日本を語るワインの会 平成16年11月号 第17回



   

九月十五日、今月の日本を語るワインの会が、代表自邸で開催されました。民主党の元代表である鳩山由紀夫ご夫妻、航空自衛隊ナンバー2の田母神俊雄氏、日本のための「正論」を追求する大島信三氏をお迎えして、軍事・外交・メディア論を中心に、今回も白熱した議論が展開されました。

 


中国は遠大な計画の下
常に日本を
操作しようとしている。

 
 中国は三千機の戦闘機を持っていると言われているが、稼働率や訓練の練成度を考えると、通常思われているほどの脅威ではない。今は台湾海峡の制空権ですら台湾に握られている。しかし中国は現在航空戦力の増強を行っており、二○○八年までにはこの関係が逆転する可能性が高い。台湾がもし独立宣言を出すのであれば、この台湾海峡での制空権がある内で、かつ北京オリンピックの前で中国が動きにくいタイミングになるのではないだろうか。 
 遠大な計画を持っている中国は、日本の若いエリートを中国へ招き、おいしい思いをさせた上でそれを盗聴またはビデオなどで撮影して、後で脅しているのではないかと思えるぐらい、日本のリーダーには中国びいきが多い。外務省の「チャイナスクール」が問題視されているが、メディアにも同様のものがある。また学者の世界も中国びいき。批判を行うと中国への入国が許可されなくなるからだ。また北京では今でもNHKの衛星放送で天安門事件の報道が流れると、ホテルのテレビの電源がカットされる。そんな情報規制をいまだにやっている国なのだ。独裁国家と付き合うには、十分に警戒をすべきである。自分が善人だからといって相手も善人だと考えるのは間違いである。いろいろな国にはいろいろな考え方があるのだから、常に警戒を怠ってはいけない。

 資料を調べてみると、一九三七年に南京入りした日本軍の指揮官であった松井大将は、初めて他国の首都に入る帝国陸軍が後世後ろ指をさされることがないようにと事前に様々な訓令を発していた。内容は「孫文のお墓である中山陵には決して立ち入るな」であるとか、「風紀を乱すものは断固取り締まれ」というもの。こんな人物が大虐殺を命じるわけがない。南京で大虐殺があったとの報道は中国の情報謀略戦の一つであって、日本の悪行を主張することで、アメリカなど世界の支持を得て戦争を有利にしようとしたものだ。当時の南京は世田谷区程度の広さ。ここで中国側が主張するように三十万人もの死者が出たら、足の踏み場もないはず。こんなことはあり得ない。今でも南京の虐殺記念館にはどうみても史実と異なる展示が多数並べられている。こんなものは、北京オリンピックまでに徹底的に撤去させるべき。そうしなければ、ODAを止めると言ってみてはどうなのだろうか。

 未だに先の大戦中に日本が残虐行為を行ったという教育を行っている中国。国防軍のNO・2の将官であってもそのような発言をするぐらいだ。日本人はこれに対してきちんと反論すべきだ。日本の中にも同じような自虐的歴史観を持つ人が多いが、実際には日本は中国に悪いことはしていない。また日本に謝れというのなら、イギリスにもそう主張すべきだ。アメリカは原爆や東京大空襲で非常に多くの民間人を虐殺したが、日米交渉で日本はいちいちこのことを取り上げてはいない。これからの日中関係を考えれば、過去のことを何度も蒸し返すのはもう止めるべきと、しっかり主張すれば、逆に中国側からも評価される。きちんと主張し合い、立場を明確化することによってお互いへの尊敬が生まれるのではないだろうか。日中関係だけではなく日米関係でも同じことがいえるだろう。ただどんな国でも自国の国益のためには、隠ぺいを行えば嘘も言う。その裏側をちゃんと見抜くことができるように、公式情報だけでも解析できる能力を日本は持つべきである。


自国を守ることができる
戦力を日本は保有している


 これまでアメリカはできるだけ本土から離れた場所に防衛線を引き、本土が攻撃されないようにしてきた。しかし九・一一のテロによってその考えは変わり、本土の防衛力を強化して他国の紛争の巻き添えになるリスクの多い国外の防衛ラインをなくしていこうとしている。日本でこのことを理解している人がどれだけいるのか。やはり日本は日本の為に考え行動することができる、独立自衛の国家にならなければならない。今、国連常任理事国入りに向けての活動が活発化しているが、今の日本のまま常任理事国になっても、十九・五%も負担している分担金を増額されるだけ。まずは自立した国になることが先決だ。

 本当の自衛隊の姿を一般の人々は実は知らない。日本周辺の国に比べても相当な戦力を持っている。ハードだけを考えればNO・1だ。しかし多くの国民が日本はアメリカに守ってもらっている、アメリカがいなければ北朝鮮と戦うこともできないと思っている。戦力的に見ればこれは間違いだ。ネックになっているのは法律だけ。イラクで奥大使が亡くなった時も、法律問題で自国の大使館の警護すら自衛隊で行うことができないことが明らかになった。これは軍が動くとロクなことがないと思い込まされている戦後教育の弊害である。自衛隊は誰が見ても軍隊なのに、これをあいまいな解釈論だけで、まやかしで維持していることが諸悪の根源なのではないだろうか。やはり憲法を改正して、自衛隊を自衛軍にする。そして自衛権も個別も集団も当然やるべきなのだからそこに明記する。これが出来ていない内に常任理事国になるのは、四畳半暮らしでエルメスのバッグを持つようなもので、非常にいびつである。

 憲法以外にも、日本が独立自衛の国を目指すにあたっての障害は多い。アメリカは各種兵器を統合するネットワークシステムを開発し、自衛隊など各国の軍隊に売り込もうとしている。しかしこのシステムの中枢部はブラックボックス化されており、導入した場合アメリカの意志によって航空機、トラックなど装備すべてが動かなくなってしまう。パソコンでwindows、Intelが市場を独占したのと同様のことを、兵器においてもアメリカは狙っているのだ。年度ごとの予算によって動く日本のシステムを熟知されていて、兵器購入交渉もいつも年度末の二〜三月まで引き延ばされる。予算執行ができなくなるぎりぎりの線で、アメリカに有利な条件を引き出すためだ。かつてチャーチルは「自国以外はすべて仮想敵国だ」と言っている。日本はアメリカに過度に依存することなく自主独立のバランス・オブ・パワーに立脚した外交を展開していく必要がある。


「親日的な発言」を抑圧する
日本に言論の自由はない


 今の日本のおかしな部分は、すべてアメリカの戦後の占領政策が元凶である。日本が再び強国となって、広島・長崎の原爆投下の責任追求をすることがないように、A級戦犯の絞首刑を当時皇太子であった今上天皇の誕生日である十二月二十三日に実施するなどして、徹底的に「先の戦争は悪」と思想の骨抜きを行った。しかしアメリカがもういいと思うようになっても、日本のメディアがその考え方を引き継ぎ今日に至っている。まず政府は勝者が敗者を裁いた不当な東京裁判を否定しなければならない。また一九七二年の日中国交回復によって、中国からは教科書問題や靖国参拝問題で脅されるようになり、一九七七年のダッカ日航機ハイジャック事件からは世界中からなめられるようになった。同じ一九七七年に横田めぐみさんが拉致され、翌年には曽我さんが拉致されているのだ。

 アメリカによる禁止などで世界水準からかなりの遅れを取ってしまった航空機産業。航空・宇宙技術の進歩は技術全体の底上げとなるのに…。しかし日本は改めて航空機産業に力を入れるべきだという主張に対して、某航空機も手がける大メーカーが反対したという。国が力を入れると新規参入企業が増えるので、既得権を侵されるというのがその理由だ。また自衛隊でAWACS(早期警戒管制機)を導入する際、胴体部分は三菱重工で製作し、それをアメリカのボーイング社に送って最終的に仕上げるのだが、胴体部分には当然窓がない。これに対して経済産業省は「武器輸出に当たる」とクレーム。しょうがないので窓を作って輸出、ボーイング社でそれを埋めたという。これらのことからも「日本人の敵は日本人」というべきでおかしな事ではないか。言論、メディアの世界も同じだ。日本に言論の自由は本当にあるのか。確かに反日的な言動には無制限に自由がある。しかし南京虐殺がなかったというだけで大臣が辞めなければならないなど、親日的な言動はかなり抑圧されている。かなりアンバランスなのだ。


日本ももっと柔軟に
「核のカード」を利用すべき


 日本の国会議員で理工系の人間は鳩山由紀夫さんをはじめわずかしかいない。中国共産党の常務委員は九人とも理工系。日本も「ものづくり」で経済大国になったのだから、東大法学部中心の文系・丸暗記・偏差値重視の社会を改めるべきである。暗記のみで疑問をもたないから情報戦略にも負けるし、メディアが流すことも安易に信じてしまう。もっとディベートを重視した教育を行うべきだし、これを含め教育制度全般を変えなければ日本は立ち直れない。もっと優秀な人材が教員になるようにすることも重要だし、現在教育現場で行われている多様化教育や過度の平等主義も見直すべき。価値観の多様化の下、基本的なしつけのできていない子供がはびこり、平等主義の下、能力のある子供が自分の力を発揮できずにいるのが今の教育だ。

 教育のせいで国がおかしくなっているのは台湾も同様。北京語中心の教育を受けた若い人達には大陸中国と同化する思想が根づいている。人口で言えば本省人(もともと台湾にいた人々)が圧倒的に多いのに、本省人の代表である陳水扁氏が総統選挙で苦戦したのもそのせいである。このままでは台湾は中国に飲み込まれてしまうのではないだろうか。そして日本も同じ道を辿るのではないだろうか。米中新冷戦の中、台湾だけではなく中国に吸収されてしまうことを恐れている国はフィリピン、ベトナムをはじめ多数存在する。これら周辺国の安心のためにも、二十〜三十年かかってでも、中国に対抗する東アジアの一つの勢力圏を日本が中心となって作っていくべきだ。理想を言えば中国・アメリカも加えたEUのようなアジア・太平洋の協力圏を作っていくのが望ましいのだが。

 EUの中核国であるフランスは核を持っている。中国に対抗する勢力を作り、それを中国に認めさせるためには、日本が自立した国となり核武装を行うことが必要かもしれない。これを恐れているために、中国はアメリカと結託して、六カ国協議で北朝鮮だけではなく東アジア全域の非核化を目論んでいるのだ。日本の核保有の問題については多くの議論が必要だろう。日本には技術も原料のプルトニウムもあるのだから、それだけで周辺国からは潜在的な核保有国と見なされている。九月に発覚した韓国のウラン抽出実験も、その日本に対抗したものではなかったのだろうか。北朝鮮が核兵器を保有するようになった場合、日本に対してこれを使用したらアメリカの反撃を喰らうというのが抑止力だ。戦略変更によってアメリカが反撃をしないなどと言い出さないように、アメリカが反撃しないなら日本は核武装しますというカードを持っておくことが重要だ。最初から「日本は核装備を絶対しない」と宣言するのは馬鹿げたことだ。

 
http://www.apa.co.jp/appletown/pdf/wine/0411_wine.pdf




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