【第三者委員会報告書】を受けての各紙社説 09・6・12

朝日新聞
民主党―自浄力が問われ続ける 

 民主党が、西松建設による違法献金事件の検証を外部の識者に委ねた「第三者委員会」が報告書をまとめた。

 小沢前代表の公設秘書が起訴された事件をめぐる党や小沢氏らの対応を検証し、今後の党運営にその教訓をどう生かすべきなのか。客観的で公正な見解を示してもらう狙いだったという。

 そう思って50ページに及ぶ報告書を読むと、違和感を抱かざるを得ない。その大半が、検察の捜査や報道のあり方に対する批判で占められているからだ。小沢氏の、あるいは民主党の事件への対応ぶりを検討した部分は後半のわずか14ページにすぎない。

 第三者による検証に意味があるのは、何より当事者自身の責任や過誤について、当事者にはしにくい公正な評価ができるからだろう。

 報告書は確かに「小沢氏はもっと積極的にマスコミに訴える姿勢があってもよかった」などと指摘はしている。では、小沢氏は具体的に何を説明すべきだったのか。民主党はどんな説明を求めるべきだったのだろうか。

 小沢氏や党の執行部に最も欠けているのは、なぜ特定のゼネコンから巨額のカネをもらい続けたのか、仮に違法でないとしても民主党代表にふさわしいことだったのかという疑問への素直な答えである。

 長い自民党支配の下で、土建業界の談合体質と政治家とのかかわりをめぐっては、多くの腐敗事件が摘発されてきた。その業界からの献金なのだから、合法性はむろんのこと、その政治的な妥当性について小沢氏は語らねばならない。

 党のトップに対して、内部からは指摘しにくいことだろう。そこに切り込んでこその第三者委ではなかったか。

 検察批判に関して、なるほどと思う点はある。

 たとえば、同様に西松のカネをもらっていた自民党議員たちがなぜ立件されないのか。検察の権限が乱用されたとしても、誰のチェックも受けない、今の仕組みのままでいいのか……。検察や法務省の説明を聞きたい国民は多いのではないか。

 報道批判についても、耳を傾けるべき指摘がないわけではない。

 報告書は、あくまで党の外の識者たちの意見にとどまる。問題は、民主党自身がこの西松問題をどう克服していくかだ。

 民主党は鳩山新代表の体制になった。この報告書を機に事件には区切りをつけ、これからは総選挙に全力投球したいというのが、大方の思いだろう。だが、これで幕というのでは、有権者の多くは納得できまい。

 小沢氏が代表代行として選挙を仕切る以上、説明責任から逃れることは難しい。民主党自身の自浄能力も問われ続けていく。


毎日新聞
社説:「西松」民主報告 これで終わりにするな


 やはり小沢一郎代表代行(前代表)に配慮した中身ではないか。民主党が西松建設事件の検証を委ねた学者らによる第三者委員会が最終報告書をまとめた。小沢氏の公設秘書起訴をめぐる経緯についてかなりの分量を検察・メディア批判に割き、党の一連の対応については「危機管理の失敗」と結論づけた。

 西松事件の捜査に関しては、さまざまな議論があることは事実だ。しかし、小沢氏が国民から強い批判を招いた本質はダミー政治団体から巨額の献金を受けながら、そのことに納得できる説明をしなかった点だ。検察、報道批判を強調した報告書に違和感を感じざるを得ない。

 委員会は4月、小沢氏の代表辞任問題が焦点となる中で発足した。報告で目立ったくだりは検察批判だ。小沢氏秘書を立件した捜査について「多くの点で疑念がある」と指摘した。小沢氏秘書の政治資金規正法違反をめぐる事実関係や黒白はあくまで司法の場で判断されるべきで、委員会が立件そのものを疑問視して中立的な議論と言えるだろうか。さらに無視できないのは「法相は、高度の政治的配慮から指揮権を発動する選択肢もあり得た」と言及した点だ。恣意(しい)的な捜査をむしろ助長しかねない論法であり、適切さを欠く。

 また、検察捜査について自民党議員との取り扱いをめぐる公平性にも疑念を示した。この点は私たちも与野党を問わず捜査を徹底するよう、検察当局に重ねて注文している。だが、小沢氏の場合、政権交代をうかがう野党党首が巨額の献金を受けながらその経緯を「せんさくしない」と述べるなど、説明責任を果たさない点に最大の問題があった。小沢氏に関しては党内からも献金の使途を明確にするよう促す声がある。第三者委は「もっと積極的にマスコミに訴えかける姿勢があってよかった」としたが、小沢氏への聴取でも踏み込んだ説明があったとは言い難い。

 報道についてはNHKや産経新聞の事例を個別に批判し、全般的に検察情報依存を指摘した。メディアが慎重に裏付けを進め報じるべきことは当然だ。だが、一連の事件報道について「記者クラブに象徴される当局と報道機関の不透明な関係」を背景とするのは明らかに行き過ぎだ。

 民主党は事件を受けて企業・団体献金を3年後に全面禁止する規制強化に合意した。このことは評価できる。ただ、報告書のように党の対応を「政治家個人としての小沢氏と政党の党首としての立場を切り離さなかった」危機管理の失敗と片づけては、問題を矮小(わいしょう)化する。小沢氏問題をどう説明するかは民主党が越えねばならぬハードルだ。これで幕引きにしてはならない。


読売新聞
民主「西松」報告 検察・報道批判は的はずれだ(6月11日付・読売社説)


 これが第三者委員会の名に値する公正な報告なのか。はなはだ疑問と言わざるを得ない。

 小沢一郎・前代表の公設第1秘書が逮捕・起訴された西松建設違法献金事件を受けて、民主党が設置した有識者4人による第三者委員会が報告書を発表した。

 検察当局や報道機関への批判に重点を置き、小沢氏の説明不足には軽く触れただけ――という印象がぬぐえない。

 さらに、法相に捜査中止の指揮権発動を求めるかのような表現も盛り込まれている。一方的に小沢氏の側に立った報告書と言われても、仕方あるまい。

 民主党の対応については、小沢氏の政治家個人の立場と、政党の党首としての立場を切り離さずに対応した「危機管理の失敗」と指摘するにとどまった。

 的はずれもいいところだ。小沢氏に持たれた疑惑の核心部分はもっと別のところにある。

 秘書が西松建設幹部と相談し、ダミーの政治団体からの献金額や割り振り先を決めていたとして、検察当局は悪質な献金元隠しと認定した。

 小沢氏はこれまで、「献金の出所は知る術(すべ)もないし、詮索(せんさく)することはない」「秘書に任せていた」などと繰り返してきた。

 だが、同様に献金を受けた他の与野党議員と比べても巨額だ。出所や趣旨を吟味するのは、政治家として当然の責任だろう。

 小沢氏は今なお、疑惑に正面から答えようとしていない。代表辞任で、国民が求める説明責任を免れることはできない。

 委員会も、小沢氏から事情聴取したが、小沢氏は「資金をどう捻(ねん)出(しゅつ)したか尋ねるのは失礼」と従来の主張を繰り返しただけだった。委員が突っ込んだ質問をしたようには見受けられない。

 鳩山代表は、こんな報告書で、今回の問題に幕を引けると思っているのだろうか。既に保釈されている秘書から事情を聞き、事実関係の解明に取り組むこともできるはずである。

 これから西松事件の公判が始まる。報告書が疑問点として挙げたことは、検察も公判の中で丁寧に答えていく必要がある。

 報道のあり方について、報告書は「検察情報に寄りかかった報道」などとしている。

 しかし、報道機関は、検察当局だけでなく、さまざまな関係者への取材を積み重ねている。客観的かつ正確な報道を期すためだ。批判は当たらない。


産経新聞
【主張】民主党第三者委 「形式犯」決めつけは残念
2009.6.11 03:11
 

 西松建設の違法献金事件で民主党が設置した外部有識者による「第三者委員会」が提出した報告書は、小沢一郎代表(当時)の公設第1秘書を政治資金規正法違反で逮捕、起訴した検察捜査に強い疑問を提起した内容だ。事件に関するマスコミ報道のあり方も厳しく批判している。

 だが国民の多くが疑問を感じたのは、小沢氏がいかなる目的でゼネコン側から多額の献金を受けていたか、などだ。第三者委は「実態の究明を目的とする機関ではない」と釈明するが、こうした疑問に迫ろうとする姿勢が報告書から読み取れないのは残念だ。

 これで説明責任が果たされたことにはなるまい。民主党自体が今後、どう自浄能力を示すかが残された宿題となろう。

 報告書は、同法を所管する総務省の審査について、「形式的真実の記載」で足りるとの前提に立っており、今回の事件で「そもそも違反が成立するか否か、疑念がある」と踏み込んでいる。

 法律解釈についての一つの見解を示したものではある。だが、国民の政治不信の高まりの中で、政治資金の透明化が求められてきたことを忘れてはならない。

 平成11年に政治家個人に対する企業献金の禁止がようやく実現したように、今回の起訴を「形式犯」とみなすのは一方的な見解ではないか。報告書のこうした主張が国民感情に合致するかどうかは疑問である。

 事件をめぐるマスコミ報道で、小沢氏に批判的な論調が多かったことについても「検察情報に依存した報道が少なくなかった」とした。都合の悪い報道は受け入れたくないのかもしれないが、それでは自由な言論は成り立たない。

 第三者委では、小沢氏本人からも意見聴取したが、小沢氏は「説明すべきことは十分にした」などとの姿勢を変えず、逆に検察やマスコミが説明責任を果たすことを主張した。また、ゼネコンからの献金の使途の説明についても、強制捜査で関係書類を押収されたため「説明するすべがない」と答えた。小沢氏の進退問題の決着後も、第三者委が一定の結論を出したこと自体は評価できなくはないが、問題は解明されていない。

 岡田克也幹事長は「党の対応に問題がなかったか検討する」と述べたが、党として引き続き説明責任を果たす具体的な取り組みを示してほしい。

日経新聞
小沢氏に甘い有識者報告書(6/12)


 これでは何のための調査報告かという疑問がぬぐえない。西松建設の巨額献金事件を受けて民主党が設置した第三者委員会の報告書は、小沢一郎前代表の政治団体がいかなる目的で多額の献金を受けていたのかという疑問に答えたとはいえず、検察などへの批判に重点をおいた内容となった。

 同委員会は4月に発足し、座長の飯尾潤政策研究大学院大教授ら4人の有識者で構成された。公設秘書が逮捕・起訴された小沢氏を含め党内外のヒアリングは12回に及び、違法性と道義的責任の両面からの検証作業が期待された。

 だが報告書は冒頭から「検察の捜査・処分をめぐる問題」として捜査への疑問点を列挙。(1)政治資金規正法違反が成立するのか(2)罰則を適用すべき重大性・悪質性が認められるのか――と指摘し、自民党議員との取り扱いの不公平さにも触れた。

 秘書の逮捕・起訴に関しては「総選挙を間近に控えた時期に野党第1党党首を党首辞任に追い込むという重大な政治的影響を生じさせたことに関して、検察は説明責任を負っている」と厳しい表現で言及している。いずれも民主党幹部のこれまでの主張と軌を一にする認識といえる。

 一方、小沢氏自身の責任に関しては「どういう目的で政治資金が使われるのか、例を挙げるなどして説明するということがあってもよかった」などと指摘するのみで、いかにも追及が甘い印象を禁じ得ない。民主党への注文も世論対策など危機管理の観点からのアドバイスにとどまっている。

 見逃せないのは事件の摘発について「高度の政治的配慮」によって法相の指揮権発動もあり得たとの見方を示している点だ。こうした認識は政治家が絡む事件に関して、時の政権与党の不当な政治介入を許す危うさをはらんでいる。

 民主党は次期衆院選で政権交代を果たす可能性があり、これまで以上に重い説明責任を負っている。今回の報告書で事件を幕引きにするわけにはいかない。小沢氏は選挙担当の代表代行という要職にとどまっており、法廷闘争とは別に、選挙前にきちんと説明する必要がある。それが有権者への誠実な姿勢だろう。





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