スーダンPKO―腰が引けすぎていないか(朝日社説)

スーダンPKO―腰が引けすぎていないか
2008年7月1日(火)


 福田首相が潘基文国連事務総長との会談で、スーダン南部での国連平和維持活動(PKO)に自衛官を派遣すると表明した。 

 自衛隊がアフリカでのPKOに参加するのは93年5月のモザンビーク以来である。94年、ルワンダ難民の救援で旧ザイールに派遣された際は、PKOの枠外での協力だった。 

 アフリカ支援に力を入れてきた日本政府として、久々に人的な貢献に踏み出すのは評価する。 

  それにしても腰が引けすぎてはいないか。 政府によると、派遣するのは国連スーダン派遣団(UNMIS)の、首都ハルツームにある司令部で、連絡調整などの任務にあたる自衛官数人を出すことを検討するという。 

 スーダン派遣団には現在、欧米や途上国など69カ国から約1万人の軍隊や警察が派遣され、難民の帰還支援や停戦監視にあたっている。比較的治安がいいとされ、かねて日本の参加を望む声が国連にあったところだ。 

 スーダンでは80年代初めから、20年以上にわたって内戦が続いた。05年に包括和平が合意され、国連PKOが派遣された。これとは別に、5年前から西部のダルフール地方でも紛争が続く。住民が政府系の民兵に組織的な迫害を受けるなど人道問題として国際社会の関心が高い。 

 スーダンはアフリカでの平和構築を語る時の象徴のような存在でもある。 

 それだけに、福田首相や外務省はスーダンPKOへの参加に前向きだった。ダルフールはまだ危険すぎるが、南部ならばという判断だろう。だが、防衛省は治安などを理由にまとまった部隊を出すことに慎重で、結局、少数の司令部要員を出すという今回の折衷策に落ち着いたようだ。 

  派遣部隊の安全にこだわる防衛省の立場は分かる。だが、部隊の派遣が既成事実になりかねないとばかりに、調査団を出すことにも消極的だったのはいただけない。  

 イラクで活動を続ける航空自衛隊やサマワに駐留した陸上自衛隊に、100%の安全が保障されていたわけではない。憲法上の疑義さえあった。

 国連の統計によれば、 日本は国連PKO予算の17%を負担しているのに、部隊や警察官の派遣数では全体の0.04%の36人。119カ国中の83位だ。武器使用基準の見直しなど防衛省にも言い分はあろうが、首相が「平和協力国家」を唱える国として、これはいかに何でも少なすぎないか。  

 今回の司令部派遣を手がかりに、現地の安全状況や要請をよく調べ、 日本の役割を広げることを考えるべきだ。  



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