鳩山会見詳報 09・5・26

【鳩山会見詳報】

 民主党の鳩山由紀夫代表は26日午後、東京・永田町の党本部で行った定例記者会見で、自らの唱える「友愛外交」が核実験を強行した北朝鮮に対して通じるかを問われ、「価値観の異なる国同士がどのようにして認めあえるようになるかということ」「敵視しあっていた独仏の間でもEUが出来上がった」と述べた。記者会見の詳報は以下の通り。


 【北核実験】

 「最初に一言だけ申し上げておきます。それは言うまでもなく、北朝鮮の核実験再開に関してであります。大変に遺憾なことが起きたわけでございますが、本日、衆院本会議場で、私どもは抗議の決議をまとめたわけでございます。国連の安保理の決議1718に続いて、新たな決議案を今、作る段階だとうかがっております。当然のことながら、厳しい決議を目指して頑張っていただかなきゃなりませんが、そのなかでは、日本がアメリカあるいは韓国といかに協力をしていくかということが一番大きい話でありますけれども、そのなかでロシア、特に中国の対応というものが一番重要ではないかと思っております。いかに中国あるいはロシアもそうですが、この2カ国を日米韓でリードをしながら理解を示してまとめていくかと。まさに日本のリーダーシップも求められていくところではないかと。そのように考えております。私からは、きょうはこの1点だけ申し上げておきます」
 
 【党首討論、厚労省分割】

 −−代表就任後、初の麻生太郎首相との党首討論があす27日に行われる。45分間という限られた時間内で特にただしたいテーマは何か。また、厚生労働省の分割再編について、きょうにも関係閣僚が具体案をとりまとめるようだ。民主党はどのように対処するか

 「まず党首討論でありますけれども、これは今、練ってる最中でございます。言うまでもありませんが、国家の基本的なテーマに関して、ある意味で国民の側に立って総理に質問をするということでございますので、当然の事ながら今、国民のみなさんが大変関心を持っておられるようなことに、中心的な話をしたいと。そのように思っております。これから最後の詰めを頭の中で考えてまいりたいと思っておりますが、当然ながら、この国のあり方、理念的なものを含めて議論をしてまいりたいと考えております」

 「それから、厚生労働省の分割に関してでありますが、厚生労働省はご案内の通り、厚生省と労働省が1つになった役所でございます。なぜ1つになったのかと、なぜ今また2つに分けるのかということが、必ずしもよく見えてまいりません。確かに、厚生労働関係、雇用問題、あるいは年金問題、医療問題、介護問題、大変に今、国民にとって問題を抱えている役所であることは間違いありません。しかしだからといってなぜ一時、1つにまとめてまた2つに分けるのか、というところが必ずしも判然としません。従ってパフォーマンスみたいな話ではなくてほんとになぜ必要なのかというところを、我々とすれば知りたいところだと思いますし、野党としては、このことは(政府に)うかがっていかなければならないことではないかと。そのように思っています」

【小沢氏秘書保釈、説明責任】

 −−西松建設の違法献金事件で政治資金規正法違反の罪で起訴された小沢一郎代表代行の公設秘書、大久保隆規被告について、東京地裁が保釈を決定をしたが、東京地検が準抗告してまだ釈放されていない。この状況の受け止めは。また、小沢氏の説明責任について。鳩山氏は代表選のときから、まだ話してない、5月中に何らかの形で国民に説明してもらいたい、と言われていたが、小沢氏の説明責任について現在どのようにお考えか

 「はい。今お話がありましたように、検察が準抗告をしてるということで、東京地裁としては保釈を決定したけれどまだ保釈されていはいない、というふうにうかがっております。このことは、小沢代行の秘書個人の問題でございますので、これ以上コメントするつもりはありません。いずれにしても、容疑を本人、大久保容疑者(被告の間違い)本人が否認をしているということでありますので、いずれ裁判で結論が出る話ではないかと。そのように考えておりまして、さらにそれ以上のお問い合わせに関しては(岡田克也)幹事長に是非聞いていただきたい。そのように思います」

 「それから、(小沢)代表代行の説明責任の問題でございますが、この件に関しては、いわゆる第三者委員会というものが作られ、そこで小沢代行の説明責任に関しても結論が出ると。そのようにうかがっております。従って、この問題に関しては党を離れて、私も必ずしも十分に果たしてないということを申し上げてまいりましただけに、第三者委員会の報告書がいずれ、近いうちに出ると思いますので、そこのところできちんと明らかになると。そのように考えております」

 【マニフェスト、参院定数削減】

 −−本日の党常任幹事会で、マニフェスト検討準備委員会が設置された。新たなマニフェストにどういったものを盛り込んでいくか。鳩山氏の独自色、あるいは与党との違いなどは。もう1点は議員の定数削減について。きのう、岡田幹事長が講演で参院でも定数削減という視点は必要、と言った。衆院ではすでにマニフェストで比例代表定数80削減を打ち出してるが、参院の削減については次の衆院選などのマニフェストに具体的な数まで書き込むか

 「マニフェストに関しましては、ご案内の通り、直嶋(正行)政調会長のもとに検討順義委員会を作らせていただいて、そのもとでこれから精力的にマニフェストの策定に向けて議論が進められていくと思っております。最終盤には当然のことながら執行部、特に三役の思いというものを十分に入れ込みたいと思いますし、また特に代表の私の思いというものもそこに入れ込んでまいりたいと思っております。まあ私として申し上げることができるとすれば、これは代表選挙の時にも申し上げた、友愛社会というものの建設、ということを、どのような姿で盛り込むかということを議論をして頂いて、それを何らかの形で反映ができればありがたいと。そのように考えております」

 「ただし、マニフェストの基本的な部分というものは当然、例えば3点とか5点とかですね、分かりやすく議論をしてまとめていく必要があろうかと思っておりますので、そこのところはですね、特に三役で決めてまいりたいと思いますが、もうすでに、いつ選挙があるか分からないという状況でずっと政調会長のもとで議論してくれておりましたので、ほぼできあがりつつある状況だと。そのように考えております。まあ当然、自民党との違い、官僚任せの政策ではなくて、国民の皆様方に直接的に働きかける政策…例えば家計を潤わせるような、直接潤わせるような、そんな政策などをしっかりと盛り込んで、違いを鮮明にしていきたい。そのように考えております」

 「それから参議院の定数の問題、削減の問題に関しては、これは政治改革推進本部、岡田(克也)本部長のもとで、特に参議院の皆さん方を中心に議論を進めるようにという話がありましたが、必ずしも進んでいるかどうかというのを私はつかんでいる状況ではありません。しかし、やはり衆議院だけ削減をすれば済むというような話ではないと思っておりまして、衆参あわせて議論がすることが必要だと思っております。いずれ、参議院側にどのぐらいの今、議論が進められているかということも問い合わせてみたいと思っています」

 【都議選】

 −−きょう設置された東京都議選対策本部について。都議選の民主党にとっての位置づけと、衆院選をにらんでどのような戦い方をしていくか

 「はい。きょう、都議選の選対本部を立ち上げたわけでありますが、私が本部長になって、全員野球でですね、執行部がみんなそれぞれのポジションで活躍してもらいたいと。都議選が…どちらが先になるかわかりませんが、どうやら都議選のほうが、衆院解散・総選挙よりも早いのではないかという見通しで申し上げれば、その前哨戦の位置づけのなかで、極めて大きな、私どもが勝たなければならない選挙戦だと。そんなように位置づけてまいります。必勝態勢で臨んでまいりたいと思いますし、そのためにもまだ必要ならば候補者の擁立も進めていくと。この都議選のテーマというものはかなり分かりやすいものでありまして、いわゆる石原都政の是非というものを問う戦いになろうかと思っております。従って、新銀行東京というものの必要性の問題とか、あるいは築地の市場の移転問題とか。こういったものが、大きな、クローズアップされるべきテーマではないかと、そのように思います。後半の質問なんでしたっけ?」


 −−衆院選をにらんでどんな戦い方を…

 「当然のことながら、衆院選の前であるということであれば、私ども先ほど申し上げましたように全員野球で、特に参議院がそれぞれ、ある意味で議員を候補者に貼り付けるような形でですね、戦っていくということも検討しているようでありますので、衆議院参議院の全勢力をですね、都議選に傾注をして、勢いをつけて、その勢いのもとで衆議院の選挙の、政権交代を目指して勝ち取っていくという姿にしていきたいと思います」

 −−民主党と政府で対北朝鮮政策の大きな違いはないようだが、違いはあるか。民主党政権になったらどのような対北政策をとるか

 「拉致、ミサイル、核といった北朝鮮に対する対応に関しまして、基本的なスタンスで大きく違うということはありません。私ども、拉致問題も大変、重要視しておりますから、拉致問題の解決というものに関しても、もっと政府が力を入れてもらわなければならないと思う意味においては、その対応の仕方に若干の違いがあろうかとは思っておりますが、基本的な北朝鮮に対する対応の仕方が根本的に大きく違うというものではありません」


 −−鳩山由起夫代表は、普天間飛行場の県外移設などが盛り込まれた民主党の「沖縄ビジョン」について維持すべきだと述べているが、次期衆院選のマニフェストに盛り込むのか。安倍晋三元首相が昨日、「友愛外交が絶対に北朝鮮に通じないのは間違いない」と発言した。友愛外交は北朝鮮に通用するか

 「まず、沖縄ビジョンのマニフェストに入るかどうかということに関しては当然、今、直嶋(正行)政調会長を中心にマニフェストづくりを行っていただいているわけであります。私の感覚とすれば当然、この中での普天間の移設問題、望むは国外であるというところに関しては書き入れるのではないかと思っておりますが、私まだ、この段階において、直嶋政調会長がマニフェストの中心的に今、努力をしていただいている最中というところで、最後のところまではいたっていないと思っております」

 「それから、安倍元総理が友愛外交を否定されたのかもしれませんが、あの方には必ずしも友愛外交、お分かりにならないかもしれません。決して友愛外交はなまっちょろい話ではありません。価値観の異なる国同士というものがどのようにしたら、この世界の中で、お互いにその存在というものを認め合えるような立場になり得るかということ。これは大変重要な、大きなテーマだと私は思います

 「確かに北朝鮮のように、何を行うか分からないような国に対して、簡単に、この、いわゆる、たぶん、北風と太陽でいえば太陽戦略みたいなものを想定しておっしゃっているのかもしれませんが、太陽的な発想だけで北朝鮮のマントを脱がすことは難しいかもしれません。合わせて、北風との両面作戦というものが必要なのかもしれませんが、私は、だからといって、価値の違う国同士が、これをお互いに認め合わないような外交というものを脱却しなければならない、大変重要な局面に来ているのではないかと。そのように考えておりまして、友愛外交をこれからも、もっと模索をしていくすることが、私は政府にとっても必要だと思っております」


 −−参院で審議中の平成21年度補正予算の採決の環境は整ってきていると考えるか

 「これは今、特に参院議員の執行部で検討しているところでありまして、私どもとしては先ほど、3役懇(幹部会)を開かせたいただいたときにも、国対委員長からの問いに対して、参議員の3役に一任しようということでございます。われわれとすれば大いに審議をしようと。しかし、いたずらな引き延ばしをすることはやめようという中で、きちんとした答えを出そうと考えておりまして、その状況というものが近づいてきているという認識は、私は感じたところであります」


 −−麻生首相は昨夜、記者団から北朝鮮の核実験を国際社会が止められなかったのはどうしてかと聞かれ、「私の答えられる限界を超えています」と答えた。麻生氏の回答の受け止めは。また、鳩山氏は同じ問いにどう答えるか。

 「これは今日まで、日本の政府が基本的に北朝鮮問題に対して蚊帳の外に置かれてしまっているということに起因していると思います。結果として蚊帳の外に置かれてしまっているものだから、自分の力ではどうしようもない、という話になるのだと理解しています」

「本当の意味で日米の信頼関係があるとすれば、事前に、日本にも情報というものが伝わってきていたはずであるのに、情報の伝達がないというような状況で、まさに先ほど申し上げたような蚊帳の外に置かれてしまっていると。北朝鮮としてもアメリカと、あるいは中国、この2つの大国というものを気にするけれども、日本という国をある決して、意味で無視するような対応しか最近、とっていないわけであります」

 「これが、なぜ、このような状況になったかということを、私どもは深刻にとらえなければならないことだと思っております。私どもとすれば、このような状況というものを展開させていくためにもですね、先ほどから申し上げたように、アメリカとの関係はいうまでもありません。もっと信頼関係を深める状況をつくらなきゃならないと同時に、中国に対して、やはり北朝鮮がある意味で、北朝鮮がその意味では、ある意味で関係が深い国として、中国の存在というものがあるわけでありますから、中国というものをどのようにうまく協力をして、活用をして、北朝鮮の扉を開かせるかということを考えるべきではないかと。そのような努力が極めて稚拙というか、足りないのではないかと。そのように思っています」


 −−安倍氏の批判に対して回答があったが、一般国民は「美しい国」もよく理解できないが、「友愛外交」も理解できないのではないか。岡田克也幹事長は北東アジアの非核化の公約化に意欲を示している。選挙前に北朝鮮対策についてどのような政策を出して選挙に挑もうとしているのか、具体的に説明してほしい

 「政策に関しては政調会長、あるいは防衛、安保、外交の部門会議で議論されていることだと思っておりますが、私の言葉で申し上げれば、あるいは岡田幹事長の北東アジアの非核化ということはまさに正しい、日本がリーダーシップを発揮すべき考え方だと思っております」

 「今、お話がございましたように、まあ、友愛外交をあまりご理解いただいていないかもしれませんが、自立と共生、国としての自立と、他国との共生というものを理念とする外交でありまして、本来、これは福田(康夫)総理が唱えていたはずのものでもございますが、極めて中途半端に終わってきていると思っております」

 「本来ならば、このような価値観の違う国同士が混在しているのが世界でありますだけに、その世界の中で同じ価値だけ求めるような、いわゆる麻生総理の価値の外交ではなくて、価値観の違う国同士がいかにして両立できる状況をつくるかと。これは難しい命題でありますが、それを果たすのが初めて外交だと思っておりまして、その意味で、非常に、これは、友愛外交というのは難しいテーマではありますが、それを現実に行ってきたのがヨーロッパ、EU(欧州連合)であることを考えたときに、敵視し合っていたフランスとドイツとの間でも、最終的に友愛外交に基づいて、結果としてあのようなEUができあがったことを考えたときに、今、世界がそのことをあきらめてはいけないと。私はそう思っております」


 −−今日の幹部会で選挙対策などについて話し合ったのか。国会対策以外の話題は

 「そのような会話は一切、いたしておりません」




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