<党首討論>詳報 2009・6・17

【党首討論詳細】6月17日


麻生太郎首相(自民党総裁)と鳩山由紀夫・民主党代表による2回目の党首討論が17日に行われた。討論の詳報は次の通り。

  ◇鳩山由紀夫・民主党代表

 私は国民の代表の思いで、政府の代表である総理に対して、議論いたしたいと思います。その中で民主党と自民党の政策の違いを明らかにしたいと思います。

 まず最初に、この話をすることを、民主党の同僚議員からは止められているのですが、国民の最大の関心事に触れないわけにはいきません。日本郵政の西川(善文)社長の続投問題であります。

 この件に関して、国民の総理に対する支持率がたいへん落下した原因を作った。なぜならば、判断できない、判断がぶれる、判断を間違える、この三つについて、一国の総理大臣が重要な判断に対してなかなか結論を出せなかった。そして途中で判断が変わった。そして私から見れば、間違った方の首を切ったのではないでしょうか。国民のみなさまにとって、これでは総理の器としていかがなものかと思われるのは当然ではないでしょうか。反論があればうかがいます。

◇麻生太郎首相
 我々も国会議員であればみな国民の代表、選良だということをまず最初にお断りしておきたいと思います。

 郵政民営化に関しての話が、郵政会社に関するお話がありましたけれども、私は郵政株式会社っていうか、郵政会社は、これは民営化された会社です。100%、政府が株を持っているとはいえ、間違いなくこれは株式会社でありますんで、そういうような株式会社、民営化された株式会社に対して政府の介入を最小限にとどめるのは当然だと私はそう思っています。

 民間会社というのは民営化というその趣旨からしても人事に介入するのは特に慎重であるべきだと思っております。従いまして日本郵政の人事にいろいろな点で問題があるというのであれば、これは明らかに業務改善命令等々を出されておりますから、それに基づいて郵政株式会社が結論を出されるのは、それは取締役会で出されるのでありますから、それに基づいて取締役会までに結論をおろされておくべきだということで、早い時点からこの点を申し上げておりますが、残念ながらその対応はできなかったということだと私はそう理解しております。

 従いまして、このような状況の中において混乱を招いている感じはいかがなものであるかと思いましたので、私どもとしては総理総裁としての人事権が及んでいるのは郵政会社ではなくて、間違いなく内閣側にありますので、この問題に関しては担当大臣の辞表を受理したということであります。

 また西川社長につきましては、今後、新任された総務大臣の下で業務改善命令に従って対応していかれるということになりますので、この改善状況を見た上でよく判断をしたいと思っております。少なくとも総務大臣というのは事実を踏まえて、法律に基づいてきちんと対応されてしかるべきであって、基本的にそう思っておりますので、ぶれているとかぶれていないとか、結論が出るまでの間、いろいろなご意見を聞くのは当然のことだと思いますが、結論が出た後は速やかに実行するべきだと思います。

◇鳩山代表
 もし最初からそう思っておられるなら、なぜこんなに時間がかかったのか、という話です。もっとあっという間に結論を出してもよかったのではないかと思います。

 一時は、少なくとも2月の段階では「私はもともと郵政民営化には賛成ではなかった」という発言があったりした。あまりこの中に入り込むつもりは毛頭ありませんが、国民のみなさま方との期待のずれがあまりにもあったということは指摘しておかなければいけません。

 特にかんぽの宿の問題を初めとする大変な不祥事、あるいは不祥事に極めて近いような状況に対して、私どもはほかの野党、国民新党さん、そして社民党さんとともに告発を西川社長さんにしているところでございます。従いまして、私どもが政権を獲得した時には、西川社長さんにはお辞めになっていただくしかない、そういうように感じているところでございまして、これは当然、国民のみなさま方の世論というものをしっかり受け止めた中で、政権、連立政権を樹立したあかつきにはそのような行動を取りたい。あるとするならば、今のうちにお辞めされておかれたほうがいいのではないか、そのようにあえて申し上げさせていただきます。

 申し上げておきたい、あるいはこれは大変大きな問題でありますだけに、総理の方からお尋ねがありますと思いますので、私の方から先に申し上げておきたいことがあります。

 それは北朝鮮の核実験、ミサイル発射の問題をとらえた国連安保理1874に対する採択の問題でございます。私は採択がされたことは大いに歓迎することだと。国際社会の中でなんとしても北朝鮮に少なくとも慎重に行動をしてもらわなければならないわけでございまして、その意味においては一方では厳しく行いながら他方では熟慮をうまく促す、という外交が求められている。日米韓のしっかりとした連携プレーという物が必要であるということを先般、韓国にうかがいまして、李明博(イミョンバク)大統領にも強く申し上げてきたところでありまして、これは総理もご異存がないことだと思います。

 従いまして、いわゆる貨物審査に関する新法が必要だということであれば、大いに議論をしたい、そのように思っておりますので、早く法案を出していただきたい。白紙委任は、それはするわけにはいきませんので、ぜひ早く法案をご準備いただければ、我々としてもできるだけ早く結論を出すことをお約束を申し上げる。

◇麻生首相
 郵政会社の社長の首を解任させるというご意見でしたが、世論だからということをおっしゃっておられましたが、私は民間会社の人事というものを世論で決めるべきか、ましてやそれを政府が世論をバックに介入すべきかということに関しましては、極めて慎重であらねばならぬと最初に申し上げております。うかつにやるべきものではないと私は基本的にそう思っております。まずこれが第一点です。

 加えて、この西川さんという方の行状、またはいろいろな問題点につきましては、いろいろあるんだと思いますよ。行状という言葉が正しいと思いますが。私につきましては、いろいろあると思いますからあえて行状という言葉を使わせていただきますが、はい。

 私はこの方のしておられたことに関して、いろいろご意見は多々ありますのは十分、私どもとしても知っております。ただ、基本的には仮にも民間会社になったというんであれば、その会社の行動というものにつきましては、会社の中においてきちんと対応すべきが筋なのであって、我々としてはそれは少なくとも取締役という会の決まる前までにいろいろ株主として発言をする、またそれに対していろんな話をするというのは決して間違ってないと思います。

 しかし、決まった、取締役会で既に決定された後にということになるのは問題だというので、早めの対応を、ということを申し上げておりましたが……やっておるということでございましたが、なかなかそこに結論が至らなかったがゆえに、長引いたという形になっているという点もご理解いただきたいと思います。

 北朝鮮のお話がありましたが、北朝鮮のことに関しましては、これはこの極東というか、朝鮮半島に限らず、このアジアはもちろんのこと、世界の平和と安定にとっても極めて危惧(ぐ)すべき重大な案件、ましてや隣国の日本にとりましては、重大な案件であります。従いまして、これに対応するためには、核実験が2回目に行われた後には、私としてはブッシュ大統領に、また国連安保理のP5(常任理事国)のメンバーであります方々に電話をし、もちろん韓国にも、いろんな電話連絡などなどいろいろさせていただいて、今回のP5の1874に関しましても、少なくとも、時間はかかりましたけれども、前回の決議文に関しては、はるかに厳しいものが出されたというのは、それなりの成果だと思います。

 少なくとも圧力というものをもってして初めて、世界のメッセージ、世界の世論というものが先方に伝わるんだと思っております。従って今回の対応というものは、全会一致で1874が執行された、決議されたということは、これを受けて我々としては、世界各国に要請をされていることを含めまして、これに真摯(し)に答えていく必要があろうと思いますので、今ご提案のありましたいわゆる船舶検査とかいろんな表現がございますが、船舶法だけを直せばいいという話ではなくて、いろいろな問題が関連いたしますけれども、ぜひ早急に、これを提出されていただきたい、我々もそう思っておりますので、ぜひこの件に関しましては、両党一致して、与野党一致して、早急な結論を得たいものだと私どももそう思っております。

◇鳩山代表
 北朝鮮に関しては、かなり長かったわけではありますが、私どももこれは中身をしっかり精査しながら協力をすべきところは協力を申し上げたい。しかも事実はそれほど長く国会があるわけではありませんし、解散・総選挙の時期も迫っていると理解をしている中で、できるだけ早くお出しを願いたい、そこを改めて申し上げておきたい。

 今日これから申し上げたいことは、私どもの政策と政府あるいは与党の政策との違いというものをできるだけ際だたせていくために、いくつかの論点で議論申し上げたいと思います。その一つは医療問題でございます。

 私は一人の命を粗末にしない、そんな日本の社会を作らなければならないと思っています。ところがどうでしょうか。医療関係にまつわるさまざまな事件・事故が相次いでいます。

 つい先般も出産中に重体となられた妊婦さん、19カ所も病院に断られてついに亡くなられてしまわれた。ご案内かと思います。同じような事件、事故はたくさんございます。

 自宅でお生まれになった未熟児の赤ちゃんが、7カ所も病院を断られてしまって、最終的に新生児の集中治療室のない病院に連れて行かれて結局亡くなってしまった。こういう事故が、事件がたたないわけでございます。

 これをいろいろと当然、政府のみなさんもご苦労されていることだとは思いますが、私はこういったことがないような社会をなんとしても作りあげていくことが最優先の課題ではないかと、そのように思っておるのでございます。

 そのことをさまざま勉強して参りますと、やっぱり決定的なことは医師の数が不足をしているということ、それから看護師の数も不足をしているということ。私どもはやはり医学部の定員を例えば5割増しするというようなことなど早急に手当てをしなければならないことだと思います。

 さらには、あの2006年からでしょうか、社会保障費、これも聖域ではないとの発言の中で2200億円がどんどん削られてしまった。これは大変な、国民にとっての災難であった、そのように思います。

 診療報酬もずっとしばらくの間下がり続けていたわけであります。私どもも診療報酬に対して、すべてとは言いませんが平均して2割上がるくらいの診療報酬に戻さないと厳しいのではないか、そのように感じているところでありまして。

 都合8000億円程度はどうしても今緊急に手当てをする必要があるのではないか、そのように私どもは計算をいたしております。

 このような医療の問題、最優先しなければならない人の命の問題、麻生総理はどのように考えているのか、お聞かせを願いたい。

◇麻生首相
 我々として今、医者の数が足りない、看護師の数が足りないという事態、特に地域においては、看護師、医者、いろいろ地域によって差がございます。これは大きな問題だと思っています。地域格差が出ているという点だと思います。昔は医者は余っていると思われた時代がありました。その時に合わせて、いろいろ、医学部の定員を削減したりも致しましたが、今は逆に足りないという事態になっております。

 それに合わせて我々としても当然対応いたすことにしておりますが、その問題に関しましては、我々も同様に医者の数を増やさねばならない、看護師も、と当然考えておるわけですが、同時に考えなければならないのは、医者を新たに養成するには10年ぐらいの年数がかかります。その10年間、どうするのかと。ただ、今医者を、学部の数を増やして、医者の卵を今から、インターンから始めてということをやるのには、かなりの時間差ができるということが、我々は考えねばならぬ大きな問題であって、そのためにどういう事ができるかということを、今検討している最中であります。

 これは正直申し上げて、現実問題としてはかなり厳しい話でありまして、辞めた方もぜひもう一回という話をしてみたり、結婚されて退職された看護師、看護婦に対して、ぜひ再就職をやる気はないかという話を致してもおります。ただいずれにいたしましても、これは毎年1兆円ずつ増えてまいります社会保障関係の中で、我々はそれに対する財源の手当てもしなければならん、基本的に私は、これは大きな問題だと思っております。

 少子高齢化ということは間違いなく現実、ということになってきておる今の中においては、この財源問題の話をなくして我々は、この問題は対応できないと思っております。従いまして我々としては、今、こういうような状況下にあっては、財源の手当ては少なくとも広く薄く国民に負担をお願いせざるを得ないと思って、3年後、景気が少なくとも回復してきたという状況において、経済が好転を示したという段階においては、消費税を含めて税の抜本改正というものをやらせていただき、そういった新たに増えます分についての対応、社会保障関係の対応に関しまして、個別、勘定科目を分けるというんですが、そういうものをきちんとさせていただいて、社会保障が増えることの、財源というものに対して、我々としては避けて通れないと思っておるのですが、消費税は、鳩山代表のお話を聞いておりましたら、こないだの党首討論で、岡田(克也)代表候補者とのお話におきましては、少なくとも、消費税の話はしないというふうに聞こえましたけど、消費税の論議を避けて通るというものは財源を避けて通るということになりますけれども、この点はどういうふうに考えておられるのか。

 財源がなければこういう話は極めて無責任になりますので、財源を提示して初めて政策が実現しうると思っておりますので、財源というものに関する見解をお聞かせいただければと思います。

◇鳩山代表
 私は今、話をうかがって、人の命より、財源のほうが大事かなあと、やはり、私は人の命をまず大事にする政治というものを作る、そのためには財源、貴重な財源をやはり投入すべきではないですか。それを最初から財源の制約というものを、財務省にいわれて作った、社会保障費といえども聖域ではないという間違った論理の中で、2200億円、毎年増えるべきものがカットされてきた、それがこんなありさまになってしまったんじゃないですか。

 財源の議論を私はするなということではないんです。しかし、人の命というものをもっともっと大切にする、それが政治のあり方で、官僚任せにする政治がどうしてもですね、コンクリートのほうが大事で人の命というものを粗末にする政治に成り下がってしまっているここを、ここを変えなければならないと申し上げています。

 財源のお話をされました。そのご質問いただいたものですから、私からお答え申し上げたいと思います。財源の手当てというのはご案内の通り、3種類あります。一つは増税をすること、一つは借金をすること、もう一つは無駄遣いをなくすことです。私どもはその優先順位をまず無駄遣いをなくすという、徹底的に無駄遣いをなくすというところからスタートしたい。

 今の政府はですね、官僚任せにされているものですから、この財源論の、すぐ話になって、本来ならば消費税を上げないで済む話なのに、すなわち無駄遣いを徹底的に見直すという部分を官僚主導でやられてるもんだから、どこも無駄がありませんという話になって、ならば減らせませんねと、減らせないからしょうがありませんねと、借金をしましょう、借金でも足りなければ、あとは消費税の増税ですね、そういう話にすぐ変わってしまうので、私どもは、その前にやることがあるでしょう。

 私どもは政権を取った時に、まず4年間、消費税の議論にすぐ答えを出すのではなくて、これは官僚の抵抗がものすごく予想されますから、それに対して、各省庁、事業仕分け、今お互いにやってますけど、事業仕分けなどを徹底的に行って、どのくらい無駄があるかということを点検をしなければいけない。我々が政権を取れば、あの川辺川ダムとか八ッ場ダムとか、もう古くなった今のご時世に合わないような、大型の公共事業というものは基本的にやめようと思っております。そういうことをしながらですね、財源を生みだしていく、無駄遣いを減らしていく、不要不急のものは後にしたっていいじゃないですか。

 私どもは…・私どもはですね、20兆円ぐらい新しい政策というものに予算を計上したいと思っているんです。それはみなさん方から見ると、そんな財源どこにあるんですか、必ずそういう話になるんです。だから、私は申し上げたいと思っています。一般会計と特別会計と合わせると210兆円あります。この210兆円中で社会保障費、国債費、こういったものは、どうしても削れないのは分かっています。

 費目をいろいろと検討した中で公共事業、施設費、人件費、補助金、そういったものを合わせると70兆円になるんです。その70兆円の中の10兆円程度、私どもは例えば随契を見直すとか、不要不急のものを後に回すとかして、当然の話で我々は10兆円ぐらい削減できると考えているんです。

 それをやるかやらないかは、官僚任せにしている政権はできない、でも、官僚任せでない国民のみなさんと歩む民主党ならできる。その発想で私どもはやらせていただくんです。だから、このようなことを行っていれば、決して今すぐに消費税の増税の議論に陥る必要はないんです。すなわち4年間の間、我々が政権を取っても消費税の増税はしないということをここに明言をしておきます。これでよろしいでしょうか。

◇麻生首相
 鳩山代表は前回の党首討論の中においても、4500の団体に2万5000人の天下りOBがいて、そこに12兆1000億の国の予算が流れていると主張されておられる。12兆1000億のほとんどというものはよく調べていただかなくてはいかんと思いますが、国立大学、私立大学などなど教育に1兆2000億、出しています。また独立行政法人に3兆7000億出ていますが、この中には住宅金融支援機構に3000億などいろいろ例を挙げて出ていますが、我々はこの、こないだのお話を聞いて全部足して申し上げてもいいですよ、これ。

 時間がもったいないなと思って申し上げないだけなんですが、民主党は12兆1000億がすべて天下りOBの人件費かのごとき話をされておられますが、これは、12兆1000億のうち人件費は0.8%。0.8%しか使われてないんで、残りの部分につきましては今申し上げたような例をずっと挙げれば出てきますけど、学校の問題に関しましても少なくともこういった資源というものをきちんと私立大学なり国立大学にしなければ、国立大学の授業料は今50万円だと思いますが、直ちに5倍、250万ぐらいにならないと計算が合わない。そういったようなことができるでしょうか。私は基本的にそういった点を一つ一つ私どもも詰めた上で申し上げておりますんで、いかにも2000、12兆1000億がすべて人件費かのごとき話をされるといかがなものかという形をいたしております。

 また210兆円の話が出ましたけど、ご存じのようにこれは国債費が80兆、ご存じの通りです。また社会保障関係費70兆、これで150兆であります。また地方交付税関係で20兆、従ってこれで170兆、そして財投に約10兆です。残り約30兆ということになりますが、その30兆の中にはもちろん文教関係なんかに、これは6……ええ5兆という金出ております。

 そういったものを足していきますと、この中からいきなり、210兆からこうやっていったら20兆出てくるかのごとき話には、私どもとしては、とてもではないけどそういった話は現実をやっぱり変えちゃうのではないか。少なくともこういったようなことをきちんと精査していただかないといかん話であって、現実論を言っていただかないと、どこがどういう具合なのかきちんと言っていただかないと、今申し上げたような極めて不安感を我々持たざるを得ない。そういうことを思っております。

◇鳩山代表
 だから最初から私の話を聞いてくださいと申し上げているんです。この210兆円を官僚のやり方の仕分けをするんではなくて私どもがきちっと別の費目で検討し直したんですよ。それでさっき言ったじゃないですか、施設費とか人件費とかそういうものに分けるんです。社会保障費というものの中でも、全部がまったく切れないものではないんですよ。そのなかでも切れるものがあるんです。

 それを我々が点検をした中で、210兆円の中で、70兆はそれで積み上げることができると。この70兆の中の10兆円程度ならば十分に無駄だと考えてなくしたり、あるいは今、急がなくてもいいから後回しにしたっていいだろうというものを見いだすことができると。先ほどからそう話をしたのに、いわゆる官僚任せにする、そのペーパーをそのまま棒読みされるから結果として間違った認識をそのまま持ってしまわれるのではないか、そう指摘をせざるを得ないんであります。

 それからですね、前回の党首討論の時に確かに私が申し上げました。トータルで12兆1000億円、4500の天下り団体に2万5000人が天下ってる。で、そのことを指摘を申し上げたら、こともあろうに、細田(博之・自民党)幹事長から質問、公開質問状が来ました。ちょっとこれはね、いくらなんでも失礼な話でね、今まさにこの麻生総理と私との間のこういった議論を通じて解明すればいいのに、何ですか、この顔も見ないでペーパーだけ出して、これいつまでに答えてくれなければなりません……これは大変失礼な話だな、ご無礼なことだなと思っておりますので、二度とこういうことはなさらないでいただきたい。私の方からきちんとお答えしますから。

 あの中に書いてあることを私は政府の……に調べていただいて、それをペーパーにしてその中で読んだわけでありますので、その数字は正しい数字でありまして、決して間違っているわけではありません。一つ一つそれを政府答弁として私が国民のみなさま方にこの党首討論でお話しした数字は決して間違っているわけではありません。

 その12兆1000億円の中でよく聞いていただきたい。8兆4000億円だと思いますが、その中の半分以上、随契なんです。随意契約であります。すなわち随契、防衛装備なども入ってますよ、当然のことながらそれだって減らせない話ではないでしょう。かなり相当高く見積もったものがいろいろ出てきたことは指摘されているじゃありませんか。こういうですね、一つ一つをチェックをしていけば私どもすればすべて12兆1000億円全部が無駄なんてことは言ってませんよ、一言も言ってませんよ。でもその中にかなりの部分、削減できるものがあるんではないですかと言ったんです。人件費なんて言葉も一言も使った覚えはありません。人件費ごくごくわずかであることは十分に理解しています。だからこそ随契とかいう話を申し上げているわけじゃありませんか。

 もっと、政府なんですから、我々は予算を組める状況ではない。みなさん方が予算を組んでおられるわけだから、もっと一つ一つの中身を点検して本当に無駄がないのかどうかをチェックをしてくださいよ。政権を取ればこんなの我々がチェックをいたしますから、政権を取る前はあなたがたがチェックするしかないんです。あなたがたは、例えば河野太郎先生などが中心となって事業仕分けで、例えばアニメの殿堂は無駄なんだとかいう話が出てきましたけど、そういう話は政府の中ではまじめにされていないんですか。無駄遣いは本当にないと麻生総理は思っておられるのかお聞きしたい。

◇麻生首相
 まず最初に随意契約の話から入られましたが、随意契約というものは、約12兆円の約半分が随意契約という表現を使っておられました。今も重ねて使われましたが、これは、計算をしてみますと競争入札以外はすべて随意契約という計算で、これは出来上がったんだと理解をいたしております。しかし財政投融資資金なんかの貸し付けなんてものは、これはそもそも随意契約であろうはずがありませんから、これはいくらなんだってそれを全部入札と言われるのはいかがなものかと。随意契約としてカウントしておられるのはちょっと正直申し上げておかしいんじゃないかと思っております。

 随意契約に、またいろんな意味で例えば防衛施設庁なんかのライセンス契約というようなものも、これは随意契約ということになりますんで。これは我々の計算では正直申しまして、にゅう、えー、きょう、えーなんつったっけ、えー随意契約といわれるものが約2兆円ございますが、我々の言う随意契約、世間一般で言われる随意契約というもんだと思います。これが約2兆円ありますが、そのうちの約半分が防衛施設庁関係の、防衛庁関係のものだという点でありますんで、まずいかにも随意契約が半分以上は勝手に役人がやってるかのごとき印象を与えるのは間違っていると思います。それがまず第一点であります。

 また無駄ということに関しましては、我々は当然のこととして無駄がまったくないと、一つもないというほど、私はすべての人間が完ぺきだと思ったことはありません。しかし我々としては極力無駄をなくすように努力し続ける、不断の努力をし続けるのは当然なんであって、これは選良として、政府側にいる人間としては当然のこととしてこの種のものに対しては目を光らせる義務、責任というものはみな一様に負ってる。なかんずく、そこに担当いたします閣僚ともなれば当然のことにそれをやらざるを得ない、またやらねばならない大事な大事な仕事だと私どももそう思っておりますので、いかにもなんとなく民主党になったらすべての無駄がなくなるかのごとき話では、とてもでないけれど我々としてはそんな簡単にいくもんでもありませんし、双方この点は無駄だと言われるご指摘をいただければ、それは我々としてもそれを受け入れる、そういったものを調べて対応していくもんだと思っております。

 またアニメの殿堂の話を具体例としてされましたけれども、これはなにも思いつきで、私の段階で出たわけでもなんでもない。これは前々に、安倍内閣の時にこれがスタートし、福田内閣でこれを企画をし、私の時に実行させていただいたというそれまでの経緯がございます。少なくとも、我々は今これからの日本のソフトパワーとしては、少なくとも今日本で約14兆円ぐらいのものがありますけれども、14兆、世界では150兆のコンテンツ関係のものがあり、これはこれからもさらに伸びるといわれる部門であります。

 我々としては映画、写真、いろいろアニメ以外にもいっぱいありますが、こういったものをきちんとして、我々としては系統立てて我々はそれを支援していく。役人が、政治家が、この種のことに秀でていると思ったことはありません。従ってこれは、運営等々は民間に基本的にやってもらうのが筋だということを申し上げてきておりますので、思いつきで何もやってるわけではまったくないということだけは、私としては誤解を招かれるような話になりすぎていると思っております。

◇鳩山代表

 私は12兆すべてが問題だと言っているわけではありません。その中の8兆のうちの半分が随意契約だと申し上げたのです。ちゃんとしっかりと聞いてもらわないといけません。

 私どもの計算では随意契約が4兆となっています。ですから今のどちらが正しいのか、私どもも政府から計算をもらったデータです。どっちかが間違っているんでしょう。それは一つ正しいものにしていかなくてはなりませんが、我々とすれば半分ほど随意契約あるなという思いはさまざまですね、今までの経験から感じています。

 それからアニメの殿堂の話がございました。私がアニメの殿堂のことを申し上げたのは、河野太郎先生がそれが不要だということで申し上げた。自民党の中から不要だという話が出たので、そのことを政府としてどう考えているのかということを申し上げたのであります。

 そこに117億円かける。今、安倍総理の時からという話ですが、補正予算ですよ。補正予算で組むのは緊急的に本予算が終わった後、緊急的に必要になるところに組まれる予算でなければいけないのに、なんで安倍総理の時から問題が考えられているものが、補正予算に組まれるのかということが、どう考えたっておかしいでしょ。私でなくたってこのおかしさは分かるはずであります。

 私がただ論点を変えて申し上げればですね。こういった箱物ですよ。30兆が土地だと承ってますし、そのうち70兆が箱物。そこで100兆……100億。ごめんなさい。合計100億ということでありますが、そのことで私が申し上げたいのは、コンクリートから人の方が大事じゃないかと申し上げたい。

 すなわちですね、この3月、4月、自殺どのくらいされたと思われますか。自殺の数が毎日100人です。日本です。そんな国、先進国にはどこにもありません。特に20代、30代の若い方々が自殺をされてしまっている。死因のトップですよ。亡くなった原因の20代は49%が自殺ですよ。49%、ほぼ半分の方が自ら命を絶たれてしまっている。30代も36%。3人に1人以上が自ら命を絶たれてしまっている。こんな国ないんです。先進国の中でこんな若者の自殺が第1位という国ないんです。

 そういう人たちを救うことが政府の役割じゃないですか。私は1人の命も粗末にしない。まさにそういう意味で申し上げているんです。そのことを、もしお分かりになっているのであれば、なぜですね、生活保護、母子家庭の母子加算、4月にカットしちゃったんですか。200億くらいでしょ。そのくらいのお金でできる話で。

 私はいろんなところから聞きましたよ。小学校に入りたてのお嬢ちゃん、お母さんが生活保護、母子家庭、2万円切られてしまった。そこで「もう私は高校に行けないのね」。その話、聞いたら涙が出ましたよ。「高校に行けないのね。勉強したいのに」。高校に行っている男の子3人の兄弟のトップが高校1年生。彼も母子家庭。その方も修学旅行、行きたい。でも「ぼく修学旅行、行かなくていいよ」とお母さんに言ったそうです。修学旅行に行きたくても行けない、高校行きたくても行けない。そういう人がたくさん今いるんです。これが日本の現実なんです。

 自ら毎日命を絶たれる方も100人いるんです。こういう方を救おうじゃないですか。居場所を見い出される国にしようじゃないですか。なんで、一方で、アニメの殿堂を全部悪者にしたいと思っていない。でもアニメの殿堂のお金があれば、なんで生活保護の母子加算に戻してあげないんですか。そういう政治をやりたいんです。やろうじゃないですか。

◇麻生首相

 まず最初に、二つ問題を分けておられましたが、これ時間も限られてますんで、あの……母子家庭加算の話をされましたけれども、母子家庭が置かれる状況は実にさまざまであります。従って先ほどの、一日100人とおっしゃいましたが、これは正確に言いますと、過去10年間で毎年約3万人を超えております。それが実数でありまして、ずーっと毎年3万人を超えるのは異常だと、私も最初、確か去年のうちに、所信(表明)かどっか本会議でこの数字を触れたと記憶をいたしますが、明らかに、鳩山代表、これは誰が考えてもおかしいです。

 しかも1997、8年のあのアジアの経済金融危機、あの時ぐらいが数字的には日数としては合ってるんだと思いますが、そのころぐらいから急激に増えてきたというのが、実数として我々が把握しているところであります。

 従ってこの問題は非常に大きな問題なんであって、これは裕福か裕福じゃないかにかかわらず出てきておるというところも、加えて問題なとこです。従いまして我々は、ひとつ母子家庭というところを例に引かれましたけれども、我々はこれを一律というような今までのやり方ではなくて、少なくともこれまで月額2万3000円というものを一律母子加算というものを廃止をしましたが、しかし高校に行っておられる方とかいうのに関しましては2万円、またご存じのように、働いておられる……いわゆる、なんて言うの? うん、就労しておられるという場合には1万円、というのをきちんと出さしていただいてますし、また、今回の補正予算におきまして、職業訓練期間中などにおきましては、生活費の支援というものは、職業訓練の間働けませんから、そういった意味では生活費の支援として、我々として最大3年間では限らしていただきましたが、14万円という制度を創設したわけでありまして、はっきり母子家庭を支援しているという視点ははっきりしておると思います。

 時間なんですか? あと1分だということなのでこれで終わらせていただきますが、話が途中になっているということもありますし、我々としては、安全保障の問題、なんとなく隣の朝鮮半島の話などいろいろうかがっておりますと、どう考えても第7艦隊さえいれば大丈夫だ、と。ね? 第7艦隊だけいれば十分だという話が出てきてみたり、我々としては日米安全保障条約を確固たるものにすることが今、我々に最も大事なことなんじゃないかと、私は基本的にそう思っております。

 第7艦隊だけで日本の安全が守れるであろうかということに関しましては、我々としては明らかに偏っていると思っておりますので、ぜひ我々としては、ぜひこういったことをきちんと対応するために、ぜひ委員長に、時間だと思いますが、次回、早急に、ぜひ、財源の問題、財源を話さない政策などというものは無責任だと思っておりますから、財源の問題、そして安全保障の問題、この二つの問題に関しまして改めて党首討論を開催していただきますように、ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 ◇鳩山代表

 ご提案ありましたから、まったく異論はありません。なにか突然に安全保障の話を最後に振られて、聞いておられる国民のみなさんもあぜんとされたんじゃないかと思いますが、私どもは、民主党と自民党の政策の違いというものを分かりやすく説明しようかと思いまして今日は参りました。その意味で、コンクリートではなくて、人を大事にする政治だと。官僚任せまかせではない、国民のみなさんの視点に合ったそういう政治をつくりたい、縦の利権型社会ではなくて、横のきずなの社会をつくりたいんだと、中央集権ではなくて、地域主権の世の中に変えたいんだと、そういう議論を大いにこれからやりながら、国民のみなさんがなぜ麻生政権に対して、残念ながら愛想をつかしておられるのか、そういったことも、明らかにして参りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手、終了)






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