考えられてきました」

 《弁護人は声の調子を強めて言い切った》

 「西松建設だけが献金をしないことは不可能です。西松建設が政治団体を使って献金をしたのも、無理からぬことです」

 《ダミー団体をつくってまで献金を行ったことについては、こう説明した》

 「平成11年までは、新進党ないし自由党の政治資金団体『改革国民会議』のみに献金をしていました。政党への献金は本来、西松建設名義ですることも可能です。それを政治団体名義でしたのは、それが違法であるという意識よりも、西松建設が献金していることを(世の中に)知られたくなかったからです」

 《加えて、小沢一郎氏側からも働きかけがあったことを明らかにした》

 「小沢氏側から『献金先を分散させるために陸山会以外にも寄付をするように』と要請があったため、これに応じました」

 《続いて、情状について説明した》

 「被告人は深く反省しています。入社以来、会社を愛し、懸命に働き、業績にも貢献してきました。地震被害の際には、会社をあげて救援するなどし、業界の発展にも貢献してきました」

 《しかし、裏金作りや献金をめぐって検察から聴取を受けることになる。今年1月には、責任を取って西松建設の代表取締役を辞任している。弁護人は体調面にも言及した》

 「平成18年に心筋梗塞(こうそく)を起こしました。このほかに高血圧、糖尿病、逆流性食道炎など複数の疾患を抱えています。被告人は本件犯行により、今後、会社とは縁を切るしかないと考えています。70歳という高齢でもあり、今後は妻と2人、年金生活を送ることにしています」

 《さらに、捜査方法にも疑問を呈した》

 「被告人は102日間という長期に渡り、身柄を拘束されました。実質上、取り調べが終了した後も保釈が認められず、罪刑に比べてあまりにも長期に渡り、拘束されました」

 《社会的影響についてはこう述べた》

 「確かに、民主と自民の支持率など社会的な影響はありました。しかし、(逮捕された)時期や政治状況、過熱したマスコミ報道によるところも大きい」

 《弁護人が「執行猶予付きの判決をお願いいたします」と締めくくると、裁判長が国沢被告らに証言台へ進むよう促した》

 山口雅高裁判長「これで審理を終わりますが、最後に何か言っておきたいことはありますか」

 《裁判長が尋ねると、まず右側に立った藤巻恵次被告が一礼し、はっきりとした口調で謝罪の言葉を述べた》

 藤巻被告「(言いたいことは)特別ございません。大変申し訳ございませんでした」

 《続いて、国沢被告も口を開いた》

 国沢被告「誠に申し訳なかったと思っています」

 《2人が深々と頭を下げると、裁判長は午後2時45分、閉廷を宣言した。国沢被告と藤巻被告は、いずれも特に疲れた様子は見せずに法廷を後にした。判決公判は7月14日午前10時から開かれる》

       =(完)



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090619-00000535-san-soci

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